開業医の多くは保険料を支払い過ぎている!?
2020.10.20
保険で節税はできるのか?
今回は、節税という観点から見る保険の見直し方についてお伝えします。
保険で節税はできるのか?
生命保険料控除を活用することで、支払った生命保険料の全額または一部を所得から控除できるため、この生命保険料控除を目的として保険に入ったというお話を伺うことがよくあります。しかしどの程度節税になっているのか、よく把握されていないことも多くあります。
昨年、法人保険の経費処理の方法にメスが入った際にも問題になりましたが、「保険に加入すると節税できる」と言われて保険を契約した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、2020年現在、非常に節税効果が高く、返礼率も高い保険は、ほとんどなくなり、保険を使って大幅に節税することはできなくなってしまいました。
ただし、昨年のバレンタインショック以前に加入された法人保険の中には、節税効果も返礼率も高い商品は多く存在し、税法改正以前に契約したものに関しては従来の経費処理が認められています。そのような保険にご加入中の方は、返礼率がピークに達するタイミングまで継続された方が良いため、見極めが必要です。
生命保険料控除の節税効果
生命保険控除の対象となるのは、死亡保障などの一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料です。旧制度では一般生命保険料と個人年金保険料のみが対象でしたが、平成24年の法改正によってできた新制度では、介護医療保険料も対象になりました。
一般生命保険は、ある年齢までの生存や死亡が発生したときに保険金が下りる保険で、終身保険や養老保険、学資保険などが含まれます。
介護医療保険は、病気やケガに対する保険で、医療保険やがん保険、介護保険、就業不能保険などが含まれます。
個人年金は、ご自身で積み立てる私的な年金のことです。
これら3種類の生命保険料の支払いがあった人は、所得から保険料の全額または一部を差し引いて課税されるので、税金を安くすることができます。ただし、適用される保険料には上限があるので、保険に加入しすぎている人は一部しか控除の対象になりません。上限について詳しく見ていきましょう。
新制度における生命保険料控除の限度額は、以下のとおりです。
- ・一般生命保険料:所得税40,000円、住民税28,000円
- ・介護医療保険料:所得税40,000円、住民税28,000円
- ・個人年金保険料:所得税40,000円、住民税28,000円
つまり、生命保険料控除を節税できるとはいえ、税率55%の方でも最大で7万円程度の節税にしかならないのです。その節税のために、必要ではない保険に加入しているのは非常にもったいないことですので、一度節税という概念を排除して、保険を考え直されることをお勧めします。
まとめ
今回お伝えしたように、生命保険を活用して大きな節税効果を得ることは非常に難しくなっています。節税目的で保険に入ったが、あまり効果を感じていないと思われていた方は、この機会に保険を見直して保険の無駄を省き、お子様の学費や、ご夫婦の老後資金など本当に必要な用途にお金を使える状態を手に入れてください。