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リースか、購入か?医師・開業医の経営手腕が問われる医療システム導入

2017.09.25

業務の円滑化を図るための機器選定:リースのメリットとデメリット

クリニックにおいて開業時はもちろんのこと、定期的な適切な医療システム導入は経営の安定化の鍵を握ります。

例えば、医師にとって常に業務で密接な関わりを持つのが電子カルテは、診療の中心となる機器であり、膨大かつ秘匿性の高い患者様のデータを扱うため、最新の電子カルテシステムにアップデートしておくことが、個人情報保護の動きが進む現状から見ても大切だと言えるでしょう。

そのような医療システムになれば多少高額な機器を選んでも、業務の円滑化を図ることによって、長い目でみると、コストを確実に回収できると考えられます。その際に、リースという選択をすることで、頭金等を必要とせず、手持ちの資金がなくてもすぐに必要機器を手に入れられることが可能になります。それ故に、小規模なクリニックになればなるほど、イニシャルコストを抑えるために、リースでの導入を目指すケースが多く見られます。

今回はそんなリースのメリットとデメリットについて解説します。

まず、前述の初期費用を抑える以外にも、その年に支払ったリース料を全額経費として計上できるというメリットがあります。医療機器を購入した場合、例えそれを一括で現金で支払ったとしても、例えば歯科診療用ユニット7年、手術機器5年とそれぞれの耐用年数に応じた年数で分割して減価償却費を計上することになります。一方、リースを利用すると、その年に支払ったリース料がそのままその年の経費となり、実際の支出と経費計上の時期を合わせることが可能になるのです。この毎月の支出が均一になることも、経営や税金の計画を立てる上で有利に働きます。そして、そのリース期間を法廷耐用年数より短く設定することによって、早期の費用化が可能となります。

費用の平準化が図れる反面、特別償却等、売上を高くなる時期に大きく償却を出し、税金を抑えるというスキームは使えません

さらに、リースは、金利をはじめ固定資産税や保険料などが合算されて毎月の請求額となるため、現金による機器購入のような固定資産税の申告や保険料の支払いが発生しないところもポイントです。それらの手続きの必要がなくなり、事務効率を上げることにもつながります。

ただし、中途解約できない点は大きなデメリットと言えるでしょう。よくリースとレンタルが混同されるケースもありますが、レンタルであれば中途解約は可能ですが、リースを中途解約しようとすると、違約金として残期間分のリース料を一括弁済しなければならないため、実質中途解約不可と言われています。

購入と比較しても、購入した機器は医院の資産となるため、もしあまり使っていないとなれば、売却という出口も検討できますが、リースはその期間中も、支払い完了後も医院の資産にはならないため、売却という選択肢もありません。

さらに、リース料にはその機器を購入し貸し出しているリース会社利益が含まれているため、必然的に購入よりも総支出が大きくなります。また金利も金融機関からの融資より割高である傾向にあります。

リースか購入かで迷われた場合は、これらのメリットとデメリットを踏まえて判断されることをお勧めします。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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