ファイナンス

安倍・トランプ首脳会談は、新しい日米関係の幕開けとなるか?

日米首脳会談

2017.02.15

トランプ大統領が日本に与える影響~日米首脳会談から~

日本のみならず、世界が注目する安倍首相とトランプ大統領の初めての日米首脳会談が終わりました。

今回の首脳会談はまず2月10日にホワイトハウスで行われ、その後、大統領専用機である「エアフォースワン」(空軍の最高機密大統領専用機)に揃って搭乗しました。

その後、場所をフロリダにあるトランプ大統領の豪華絢爛な別荘に移し、トランプ氏とともに「トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ・ジュピター」に到着。両首脳はトランプ氏の知人で南ア出身のプロゴルファー、アーニー・エルス氏と地元のプロゴルファーの計4人で最初の18ホールを楽しんだ後、さらにその後、両首脳はトランプ氏所有の「トランプ・インターナショナル・ゴルフクラブ・パームビーチ」に移動、二人きりで9ホールを回るなど、異例の厚待遇となりました。また、お互いのファーストレディを交え、2日に渡り、晩餐会を楽しみ、和やかなムードで行われたようです。

トランプ大統領といえば就任直後から自らの選挙公約を矢継ぎ早に実行。メキシコ国境に壁を作る命令書にサインを行い、イスラム関連国からの入国を止める大統領令にもサインするなど、国内外に物議を醸しましたが、現時点でサインした大統領令の数は、オバマ前大統領が就任した時よりも少ないのです。ただ、内容がアグレッシブなものが多いため、マスコミが騒ぐ格好の記事ネタになっている様です。

日本に対しては、まずは世界最大とも言える自動車メーカーのトヨタを牽制。同社のみならず、米国の自動車メーカーがメキシコに建設を計画中の工場に対して苦言を呈しました。また、日本の為替政策に対しても率直な不満を表現するなど、首脳会談を前に日本政府に対する揺さぶりをかけていましたが、彼は経済面に疎い部分があり、後に、大統領補佐官兼国家経済会議議長のゲーリーゴーン氏(ゴールドマンサックス社長兼COO)に意見を求め、修正しています。

一方、安倍首相は、首脳会談に先駆け1月下旬に電話会談を行い、大統領就任の祝意を述べるとともに、経済や安全保障などの課題における日米同盟の重要性を確認し合いました。この電話会談の結果を受け、安倍首相としては、さらなる日米同盟の連携強化の為、より踏み込んだ内容となるように臨んだのが、今回の首脳会談の狙いであった模様です。

焦点となったのは、例えばTPPに対するスタンスです。安倍首相はこれまでTPPへの参加を重視してきました。これに対しトランプ大統領は就任直後に永久離脱を表明。全てにおいて米国国内政策に重きをおいた「アメリカ・ファースト」の姿勢を鮮明にしています。訪米前、安倍首相はそんなトランプ大統領に対し、日米両政府の通商交渉に応じる用意があるとしながらも、その中でも世界的な広い視野で、日本の国益を主張していくと話して来ました。

そうして迎えた今回の異例とも言える日米首脳会談でした。ホワイトハウスでの会談は、ワーキングランチも含め計1時間40分にも及び、そこでは日米間の経済のみならず対外政策における関係強化が重点的に話し合われたようです。その結果、麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領を中心とした「日米経済対話」を設けることで合意、ペンス氏の来日も決まり、日米同盟を一層強化することで合意形成が成されたようです。

懸念されたような直接的な要求はなかったようですが、新たな枠組みである「日米経済対話」においては、いつまでも日米FTAに反対していると世界の潮流から遅れを取ると判断した安部首相は、米国がTPPの代わりに提唱する日米自由貿易協定(FTA)を受け入れることにしたのです。

これは、安部首相の手土産であると共に、世界的視野での立ち位置を取る覚悟で、従来の日本とは異なる視野に立ったもので、その取り扱いをめぐる今後の実務レベルでの駆け引きが注目すべきポイントとなりそうです。

その一方、会談前は自動車貿易について「フェアではない」と日本を批判していたトランプ大統領でありますが、会談終了後には「摩擦という言葉で語られた日米経済関係は過去のこと」という認識で一致したようです。トランプ大統領と安倍首相が肩を並べて行った共同記者会見では、「日米関係の強化と発展」をクローズアップする言葉が並びました。全体の印象を見れば、大変良好な関係を築いたように思えます。

今後、果たして、両国の関係がどのような形で実行に移されて行くのか、或いは変化を伴いながらも、実務レベルでの施策が現実に反映されていくのかを注視していきたいものです。

トランプ大統領が年内の訪日を約束したとも言われる中、今後、日米関係の位置付けは、欧米や中東、そして中国、韓国、北朝鮮、アジア諸国、ロシアなどの大国を巻き込んだ世界情勢の変化に大きな影響を及ぼしていく事になるでしょう。

2017年は、「ブラックスワンが舞い降りる」とも揶揄される中、どのような変化が舞い降りるのか? 地球という美しい惑星の将来に思いを馳せつつ、毎日のニュースから読み解くのもささやかな休日の頭の体操になると思います。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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