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住宅取得資金贈与の非課税特例を利用する

医師の資産管理会社活用

2016.08.08

住宅取得等資金の贈与を受けたときどうすればいい?

平成27年度税制改定において、住宅取得等の資金の贈与を受けた場合の非課税措置等の制度が平成31年6月30日まで延長され、且つ、非課税の限度額が拡充されました。

「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」とは、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等のために資金を贈与してもらった場合、一定の金額について贈与税が非課税になる制度です。贈与する人の年齢制限はありませんが、贈与を受ける人は、20歳以上(贈与を受けた年の1月1日現在)で、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下などの条件があります。

実際にどのくらいの金額が非課税になるのかは、住宅の種類や契約の締結日、消費税の関係により限度額が異なります。

住宅取得資金贈与の非課税特例

住宅取得資金贈与の非課税特例

「良質な住宅用家屋」とは、以下の3つのいずれかの性能を満たす住宅をいいます。

1 省エネルギー性の高い住宅

2 耐震性の高い住宅

3 バリアフリー性の高い住宅

上記の表でわかるように、贈与を受けた日ではなく、実際に契約をした日が非課税の限度額を判断する基準になりますので注意が必要です。

この制度は、住宅取得だけでなく増改築も対象になっており、大規模増改築、耐震リフォームのほか、省エネ、バリアフリー、給排水管等のリフォームも条件を満たせば贈与された金額の一定額が非課税になります。

注意点は以下になります。

1、この制度を使う場合は、住宅取得等の資金の贈与と、住宅用家屋の新築や増改築などの契約を平成31年6月30日までに済ませておく必要があります。

2、住宅用家屋の新築または取得の場合、「登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下である」こと。注文住宅の場合、「贈与を受けた翌年の3月15日までに棟上げまでできている」こと。建売住宅または分譲マンションの場合は、「贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その引き渡しを受けている」こと。

3、平成28年9月以前に、上記の表の「左記以外の住宅用家屋」の非課税限度額の適用を受けたとします。その後、消費税が10%になってから住宅取得等の資金の贈与を受けて住宅を取得や増改築をしたときは、再び、贈与税の非課税限度額の適用を受けることができます。

4、個人間売買で中古住宅を取得したときは、消費税が10%の時期であっても、上記の表の「消費税10%以外のときに契約をした場合」に当てはまります。

5、贈与税の非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、必要書類をそろえて納税地の所轄税務署に申告をする必要があります。

いかがでしたでしょうか。消費税が10%になることを踏まえて贈与税の非課税限度額が拡充されていますが、制度を使う上で、贈与日、契約日、引渡日、売主が個人か法人かなどについて、注意深く確認をとりながら進めていくことが大切になります。

そして、消費税率にかかわらず、贈与してくれた父母や祖父母が亡くなり相続が始まったときは、亡くなった人が贈与した資金は相続財産には含まれませんので、相続税対策になります。ただし、相続税対策には過去に掲載しております、暦年贈与や結婚・子育て教育資金の一括贈与非課税制度などもあり、長期的な視点を持ち、どの時点で、誰に、どれくらいの資金を、どの制度を利用して贈与を行うのか等計画を立てていく必要があります。

贈与税の非課税の適用期間が延長されているこの間に、相続税対策を含めて相続について家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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