“個人向け社債”は、株主優待を楽しむ感覚で購入できるのも魅力
2015.02.16
連載:債券の基本教えます Vol.2
北陸電力は2014年11月に100億円の個人向け社債を発行しました。期間は4年で利率は年0.33%、10万円単位で購入できて、格付けはA+です。
四国電力も14年12月に個人向け社債を発行しました。期間は3年で利率は年0.2%、10万円から購入できて格付けはA+。ネット銀行の3年定期預金の利率が年0.2~0.3%であることを考えると、決して高利回りとはいえませんが、破たんリスクが少ないという安心感から、人気があるのです。
個人向け社債には、優待が付くものもあります。近畿日本鉄道が14年7月に発行した個人向け社債は、期間4年で利率は年0.39%。購入者には14年3月に開業した超高層複合ビル「あべのハルカス」内にある、大阪マリオット都ホテルの宿泊券が抽選でプレゼントされます。また小田急電鉄が14年7月に発行したものは期間3年で、利率は年0.17%。購入者には抽選で当たる小田急グループホテルのペア宿泊券や商品券などが用意されています。これらのように、株主優待を楽しむような感覚で個人向け社債を購入することもできるわけです。
その一方で、個人向けの“円建て外債(サムライ債)”も注目を集め始めています。円建て外債とは、外国の政府、政府機関、地方自治体、企業などが円建てで発行する債券のこと。本来は購入単位が大きく個人投資家向けではありませんが、最近は10万円程度で購入できるものも増えています。
ポーランド共和国が5月に発行した円建て外債は、期間3年で利率は年1.49%、10万円から購入できます。格付けはA-。個人向け社債と同様、発行元が破たんすれば、利子や元本の支払いが滞る可能性があります。過去には2001年にアルゼンチンの国債で利子や元本の支払いが滞ったことなどがありました。リスクが伴うことを理解して購入しましょう。
なお、個人向け社債やサムライ債は償還まで保有するのが原則です。中途換金したい場合には、証券会社などが買い取ってくれる場合もありますが、流通量が少ないため不利な条件でしか換金できないことが多いようです。
【連載:債券の基本教えます Vol.2】“個人向け社債”は、株主優待を楽しむ感覚で購入できるのも魅力
【連載:債券の基本教えます Vol.1】定期預金や国債に比べ利回りの高い“個人向け社債”はリスクに注意