定期預金や国債に比べ利回りの高い“個人向け社債”はリスクに注意
2015.02.09
連載:債券の基本教えます Vol.1
債券を購入した投資家は定期的に利子を受け取ることができます。その利率は発行時に決められます。また、発行時には期間(償還期限)が決められ、期限が到来すると、投資家は元本を返還してもらうことができます。定期的に利子を受け取りながら、満期になれば元本が戻ってくる商品、それが債券ということになります。
そして企業が発行する社債の中でも、個人投資家が購入しやすいように購入単位を10万円や100万円にしたものを特に、“個人向け社債”といいます。
“個人向け社債”が人気の理由は、利回りの高さにあります。ソフトバンクが2014年12月に発行した個人向け社債は、100万円から購入できて償還期限は7年、利率は年2.5%でした。個人向け国債の5年タイプの利率が0.05%(14年12月発行分)であることを考えると、破格の利回りです。
ソフトバンクは過去にも個人向け社債を発行していますが、13年6月と14年5月に発行したものは売り出しから数分以内に“瞬間蒸発した”といわれるほどの人気ぶりでした。
利回りが高いのには理由があります。社債の利率は、主に信用度によって変わります。発行した企業が破たんすれば、利子や元本の支払いが滞る可能性があるからです。つまり利率が高い債券は、その分、利子や元本の支払いにリスクがあるということになります。
債券の安全性は格付けを参考に判断します。格付けは一般的にアルファベットで表せれ、Aの数が多いほど安全性が高いことを示しています。前述のソフトバンクの社債はBBB+。社債の中では比較的低い格付けです。
しかも今回のソフトバンクの社債の場合、劣後特約付になっており、会社が破たんした場合には、利子や元本の支払いの優先順位が普通の社債よりも劣る仕組みになっています。
このように社債には、リスクもあるので利回りだけで判断しないことが重要なのです。そこで次回は、実際にどのような個人向け社債が発行されているのか、また、最近増えているといわれる円建て外債(サムライ債)とは何かを紹介します。
■バックナンバー記事
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【連載:債券の基本教えます Vol.1】定期預金や国債に比べ利回りの高い“個人向け社債”はリスクに注意