マネジメント

休憩時間を義務化することで得られるものとは?

2015.12.02

今さら聞けない労務管理Vol.3

労務トラブル。

そういわれて思い浮かぶのは、『未払い残業』 や 『不当解雇』 などでしょうか。医療業界に限らず、他の業種でも問題となっており、メディアでも度々取り上げられるのでイメージしやすいのかもしれません。しかし、もっと身近で業界の衰退にかかわる大きな問題があるのをご存知でしょうか。それは・・・

『休憩時間』です。

いかがでしょう、少し拍子抜けしましたか?

だとすれば、あなたの医院はよほど素晴らしい環境か、あるいは崩壊寸前のどちらかです。

「休憩時間は2時間と聞いてたのに、実際は1時間も取れない・・・」

「休憩時間も電話対応をさせられる。こんなの休憩じゃない・・・」

「ゆっくり座って食事をする時間もない。これじゃあ身がもたないよ・・・」

こうしたトラブルで1人、また1人とスタッフが辞めていき、その度にコストをかけて募集をする。そんな医院は想像以上に多いのです。ただでさえ人材不足で採用がむずかしいのに、こんなことをくり返していては、医院が発展するはずがありません。結論をいってしまえば、休憩時間は義務化すべきです。

歯科医院も、数年前と比べて休憩時間の確保がむずかしくなってきています。大きな要因として、患者さんのライフスタイルが多様化したことが挙げられます。オフィス街ではお昼休みに患者さんが押し寄せ、共働きの増加により、住宅街でも20時、21時まで患者さんが途切れない。ショッピングモールなどに出店する場合は、契約上、そもそも休診時間を取ることさえできない場合もあるのは、ご存知の通りです。

0.1mmという単位を扱う世界で、頭や体を休めることなく高いパフォーマンスを発揮し続けることなど、できるはずがありません。だからこそ、『休憩時間の義務化』 が必要なのです。

私の会社では、休憩時間は食事のために1時間取っていただけでした。ところがある日、20分の仮眠が仕事のパフォーマンスを高めて利益に大きく影響するという話をききました。それならば、と早速試してみると、いきなり前月比15%の売上アップという結果につながったのです。

信じられないような話ですが、その後は1時間の食事に加えて20分の仮眠を義務化したのです。スタッフのモチベーションも、作業効率も、そして利益も目に見えて上がりました。ちなみに、30分以上の仮眠は眠りが深くなるため覚醒に時間がかかり、逆効果であることがアメリカの大学やイギリスなどの研究で科学的に立証されています。

休憩時間が満足に取れないという状況は、スタッフのモチベーションを確実にそぎ落とします。当然、作業効率も仕事のパフォーマンスも低下し、患者さんにも伝わります。しかしその変化は、毎日、毎日、ほんの少しずつです。ですから、いきなり大きな問題として捉えることができず、気づいた時にはすでに手遅れ、となってしまうのです。

もちろん、患者さんの都合やトラブルなどで休憩が満足にとれないこともあるでしょう。しかし、休憩時間を軽視している会社と、目的をもって休憩時間を義務化している会社とでは、たとえば3年後にどれほどの差が出ているかは、考えるまでもありませんよね。

まずは、院長自身が試してみる、というのはどうでしょう。

■バックナンバー記事
【今さら聞けない労務管理Vol.3】休憩時間を義務化することで得られるものとは?
【今さら聞けない労務管理Vol.2】残業計画が大きな利益をもたらす理由とは
【今さら聞けない労務管理Vol.1】もう、「知らなかった」 ではすまされない!

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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