マネジメント

医院とスタッフのよりよい関係を作るコミュニケーション術

コミュニケーションは【雑談】からはじめてはいかがでしょう

2015.11.26

医院スタッフとのコミュニケーションをうまく取るには?

たびたび問題になる、院長、そして医院スタッフ間のコミュニケーション不足。
今回の記事では、医院のコミュニケーションの問題について、その原因、解決方法をご紹介します。

医院スタッフとのコミュニケーション不足の問題

医院スタッフとのコミュニケーションは【雑談】からはじめてはいかがでしょう

10年前では考えられないほど、めざましく発展した“便利”で“自由”なIT環境と、多種多様なネットワークから創出される様々なコミュニティ。これらは、すでに“私たちの生活の一部”であり“文化”です。

しかし、指先一つで世界中の人とつながり、手にあふれるほどの情報を持ちながら、10年前、いや20年前、あるいはもっと昔から解決されないままになっているもの。それが、【コミュニケーション不足】です。

・全部言わなきゃ、わからないなんて・・・

・何が言いたいのか、わからない・・・

・そんなつもりじゃなかったのに・・・

・そう伝えたはずなのに・・・

これらの原因はすべてコミュニケーション不足によるものです。もし、医院の運営の中でもこんなことが多いと感じるのならば、一度ゆっくりスタッフとのコミュニケーションについて考える必要があります。

そもそも、【コミュニケーション】とは何でしょう? そう尋ねると、実に多くの方がコミュニケーションというものを必要以上に難しく捉え、何か一大決心をしないと取り組めない、組織のプロジェクトのように考えてしまいがちなのではないでしょうか?

医院スタッフとのコミュニケーションを円滑にする方法

コミュニケーションは、もっとシンプルに考えるべきです。

コミュニケーションとはつまり、【お互いを理解すること】。

家族会議という言葉が存在することからもわかるように、血のつながった親子の間にさえ、お互いの気持ちや時間を共有する必要性があります。仕事のつながりだけの医院スタッフ同士であればなおさらです。では、どうすればお互いを理解してコミュニケーション不足を解消できるでしょうか。

・細かく、正確な申し送り?

・報告、連絡、相談の徹底?

これらは業務を円滑に進めるための手段ではありますが、あくまで仕事の一部であり、それでお互いに興味を持ち、理解しようとする気持ちになるとは思えません。

お互いを理解するのに大切なのは、なんといっても【雑談】です。当たり前の話ですが、年の離れた上司よりも、週末の出来事や趣味の話ができる友人の方が親近感を持てますよね。これは、雑談を通じてお互いの好きなことや苦手なもの、大切にしていることなどを共有、理解しているからです。

まず相手に興味を持ち、自分に興味を持ってもらう。これがコミュニケーションの第一歩ですが、これには雑談が一番です。そして理解を深めるには雑談の“量”も必要です。

院長は、コミュニケーション能力には長けているでしょう。開業して、医院経営を続けていくにはコミュニケーション能力は必須ですから、意識しなくとも身についているのかもしれません。

しかし院長の知らないところでスタッフ間のコミュニケーションが崩れていき、いつの間にか組織が崩壊しているというのは、よくあることです。

ですから、【雑談のできる環境】をつくってみてはいかがでしょう。

なにも仕事中の私語を推奨しましょう、ということではありません。たとえば1日のうち10分だけ、スタッフみんなでコーヒーでも飲む時間をつくるとか。時間のかかる事務作業はスタッフ2人でしてもらうというのもいいでしょう。

少し作業効率が悪くなる可能性もありますが、はかどる場合もあるでしょうし、そこに会話が生まれることによって明るい職場になれば、患者さんにも、スタッフにも楽しい医院となるでしょう。

それでは次に、医院のスタッフを成長させるコミュニケーションについてお話します。

医院スタッフに対する不満をなくすには

【仕事】ではなく【考え方】を教えることが医院スタッフを成長させる

「もっと自分で考えて仕事してほしい」 24.3%

これは、ある転職支援サイトが実施したアンケートにおける「部下に対する不満」という設問の、第1位の回答です。25%程度、つまり4人に1人が抱える不満です。

特に意外でもなく、上位にランクインが予想される回答でもあります。そして多かれ少なかれ、どの組織にも内在する問題であり、一朝一夕には解決できるようなものではないというのが、おそらく大多数の意見ではないでしょうか。

しかし、これは驚くほど簡単に解決できます。コーチングや、メンタルヘルスなどに関する知識なども必要ありません。

「もっと自分で考えて仕事してほしい」というのは、部下やスタッフに成長してほしい、という考えがベースとなっており、言いかえれば、「どう教えれば自分で考えて仕事ができるようになるか」ということになります。

さらに突き詰めると、「自分で考えられないのはなぜか」となりますが、それは「考え方を知らないから」です。ですから、なぜそれをするのか、どういう考え方やプロセスのもとにその仕事を進めるべきかを教える必要があるということです。

医院スタッフを成長させるコミュニケーションとは

スタッフに仕事の仕方を教える方法は、幼い子どもに、初めてトランプのゲームを教えるイメージです。

たとえば“7ならべ”なら、こうですよね。

①はじめに“7”のカードを出すこと
②“7”に続くカードを順番に出すこと
③配られたカードがなくなったら勝ち

このように基本を教えます。ただし、基本だけでは実際のゲームでは勝てません。なので、勝つための手段と、その手段を有効に使うための考え方を教える必要があります。

すると子どもは、やがてコツをつかみ、自分なりの考え方や手段を見つけはじめるのです。

そして気がついたときには、教えた大人がその子に負けるようになり、やがて勝てなくなってしまう。それでは悔しいということで別のゲームを教えるものの、7ならべで覚えた考え方を応用させ、結局すぐに勝てなくなってしまう。子どもは楽しくなって、もっとやろう、もっとやろう、となるわけです。

これが、【考え方を教える】ということです。
このように、スタッフと仕事に関するコミュニケーションをとる時には、【考え方を教える】ということを意識してみてはいかがでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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