『選ばれる医院』になるための身だしなみとは
2017.02.17
医院の身だしなみについて考えてみましょう
つまり、「見た目ですべてを判断するのは危険だが、見た目ですべてを判断されると覚悟した方がいい」ということです。
では、医院での身だしなみはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか?
人は見かけによる、という真実
車を運転している時、ふと視界に入った警備員の姿に思わずブレーキをゆるめてしまった、という経験はないでしょうか。言うまでもなく、これは警察官と見間違えた結果です。
それだけではありません。ドラッグストアでかぜ薬を選ぶのに迷ったとき、あなたならポロシャツ姿のスタッフと白衣を着たスタッフのどちらに相談しますか?
授業参観に学校へ行ったら、首からホイッスルをぶら下げたジャージ姿の男性が前から歩いてきます。さて、その方は何の先生だと思いますか? 白衣を着た女性なら、どうですか?
形の悪いクロワッサンと、きれいに形のそろったクロワッサン。同じ金額なら、あなたはどちらを買いますか?
いかがでしょうか。改めて考えてみると、日常生活の中で私たちがいかに外見でものごとを判断しているのかが分かります。
学校でジャージ姿の男性を見かけたからといって、その方が必ずしも体育教師とは限りません。白衣を着た女性といえば保健の先生というイメージは強いですが、物理の先生だって白衣を着用します。
クロワッサンの形が悪いのは1つ1つ手作りしている証拠で、きれいに形がそろっているのは無機質に機械で作られたもの、という可能性もあります。加えていうなら、味には一切関係ありません。
こうして一歩踏み込んで考えれば、単純に外見だけで判断すべきでないことは分かります。ですが、それはとても面倒なことです。だからつい、外見だけで咄嗟に判断してしまう。良いとか悪いとかではなく、人間とはそういうものなのです。だからこそ、『見せ方』が重要なんですね。
八百屋さんでは、野菜が美味しく見えるように水をかけたり、並べ方を工夫したりしますよね。時には、あえて洗わず泥をつけたままにして、鮮度を強調したりもします。要するに、それと同じことです。
医院スタッフが汚れたスクラブを着ていたり、サイズの合っていない大きなチュニックを着た受付スタッフがいたりすれば、「なんかこの歯医者さん、だらしないな…」と感じるでしょうし、歩き方や話し方ひとつでも印象は大きく変わります。
医院に限ったことではありませんが、治療の技術(商品のクオリティ)だけで集患することはできません。『商品の見せ方』次第で、ビジネスは成長したり、衰退したりするのです。
医院にとっての商品とは、技術や空間、そしてスタッフです。端的に申し上げるなら、スタッフの身だしなみは医院の盛衰に大きく影響するということです。一度、客観的に見てみる、若しくは第三者に見てもらうことをお勧めします。
医院の信用を築く『〇〇らしさ』
想像してみてください。カフェでくつろぐあなたの目の前で、2人の男性が打ち合わせをしています。1人は作業服姿で、片手に図面を抱えています。もう1人はピシっとした紺のスーツを着込み、脇にはアルミ製のアタッシュケース。
何となく聞こえてくる話の内容からすると、どうやら営業マンと現場監督が新しく建設するマンションの図面を確認しているようです。さて、ここでお答えいただきたいのですが、あなたは、どちらの男性が営業マンだと思いますか?
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いかがでしょう? もちろん、会話だけで判断することは難しいですが、おそらく多くの方が「スーツを着た男性が営業マン」と答えるのではないかと思います。逆では違和感があるからですね。それは、『営業マンはスーツを着ているもの』という先入観、あるいは、『営業マンならこうあるべき』といった個人的な価値観によるものではないでしょうか。ひと言でいうなら、『〇〇らしさ』ということになります。
もちろん、本当のところは本人に確認してみないと分かりません。営業マンが工事中の現場を確認するために作業服姿になっていることも考えられますし、現場監督にしても、デベロッパーや取引先との商談を控えてスーツを着ているだけかもしれません。
様々な事情や状況によって、一般的なイメージとは異なる服装を選択するのは、よくあることです。それに、営業マンだからといってスーツを着なければならない、という決まりはどこにもありません。Tシャツにジーンズという軽装で億単位のマンションを販売していたとしても、法律上罰せられることもなければ、マンション自体の質に影響が出るわけでもないのです。
しかし、たとえばあなたが高級マンションの購入を検討しているとき、担当の営業マンがヨレヨレのTシャツにジーンズという姿で現れたらどう感じるでしょうか? 何となくマンションの価値も低く感じてしまうことはないでしょうか? その相手を100%信用することができるでしょうか?
実際にどのような感情を持ったとしても、それはあなたの責任ではありません。問題は、高級マンションを取り扱う営業マンとしての『らしさ』を提供できない方にあります。それがどんな職業であれ、『〇〇らしさ』を提供することは重要な意味を持つのです。医院も例外ではありません。
・ユニフォームが全員同じなので、誰に何を聞けばいいのか分からない
・受付スタッフの格好がカジュアルすぎて、プロ意識を感じない
・何となく動きが散漫で誠意が伝わってこない
これらは、実際に患者さんが心の中で感じていることです。求められている『らしさ』とは何か。この機会にもう一度考えてみられてはいかがでしょうか。
先生やスタッフの顔が見えないことへの不安
95.7%
これは、「マスクで顔が見えないと歯医者さんは怖い?」というアンケートに、「怖い」と答えた小学生の割合です。アンケートを実施したのは23名と少ないですが、そのうち、実に22名がマスクで顔が見えないことに対して不安を感じているという結果になりました。
「テーマが身だしなみなのに、マスクの話題?」
そう思われるかもしれません。しかしながら、身だしなみにはマスクや手袋など、衣服以外に身につけるものに加え、所作や言動も含まれると考えるべきではないでしょうか。他人に与える印象として、衣服同様に大きく影響するからです。
さて、マスクへ話題を戻しますが、確かに相手の顔が見えないというのは、子どものみならず大人でも不安を抱くものです。これからの季節はかぜ予防にマスクが欠かせなくなりますが、大きなマスクを着用していると、よく知る人物でも一瞬誰だか分からないことがあります。あなたがそう感じているとは知らずに近づいてくる相手に、思わず身構えてしまった、という経験がありませんか?
顔が見えないことから生まれる不安というのは、単純に『誰だか分からない』ということもあるでしょうが、一番の要因は『表情が見えない』ことによるものです。そこへ無機質な機械音が加わるとなれば、小学生ぐらいのお子さんが恐怖を覚えるのも、無理のないことです。
ご存知の方も多いかと思いますが、ドイツで、マンガのようなコミカルタッチの口元をプリントしたマスクが話題になったことがあります。そして実際に、お子さんの恐怖を和らげることに一役買ったようです。こういったアイテムを取り入れることもまた、1つの手段かもしれませんね。
ですが、物に頼らずともお子さんを不安や恐怖から救い出す方法があります。それは『治療前にマスクを外し、笑顔でコミュニケーションをとること』です。
笑顔は、相手に安心を与え、『楽しい』という感情を呼び起こすことができます。リウマチ患者を対象とした実験では鎮痛効果も報告されています。医療の進歩に伴い痛みを伴う治療は減ってきているといいますが、「歯医者さんが怖い!」と感じる子どもの気持ちは、昔も今も変わりません。
ほんの少し、マスクを外してコミュニケーションを図る。忙しいときなどは、手間に感じるかもしれませんが、これだけで子どもたちの不安を取りのぞき、そして『選ばれる医院』になるとすればどうでしょうか。少なくとも、試してみる価値はありそうですよね。