3度お得な節税手法「iDeCo」のメリットと注意点
2021.02.25
60歳未満なら必ず検討しておきたい「確定拠出年金」とは!?
今回は、iDeCoの3つの税制メリットと注意点について解説していきます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?
iDeCoは国民年金や厚生年金など公的年金に上乗せする任意加入の私的年金制度です。加入者が毎月一定の金額を拠出し、用意された投資信託などの金融商品で自ら運用し、60歳以降に受け取ります。似たような制度に「国民年金基金」がありますが、国民年金基金は運用を国に任せるのに対して、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は自身でその運用方法を決定するという違いがあります。
そんなiDeCoの3つの税制優遇は以下の通りです。
【iDeCoは3度お得な節税手法】
【税制優遇その1】掛け金が全額所得控除
iDeCoの掛け金は全額所得控除の対象になります。これは加入者にとって最大のメリットです。
自営業者の毎月の掛け金の限度額は6万8000円です。課税所得2000万円の40歳の自営業者が毎月6万8000円の掛け金を拠出した場合、毎年所得税と住民税を合わせて40万8000円軽減できます。これを、60歳まで20年間続けた場合、816万円もの軽減につながります。
運用の利益は確実ではありませんが、この税制メリットは加入者が必ず得られるものです。税制メリットで税金が浮いた分を個人で運用することにより、実際の支出額(掛け金-還付された税金)と比較して数倍もの退職金や年金原資を築くことも夢ではありません。
【税制優遇その2】運用益に対して非課税
株式や投資信託を運用して出た利益には税金(源泉分離課税20.315%)がかかります。ところが、iDeCoで運用した場合の運用益は非課税です。
通常ならこの運用益に対し、約122万円(600万円 × 20.315%)課税されますが、iDeCoなら非課税です。
このように利回りが上がれば、非課税メリットはより大きくなるのです。
【税制優遇その3】受け取り時にも控除が適用される
iDeCoの年金原資の受取りは分割か一括から選択できます(金融機関によっては、分割と一括を併用することもできます)。分割で受け取る場合は公的年金等控除、一括で受け取る場合は退職所得控除の対象です。
《一括で受け取ると手取り額はいくらになる?》
退職所得の課税対象額は以下の計算式で求められます。
掛け金を積み立てた年数は退職所得控除計算上の「勤続年数」として扱われます。
上述の例の場合、積み立てた年数が20年なので、退職所得控除は800万円です。
約2,232万円の運用結果に対し、一括で受け取れる金額は約2,057万円となります(その年の退職所得がiDeCoのみの場合)。
《一括で受け取る場合の注意点》
一括での受け取りはメリットがありますが、小規模企業共済にも加入している場合などに注意していただきたいことがあります。
退職所得には「過去4年以内に他の退職金がある場合、勤続(積立)年数の重複している期間を退職所得控除に含まない」というルールがあります。つまり、2つの退職金を5年以上の間隔を空けて受け取ればいい、ということです。ところが、iDeCoなど確定拠出年金は過去14年まで遡ることになっています。
そのため、60歳になったら、まず、確定拠出年金を受け取り、そこから5年以上後に小規模企業共済など他の退職金を受け取るようにすると良いでしょう。
まとめ
iDeCoには3つの税制メリットがあり、開業医の退職金準備としてもぜひ活用したい制度です。しかし、制度が複雑で運用も自己責任であるなどボトルネックもあります。もし、運用で失敗することを恐れて加入を躊躇しているのであれば、ほとんど運用益は期待出来ませんが、元本保証の定期預金という選択肢もあります。
iDeCo最大のデメリットである「60歳まで引き出せない」という問題さえクリアできるのであれば、60歳未満の方は必ず検討すべきと言っても過言ではないほどお得な制度です。
まだ導入されていない方はこの機会にぜひ始めてみてください。