残された家族の負担を最小限に
2016.03.21
意外と知らない“エンディングノート”の使い方Vol.3
また、医院を開業している経営者であれば、事業の継承のことや、経営者として契約・加入している保険などの手続き、歯科医師会や保健所、所轄厚生局への届出などが加わります。
特に葬儀は、医院の規模にもよりますが、社葬のように医院が主体として行うのか、個人として行うのかによっても準備するものが違ってきます。例えば、葬儀費用を医院の経費の中から出すのか、それとも、ご家族が費用を出して葬儀をするのか。実際には、ご遺族のご判断になるかとは思いますが、規模が大きくなれば費用負担も大きくなりますので、取引先を含めた関係会社や知人など、葬儀に多くの参列者が予想される場合は、事前にこういった費用を誰が負担するのかも考えておきましょう。
そして、葬儀の形や規模などの希望があれば、エンディングノートに書いておくとともに、ご家族に伝えておきましょう。それが理想の最期を迎えるための第一歩となるのです。
最近では、葬儀の規模を小さく、近親者だけで行うケースが多くなっています。しかし、葬儀後にご自宅への弔問に多くの方が訪れ、逆にご遺族の負担が増えてしまうケースもあるようです。現役を引退した方の葬儀であっても、引退後も地域との交流を続けていた方の場合などは特に注意が必要です。生前人付き合いの多かった方の葬儀を近親者のみで行う場合には、葬儀とは別でお別れ会や偲ぶ会を行うことを検討するのも手です。
さらに、訃報を連絡してほしい人たちのリストをエンディングノートに書いておきましょう。そうすることで、残された家族が調べる手間が省けるのです。
日本では、葬儀を仏式で行うことが多いですが、宗派によって葬儀屋さんが準備するものも違います。また、埋葬については、菩提寺があり、そこに納骨を考えている場合は、あらかじめ菩提寺に葬儀や埋葬のことについて相談をしておきましょう。その菩提寺で葬儀をしないと納骨をしてもらえないことがあるからです。
元気なときに、葬儀のことやお墓のことを考えるというのは、現実味がなくイメージがわかないかもしれません。しかし、災害や事故など、明日何が起こるかわかりません。エンディングノートは、基本的にもしもの時のためのものですので、些細なことでも、残された人が困らないように記録しておくことが大切なのです。