開業資金を借りる前の心構えと準備
2017.02.03
医師の開業資金は、どうやって借りればいいの?
開業時の資金繰り
まず、開業時にどこで借りることができるのか? 親族などからの借り入れに頼る方法も考えられますが、新規開業であれば、医療機器とリフォーム費用等初期費用を必要最小限に抑えても数千万円、土地や建物も自前で用意する場合には億単位の資金が必要となるため、一般的には民間の金融機関を頼ることになります。この他、日本政策金融公庫から開業資金を借りる方法もあり、固定金利で借りることが可能です。
金融機関の選定と同時に、どれぐらい資金が必要になりそうか見積もりを取っておく必要があります。いきなり全部を揃えるのではなく、一部はリース等を活用し、順次取り揃えていく方法もありますので、開業後の大まかな設備投資計画も一緒に立てておくことをお勧めします。
金融機関の審査において特に重視されるものの1つとして、開業計画書があります。開業計画書では、開業後の収支のシミュレーションのほか、どういった事業展開を目指すのかを記載します。新規開業は実績がないため、その開業計画が妥当で、人格やその事業の将来性なども含めて返済能力があると判断されなければ融資実行とはならないため、この開業計画書が大きな意味を持つのです。出来る限り具体的な計画を立てた上で、金融機関の融資面談時には事業計画や資金計画を細かく伝えられるよう準備しておきましょう。
また、開業計画書の他に、担保や保証人をどうするかも考えておかなければなりません。現状の資産額も聞かれるため、預貯金の証明できる通帳のコピーや、既に住宅ローンなどの借り入れがある場合にはその借入額も示す必要があります。こうした書類も事前に準備しておかれると、スムーズに事が進みます。
現在はマイナス金利の影響により、比較的事業借入がしやすい状態にあるといわれていますが、依然として比較的高めの金利(2%前後若しくはそれ以上)で借りられている先生方も多くいらっしゃるようです。この機会に一度、ご自身の融資条件が改善できないものか確認してみてはいかがでしょうか。
住宅ローンや教育ローンの借り方
住宅ローンや教育ローンを組む際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。医師・歯科医師の方も、基本的には一般の方と同じように、金融機関でローンを組むことになります。今回はローンを検討する上で押さえておくべきポイントをお伝えします。
一言に医師・歯科医師と言っても環境は様々で、開業に伴う借入があるといった方から、勤務医で特に借入もないといった方までいらっしゃるかと思います。特に他に借入がある方は、住宅ローンや教育ローンの借り入れをすることにより、他の返済に支障が出ないか、月々の収支に余裕がある計画かどうか事前に確認しておきましょう。
他に借り入れがない方でも億単位で住宅購入資金を借り入れる際には、余裕のある返済計画を立てることが大切です。例えば、金利が上昇した場合や、子供の教育資金が必要な時期、万が一の病気や怪我、多少の収入の上下などにも問題なく対応できるかどうか事前に予測を立てておきましょう。
一般的には、収入が安定しており、頭金を多く入れることができれば、住宅ローンの審査は通る可能性が高いといわれています。また、どのような物件を購入するかで金融機関の担保価値は異なります。
例えばこだわりの詰まった数億円の豪邸であれば、万が一の際の売却が難しいケースも多く、収入等に全く問題なくても融資してもらえる割合が低くなることもありますし、再販がしやすいと金融機関が評価する物件であれば、頭金をほとんど入れなくても良い場合もあります。
ローンの期間に関しては月々の返済が可能な範囲で決めましょう。返済期間を短めに設定することで支払い利子を最小限に抑えることが出来ますが、今のマイナス金利情勢においては、返済期間を長めに設定し、繰り上げ返済を計画的に行うという選択肢も、月々の収支に余裕を持つことができ非常に有効です。
また、返済期間が10年以上であれば、住宅ローン減税(所得税もしくは住民税の還付)を受けることが出来ますので、利子のみに着目せず、総合的に負担が少なく返済できる計画を立てましょう。
また、教育費に関しては、基本的には現預金や学資保険でカバーできることが望ましいですが、私立大医学部の場合にはある程度まとまった資金(授業料のみで2000~5000万円)が6年間で必要となり、その資金を借り入れる必要が出てくる場合もあるでしょう。金融機関によっては、ドクター専用の教育ローンの取り扱いを行っています。こうした教育ローンでは、私立大医学部向けの教育ローンの設定ができますので、一度相談されることをオススメします。