MANAGEMENT

『問いかけ』がスタッフを成長させる

ANAに学ぶ『チームの育て方』

2017.04.19

ANAに学ぶ『チームの育て方』Vol.2

「たった2機のヘリコプターからはじまった私たちが、ここまで来ることができた大きな原動力。それは、『チーム力』です」

これは、『ANAの教え方』(ANAビジネスソリューション著:KADOAWA)の冒頭部分に書かれた一文です。この中では、ANAの総意として、「たった1人の優秀なパイロットや客室乗務員がいたところで、何の役にも立たない。だからこそ、人から人へ技術やノウハウを教えることが不可欠なのだ」と語られています。

そして、『教え方』の基本となるのは、「先輩は、後輩が自律成長するためのサポーターである」という考え方です。この背景には、臨機応変な対応と、迅速な意思決定スピードが常に求められる環境があります。

毎日約1000機もの飛行機を動かし、何万人という人命を預かる中で、言われたことしかできない人材では、いざという時の判断ができません。上司の判断を待っている間に、手遅れになることもあります。したがって『仕事を教える』のではなく、『自律を促す』のが先輩としての役割とされているのです。この2つの違いを簡単にいうと、単純に仕事の内容を相手にインプットするか、あるいは、問いかけによって自分自身の考えをアウトプットさせるかの違いです。

「それが終わったら、次はこれをやって」ではなく、「それが終わったら、次は何をすればいいと思う?」と問いかけるのです。

医院でレセプト業務を教える場面で考えてみましょう。多くの場合、教えるスタッフの経験や知識に基づいて、「これは、こうした方がいい。この場合は、こうすると解決する」といった具合に仕事そのものを教える、つまり相手にインプットすることが多いのではないでしょうか。もちろん、基本的なデータの取り扱いや管理方法については、インプットも必要です。しかし肝心なのは、イレギュラーな問題が発生した場合です。

たとえばカルテのデータに誤入力を発見した場合、一時的な対応で済むのか、それとも根本的な修正が必要なのか、そして発生原因の追究をどこまでやるべきか、再発防止策はあるのかなど、あらゆることを考えなければなりません。その時に、インプットした情報だけに頼っていては、自分で判断できることは限られます。その結果、先輩の指導を受けないと何も進まない、ということになるのです。

「このカルテはここのファイルにしまっておいて。次に来院されたときは、この書類も用意しておいて」という指示しか受けていないスタッフには、それ以上のことはできません。ですが、「このファイルは、どこにしまうべきだと思う? 次に来院されたときに、他に何か準備しておくものはあるかな?」と問いかけに変えることで、なぜファイルを分けて管理するのか、関連する書類にはどんなものがあり、なぜそれらが必要なのか、といったことに対する答えを自ら引き出せるようになります。それはスタッフの成長と、医院全体のスキルアップを意味します。

新しい仕事を教えるとき、問題を解決するとき、アイデアを引き出すとき。

「なぜ、これをすべきだと思う?」
「どうして、こうなったと思う?」
「どうすれば、実現できると思う?」

こうした問いかけを、どれだけできるか。それが、スタッフの自律を促し、チームを成長させるカギとなるのではないでしょうか。

▼参考文献
・「人もチームもすぐ動く ANAの教え方」ANAビジネスソリューション 著/中経出版
執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部