マネジメント

信頼関係を育てる『仕組み化』・『見える化』

ANAに学ぶ『チームの育て方』

2017.04.12

ANAに学ぶ『チームの育て方』Vol.1

「もっと職場の風通しを良くしたい・・・」
「もっとアイデアや意見を活発に出してほしい・・・」
「もっとスタッフとのコミュニケーションを深めたい・・・」

経営者やリーダーの多くが、そう考えています。そして、それを実現するための要素として、チーム内の信頼関係を構築し、コミュニケーションを活発にすることが解決の糸口になると分かっているのです。それなのに、なかなか思うようにいかない、という方が多いのは何故でしょうか?

それぞれの環境によって違いもあるとは思いますが、共通していえるのは、

『具体的に、何をすればいいのか分からない』

つまり、プロセスが分からない、ということではないでしょうか。いうなれば、説明書のないプラモデルを作ろうとしているようなものです。作りたいものがあって、目の前にパーツも揃っている。でも、説明書がなければ、何から組み立てればいいのか、どこに、どのパーツが必要なのかも分かりません。そんな状態では、プラモデルを完成させることはできないのも当然です。そしてそれは、チームの育て方も同じです。

必要なのは、誰にでも組み立てられるような環境を整える『仕組み化』と、どのパーツをどこに使うのかを明確にする『見える化』なのです。

今回は、『仕組み化』と『見える化』によってチームを育て上げ、そのノウハウを、研修という形で他社にも提供している会社をご紹介します。全日本空輸株式会社、『ANA』です。

ANAでは、チームを育てるために『雑談』を重要視しています。雑談を、自分一人では経験できないようなことを仲間から得る機会、と捉えているからです。雑談を積み上げることは、ノウハウの蓄積になると考えているのです。

そう考えると、経験豊富なベテランスタッフや上司との雑談は、最も有効的といえます。とはいえ、いきなり「ベテランスタッフや上司との雑談を増やしましょう」と言われても、難しいと感じる方が多いのも事実です。

そこでANAのある部署では、部下が上司に話しやすい環境をつくるため、席順を変えました。一般的に、上座に置かれる上司の席を、誰もが通る通路側に配置したのです。さらに、その脇にテーブルを設置し、キャンディーなどを置くことによって、リラックスしながら話せる場所をつくりました。井戸端会議がはじまるように、井戸を設置したというわけです。仕組みをつくり、それを見える化した好例といえるでしょう。

また、ANAには『グッドジョブ・カード』という仕組みがあります。他人を褒めるということは、相手に「自分のことを認めてくれた」という感情を与えます。それをチーム内で続けることができれば、コミュニケーションも活発になり、信頼関係も育ちます

しかし、面と向かって他人を褒めるというのは照れくさく、人によってはハードルが高いものです。そこで、相手に直接伝えるのではなく、カードに書いてチームで共有する仕組みをつくりました。カードは複写式になっていて、1枚は他のチームメンバーの前で本人に渡し、1枚は上司に提出します。これによって、褒められた人が称えられるだけでなく、褒めた人も「よく見ているね」と認められることになります。

実際、この仕組みによってANAには『褒める文化』が定着したといいます。これは、他のメンバーを褒めるという行為を『仕組み化』し、カードに書いて『見える化』をしたことの成果です。

・どんな仕組みがあれば、チームの信頼関係を育てることができるか
・誰が見ても目的と成果が分かるようにするには、何を見せる必要があるか

2つのアイデアが揃ったとき、チームの成長が始まります。あなたには、どんなアイデアがありますか?

▼参考文献
・「どんな問題も「チ-ム」で解決する ANAの口ぐせ」ANAビジネスソリューション 著/中経出版
▼参考WEBサイト
■ ANAグループの人づくり
https://www.ana.co.jp/group/csr/employees/strategy.html
■ 人材戦略
http://ana-recruit.com/human/resource.html
執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
458件の開業医を成功に導いた成功事例集