ビジョンに焦点を当て徹底的に挑戦させるアマゾン流マネジメントとは?
2017.10.11
ジェフ・ベゾスに学ぶマネジメント論〜彼のもとにはなぜ人が集まるのか〜
彼は人材という資源に対しては、適切なマネジメントが出来ているとは言えません。彼は癇癪(かんしゃく)と罵倒で有名です。『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』に依れば、ベゾスは部下を激しく叱ったり見下したりするようです。又、相手のほうが多くの情報を持っていても、その判断を却下することがよくある、と書かれています。お気に入りのセリフは、『オレの人生を無駄遣いするとは、どういう了見だ?』とのこと。彼のやり方は謙虚だとか、誠実だとか、部下思いだといった日本で理想とされるマネジメントスタイルからは非常に遠いと言えそうです。しかし、それでも彼の周りには常に優秀な人が集まってきています。それは何故なのでしょうか?
それはベゾスには、明確なビジョンがあるからだと考えられます。ベゾスのビジョンと言うのは、常識を超えた突飛なものではありません。非常に単純明快で、
・地球上の商品がなんでも買える店を作る
・顧客の体験が第一
・利益が出る方法ではなく、安く売れる方法を考える
といった内容です。これは、誰もがいいと思う内容ですが、実現させることは非常に困難な内容です。前著に依れば、目指そうとする場所がクレイジーなのではありません。目指し方、徹底の度合いがクレイジーと言えます。軸をぶらさず、とことん追求するから、部下はどちらに向かって努力すればいいのか分かるのです。
そう考えると、部下への接し方も、部下に対する要求が非常に高いことの裏返しと言えそうです。彼にとっては、部下が自分のクレイジーさに追いつくことを期待していると言えます。部下には大胆な発想をしてほしいと思っており、それが社内の合言葉のようになっているようです。彼は、部下自身からも世界を征服しようというくらいの意気込みが感じられないと不満なのです。
実際彼の発言には、「失敗しても後悔しないのはわかっていたが、たった1つ後悔していたかもしれないのは、試さないことだ」「初めて何かをするときには、必ず授業料を払わなければならない。失敗しても学習すれば良い。上手くできるようになったら、投下資本利益が向上し、その投資は利益を生む」といった発言があります。
これは部下に、挑戦的、且つクレイジーな程にビジョンを目指すことを強く要求する内容と言えるでしょう。優しいだけが正しい人材マネジメントではありません。明確なビジョンを示し、モノ・カネ・情報を駆使して、部下に挑戦を求めれば、それに沿う人材が集まってきているのです。もちろん、不本意ながら、辞めていく優秀な人材も多いことは確かですが、それ以上にアマゾンは人を惹きつけています。彼のマネジメントの本質は、ビジョンに焦点を当て、「挑戦させること」を徹底的に実践している点と言えるのではないでしょうか。
皆様はそのようなビジョンをお持ちでしょうか?