スタッフが人間関係に悩まずに、気持ちよく働けるように
2016.07.20
みんなにやさしい歯科医院Vol.5 -「人を動かす鉄則」全ての経営者にいえること-
●「人を扱う原則的技法」
各国の首脳たちが愛読している本「人を動かす」(デール・カーネギー著)は、現在も多くの経営者に読まれているので、お持ちの方も多いのではないでしょうか。その一部をご紹介します。
「人を動かす三原則」
(1)批判も非難もしない。苦情も言わない。
(2)率直に評価し、誠実に相手を認め感謝する。
(3)やる気を起こさせる。
批判や苦情は、言われると誰でも嫌な気分になるはずです。反省どころか、心に反論や反感を生み、逆効果となることが多いのです。もし改善してほしい問題があるなら、お願いするという姿勢で伝えましょう。そのとき、褒める言葉を付け加えると、相手の心の深くまできちんと届くのです。
「経営者の自分がそこまでしないといけないのか」と感じるかもしれません。しかし、効果がてきめんですし、訓練と思って何度も続けると、慣れて苦ではなくなります。言い方一つで人望が厚い経営者と呼ばれるようになるのです。また、やる気は個人にもよりますが、例えば上司は真実を率直に言うより、嘘も方便で、部下が気持ちよくなれるよう会話をすることで、モチベーションを上げることができるのです。
この三原則は単純なようでいて、徹底することが難しいことばかりです。しかし、意識するだけで、スタッフはもちろん、経営者自身も前向きな気持ちでいられるようになるのです。とはいえ、日常の業務では余裕のない日もあって、つい忘れてしまうものです。忘れることを念頭に、何度も思い返す姿勢が大切にしましょう。
具体的な心がけとしては以下のようなものかあります。
●スタッフに対する話し方に気を付ける
人間関係のストレスは、スタッフ同士の場合と、対院長の場合とがあります。医師がついやってしまい、現場のストレスとなるのは、こんな点です。
・言い方がぞんざい
・スタッフを見下している
・気分にムラがある
・ルールがわかりにくい
ぶっきらぼうなしゃべり方というより、相手を下に見て、ないがしろにするような発言が嫌がられてしまうようです。
また人間なので気分にムラがあるのは仕方のないことですが、あまり極端に差があったり、日によって言うことがガラリと変わったりすると、スタッフは混乱してしまいます。そうならないよう院内のルールを細かく決めておくと、お互いに仕事をしやすくなります。完璧に直すことはできなくても、努力する気持ちが大切なのですね。
●スタッフの目線に立つ
資格を取得してすぐ開業された場合や、先代の医院を引き継いだ場合など、院長先生方の中には社会経験が乏しい方が比較的多いという事実は否めません。そのため雇われているスタッフと認識や感覚に隔たりがあることがあります。まずは、院長先生自身がそのことを自覚し、相手の立場を想像してみることから始めましょう。
●目標を共有する
トップである院長が、何を大切にしたいのか、今どういうことに関心があるのか、伝えていくことで、スタッフもついていきやすくなります。逆に院長が何を考えているかわからず、スタッフ自身の仕事がどれくらい評価されているのかが見えないと、スタッフは努力することがむなしくなってしまうことがあるのです。
●トラブルは上位の人間が守る
患者さんとのトラブルがあった場合、すぐに上の人間が出てきてくれると患者さんも納得します。また現場のスタッフも守られていると感じ、安心して働ける職場だと感じます。
●経営者の手法は共有できる
学生時代の友人など、経営者が周りにもたくさんいる場合、ぜひ体験談やコツなど共有し合えるといいですね。人を雇い動かすことは、他業種であっても共通しているので、目からウロコの解決法が見つかるかもしれません。
これらは小さな心掛けですが、やるとやらないでは大きな違いが生まれます。できていなかったかもしれないと思われた方は、是非実践してみてください。