「人間関係がこじれにくい職場」をつくる
2016.07.13
みんなにやさしい歯科医院Vol.4 -人間関係のストレス2-
「人間関係がこじれにくい職場」をつくる
スタッフ同士の人間関係は、経営者としてはどうにもならないと考えるかもしれません。しかし日ごろのケアで、「人間関係がこじれにくい、風通しのいい職場」を用意することは可能なのです。スタッフ同士の無用なトラブルが減れば、それに対応する院長自身の負担もなくなり、退職者を減らすことができます。
ルールを細分化するとストレスは軽減する
ルールは規則であり、全員が守るものですが、マナーは個人の感覚差があるため、このズレが揉める原因になることが往々にしてあります。特に、個人医院では、院長のマナーが院内のルールとなる傾向があります。それを暗黙の了解とするより、具体的にルール化して、マニュアルに書いておいた方が、スタッフも仕事を進めやすく、院長もイライラすることなく、お互いにストレスを減らすことができます。
例えば「電話は3コール以内にとり、遅くなった場合は『お待たせしました、○○歯科です』と言う」「診療中は電話を緊急時以外は院長につながない」などです。どのスタッフでも、新人でもすぐに実行できるようにしておくことがポイントです。
スタッフ同士の交流を増やすと、誤解やトラブルが減る
立場や役職を超えて、楽しい雰囲気の中で言葉を交わす時間が増えると、お互いに相手を理解し、仲間意識が芽生え、誤解が少なくなります。
・単純作業をみんなで
診療の時間以外に、資料の整理や、院内清掃、器具のメンテナンスなど、単純作業をみんなで多少の雑談を交えつつ行う場を意識的に設けるとよいでしょう。
一人のスタッフに任せるのでなく、みんなで手分けして行うことで、連帯感を生むことができます。年末に、皆で大掃除を早く終わらせて忘年会に行くという共通の目標を持つと一体感が生まれるのは、まさにいい例でしょう。
このとき、医師たちも、衛生士や助手と同じに作業に参加することで、フランクな、風通しのよい職場に近付くのです。
・院内だより、マニュアルをつくる
院内に掲示する情報や、院内だよりなどを、必要がないと感じても、あえて作ってもらうようにしましょう。それぞれの立場を超えて、意見を出し、作業を分担することで、互いの考えを理解することにも役立ちます。
マニュアルは、院長が大きな項目をつくり、スタッフが具体的に書き出し、院長がチェック・修正を行うことで完成します。担当者が変わるたびに見直しや修正をしていきます。
変更がない場合も、折を見て見直しをしていくとよいでしょう。
マニュアルによって業務を覚えやすくするだけでなく、つくる過程でスタッフの業務の進め方と院長の考えをすり合わせることもでき、一石二鳥といえます。
・社員旅行や親睦会
差しさわりのない程度に、家庭環境やプライベートの趣味などを知ることで、互いの人柄や事情を理解し、思いやりを持て、融通しあえるようになります。
これらの交流の時間は、勤務時間扱いにするとなおよいでしょう。スタッフによっては、勤務時間外にこれらの作業やイベントを行うと、それ自体がストレスになる場合があるからです。
人間関係が良好なら業務効率もあがる
スタッフ同士の連携がうまくいくことで、業務のミスも減らせます。余計なストレスがないことで、スムーズに診療を進めることができるようになります。一見、必要がないと思われる時間が、多くのムダをなくすことにつながるのです。