残業計画が大きな利益をもたらす理由とは
2015.11.25
今さら聞けない労務管理Vol.2
これは私の持論です。ですから反論もあるかもしれません。経営者1年生の頃であれば、私も異議を唱えていたでしょう。
「そもそも、仕事は計画通りに進まない。だからこそ、残業が発生するんだ」、と。しかし、大切なのは残業時間が計画でコントロールできるか否かの議論ではありません。まず、残業時間が計画通りになった場合の効果を挙げてみます。
・人件費コストが予測できるので管理しやすい
・経営者としての仕事を進める時間を捻出できる
・残業が発生する要因がつかめる
・その日にやるべきことと、そうでないことが明確になり『ダラダラ残業』がなくなる
・当然のような『いきなり残業』でスタッフのモチベーションが下がらない
パッと思いつくだけでも、これだけの効果があります。できるかどうかではなく、やるべきだという結論に至るのではないでしょうか。特に、人件費コストの管理と、経営者であるあなたの時間を捻出することは、そのまま利益につながります。
もちろん、いきなり計画通りには進みません。突然の患者さんやスタッフの体調不良、機器のトラブルなどによってやむを得ず残業になることもあるでしょう。私も、はじめはなかなか計画通りにいきませんでした。ところが続けているうちに、計画と結果がおもしろいようにかみ合うようになってきたのです。
当初は1か月単位で大ざっぱに計画していたのですが、1週間単位の計画に切りかえることで一気に精度が上がりました。その当時のスタッフはすべて時給制のアルバイトでしたから、人件費コストの管理は利益に大きく影響しました。時にはイレギュラーも発生しますが、全体でみればその影響は小さなものです。
さらに、1日単位の計画をすることで、ムダな作業を発見することができます。たとえば、「この書類作成、意味あるのかな」、とスタッフ全員が感じていてもなんとなく習慣として行っている、なんてことは意外と多いものです。ですから、1日単位の計画を見直すときは、積極的にスタッフの意見も取り入れるようにしました。一度自分でやってみる、というのもいいかもしれません。
また、自分の時間を捻出することもできるようになりました。当然、営業する時間が増えるわけですから、売上も変わってきます。どの業界も人材不足が深刻化する中で、経営者が経営者としての仕事をする時間はどんどん少なくなる傾向にありますが、それでは事業は発展しません。
残業時間を計画することは、労務トラブルを防止するだけでなく、コスト管理が容易になります。そして経営者の時間を増やすことが可能となり、事業の発展につながります。
あなたの医院経営に、大きな利益をもたらすこととなるでしょう。
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