人柄と高い治療技術のほかに大切なこととは?
2015.07.15
歯科医の顧客情報の管理と共有Vol.2
まずはマイナンバー制度の施行によるデータ管理の変革です。
今回制定されたマイナンバー法における利用範囲は、社会保障と税金、そして災害対策の各分野に限定されています。しかし、「施行後3年を目処に利用事務の拡大を目指すこと」と規定もされており、当然ながら医療機関での運用が開始されるのも時間の問題です。
後から慌てなくてもすむように、個人番号を取り扱うことを前提としたシステムの改修が必要となります。レセコンシステムと連動させてカルテを管理することは、もはや必須といえるでしょう。
次に、訪問治療の増加です。少子高齢化に伴い、地方における高齢者への支援や、介護施設の増加などにより、訪問治療のニーズは今後も高まり続けます。それに伴い、モバイルPCやタブレットを使って訪問先でカルテを閲覧・入力するシステムは、今後も精度や機能を高めながら、次から次へと開発されていくでしょう。
マイナンバー制度に対する知識も、訪問治療の仕組み自体もまだまだ十分に認知されているとはいえません。そんな中で、患者さんはマイナンバー、つまり自分の個人番号がどのように扱われているのか、また、詳しくは分からないけど個人情報の漏えいなどにより、たとえば自身の年金などに影響が出ることはないのかといった具合に、ただ漠然とした不安を抱えています。
医院にとってできることはただ一つ。
いち早く、個人情報の取り扱いに関してどのような管理をし、どのようなセキュリティ対策を行っているのかを開示することです。それがすなわち、信頼そのものに直結するのです。地域の方々の信頼なくして店舗型ビジネスの発展はあり得ません。その為には、現在のレセコンシステムや管理方法が持つ機能の把握とセキュリティレベルを再確認する必要があります。
それが良いか悪いかはともかく、町の小さな飲食店でさえ、顧客情報のデータ管理に対して無頓着でいられる時代は終わりました。多額の投資をする必要はありませんが、改めてレセコンシステムやカルテ管理を見直し、患者さんに安心を与えることは大切です。
人柄と、確かな治療技術は患者さんの信頼を得ることができます。ただ今後は、それだけでは足りません。データ管理の重要度が経営に占める割合は今後も増加していくでしょう。
「面倒な世の中になったな」
ボソッとつぶやきたくなるのは筆者も同じですが、患者さんやスタッフ、そして何よりあなたの医院を守るためです。やるべきことが明確なのはせめてもの救いですね。
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