整理整頓によって“安心”を与え、“信頼”を得ることができるのです
2015.06.17
歯科医院内の整理整頓Vol.3
さて、なぜいきなりお寿司屋さんの話になったのかといいますと、実は筆者は、歯医者さんの診療台に座ったとき、必ずお寿司屋さんを連想してしまうのです。職人さんの包丁と、歯医者さんの器具類が重なるんですね。
歯の手入れはきちんとしているつもりですが、やはり歯医者さんにお世話になることもあります。診療台に座ると、スケーラーやミラー、ピンセットなどの他、治療の種類によって様々な器具類が並べられているのが視界に入ります。
この時、器具類が雑然と置かれているのと、整然と並べられているのでは安心感がまるで違います。雑然に置かれている、といった状態の歯医者さんの場合、コップトレイも汚れていたり、前の患者さんが使用したティッシュなどのゴミが丸見えだったりすることが多く、衛生面も心配になり、何となく治療も雑に感じてしまいます。お寿司屋さんでいうなら、実際よりも不味く感じてしまう、ということです。
ところが、器具類が整然と並べられている歯医者さんの場合、ユニット周りもきれいに片付いており、ゴミ箱も空の状態にしてあることがほとんどです。治療も手際がよく感じられ、安心して任せられる気になってしまうのは、おそらく私だけではないはずです。
前回まで、【受付】、【待合室】と院内の整理整頓についてお伝えしてきましたが、今回の【診療器具】とも共通して言えるのは、患者さんに見せることが前提の整理整頓である、ということです。店舗型ビジネスの基本ですね。患者さんは、みなさんが思う以上に医院のことを観察しています。
そして実際はどうであれ、診療器具が散らかっているのを見れば、「だらしない所だな、やっぱり別の歯医者さんにしよう」と思われてしまい、患者さんは別の医院へ流れていきます。
さらに、先生もスタッフも院内ではマスクをしており、どんな顔なのかも分かりません。患者さんは、顔も見えない相手に自分の口の中を見せたあげく、歯を削られたり穴を開けられたりするのです。それが治療のためだとわかっていても、心配になってしまうのは仕方のないことです。
ですから、見られることを前提に、安心を提供する為の整理整頓が必要なのです。
初めて訪れたお寿司屋さんのカウンター。「きっと美味しいに違いない」という期待と、「高いだけだったらやだなぁ」という不安。
初めて診療を受ける歯医者さんの診療台。「きちんと治してくれるに違いない」という期待と、「本当に信頼できる先生なのかな」という不安。
場所こそ違いますが、座っている側が不安と期待が入り混ざった状態であることは同じなのです。ほんの少しの気配りで患者さんに安心を提供し、信頼を得ることができるのなら、やらない理由はありませんよね。
もうひとつ。整理整頓には関係ありませんが、初めての患者さんが来られたら、診察の前に少しだけ、マスクを外して顔を見せて、軽く声をかけてあげてください。特に小さなお子さんは、それだけでずい分と安心するようですよ。
■バックナンバー記事
【歯科医院内の整理整頓Vol.3】整理整頓によって“安心”を与え、“信頼”を得ることができるのです
【歯科医院内の整理整頓Vol.2】患者さんの目線で“待合室を提供”しましょう
【歯科医院内の整理整頓Vol.1】歯科医院の受付は、不安を信頼につなげる“はじめの一歩”