待ち時間には“色”と“香り”の工夫が必要です
2015.03.11
連載:上手な待合室のつくり方Vol.1
なるほど、もっともな意見です。アポイントを受けておきながら相手を待たせるというのは、他のビジネスではちょっと考えにくいですからね。しかし、ある程度の待ち時間は必要だと思います。もちろん、医院側の都合ではありません。患者さんの “心の準備” の時間として、です。
考えてみてください。患者さんにとって歯医者さんのイメージは、『痛い』『怖い』 というのが一般的です。歯が痛いから、気になるところがあるから、仕方なしに行くのが歯医者さんというものです。疲れをとるためにマッサージにいったり、髪がのびたから美容院に行ったりするのとはワケが違います。
医院のドアを開けてクツを脱いだら、座る間もなく診察室に案内され、診察台に寝かされたと思いきや、すかさずあのドリル音が耳元でキュイィィーーーーィン…。さすがにこれは極端ですが、やはり気持ちを落ちつかせる時間は必要ではないでしょうか。
そして待ち時間をとることが前提だとすれば、待合室の雰囲気づくりはとても重要です。具体的にどうすればいいでしょうか。
気持ちを落ち着かせるのに必要な要素は、やはり【色】と【匂い】です。
まず色から考えてみましょう。歯科医・病院のイメージといえば 『白』 ですが、しかし何もない真っ白な空間で気持ちが落ちつくはずはありませんよね。色にはそれぞれイメージや効果があるのです。
赤…暖かい・活動的・元気を出す
青…涼しい・誠実・冷静にさせる
緑…自然・平和・穏やかさ
白…純粋・神聖・清潔感
黄…軽快・好奇心・明るさ
黒…暗い・威厳・高級感
こうして見ていくと、歯科・病院に適した色と、そうでない色がわかりますね。ソファの色を変えるだけでもずいぶん印象は変わるでしょうし、花などを飾ることにより色付けするのも効果的です。
そして匂いですが、歯医者さんのあの独特な匂いが嫌いという方はけっこう多いのです。他にも、治療が痛いというイメージからか、緊張するという方もいます。
アロマを取り入れている医院がありますが、患者さんの評判がとても良いそうです。気持ちをリラックスさせるのにはラベンダーやローズが人気です。ライムやオレンジなど、いわゆる柑橘系のものも、精神を安定させるということでカウンセリングなどにも使われています。
色や香りには人それぞれ好みもありますが、すべての人に好まれるものを探す、というのも無理な話です。患者さんとコミュニケーションをとりながら、いろいろ試してみてはいかがでしょうか。予想以上の効果が表われるはずですよ。
■バックナンバー記事
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【連載:上手な待合室のつくり方 Vol.1】待ち時間には“色”と“香り”の工夫が必要です