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会計は難しくない!お金に関する苦手意識をなくす方法

2021.03.05

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の会計知識をクリニック経営に活かそう!

2005年に出版されたベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は、会計についてまったく知識がない方でも、会計がどんなものなのかがざっくりと学べる本です。この本では、「利益の出し方」、「連結経営」、「在庫と資金繰り」、「機会損失と決算書」、「回転率」、「キャッシュ・フロー」、「数字のセンス」という7つのテーマ別に、日常生活で役に立つ会計知識が紹介されています。
今回は、これら7つのテーマの中からクリニック経営に応用可能な項目をピックアップしてお伝えしましょう。

<利益の出し方を選択し、クリニックの経営方針を決める>

まず、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』には、「利益の出し方」は、
・売り上げを増やす
・費用を減らす
の2種類しかないと書かれています。
もし、あなたが医院の売り上げを増やすことに重きを置くのであれば、
・土日祝日や夜間の診療を行う
・訪問診療を行う
・自費診療に力を入れる
・MS法人を活用し営利事業を行う
などの方法が考えられます。
一方で費用を減らすに重きを置くのであれば、
・計画的に設備投資を行う
・適切な所得分散や経費計上を行い、節税を図る
・(医療法人の場合)過度な法人保険への加入を控える
などが考えられるでしょう。

<連結経営でクリニックとの相乗効果を図る>

さおだけ屋が、さおだけを売るだけではなく、物干しの補修や、金物の販売からも利益を得ているように、本業と関わりのある副業をすることで売り上げを伸ばす事例が書かれています。
これを医院経営に置き換えると、ご家族が運営する有機野菜など体に良い食材を使ったメニューを提供するレストランやカフェ、サプリメントや健康食品を販売するMS法人の設立、院内での健康セミナーや栄養セミナー、ヨガ、ミニコンサートなどのイベントの開催など、院長先生やそのご家族が行われている副業は多岐にわたり、医院の集患が容易になったり、認知度や利益率が上がったりといった相乗効果を得られている方は多くいらっしゃいます。
また、医院や自身の宣伝を目的とした執筆活動や講演活動、YouTubeなどの動画配信を副業にする方法もあります。これらの活動により、収入が得られるというメリットだけでなく、人の役に立つ発信を行うことで、クリニックのファンを増やし、来訪者を増やす目的も果たせる可能性も期待できるでしょう。

<ローリスク・ハイリターンの副業を行う>

「連結経営」では、自分の仕事に関連した分野や興味のある分野の副業を、通常の仕事時間以外に行う例も紹介されています。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』によれば、優秀な企業は必ず「ローリスク・ハイリターン」を狙っているそうで、自分の専門に関連した分野や興味のある分野の株式に予算内で投資することをなどもお勧めされています。

<在庫は減らし、現金を増やすことで資金繰りを図る>

在庫を抱えると、場所代がかかり、使用期限切れの在庫を無駄にする可能性も出てきます。
・CTやMRIなどの検査が必要な時は、近くの大病院に紹介状を書く
・処方箋は発行するのみで、院内薬局は設けない
・医療器具は暫定的に中古やリースを使い、必要と決まった段階で新品を購入する
上記の対策をとれば、在庫を無駄にせずに済んだり、高額な費用を使わずに済んだりできるはずです。
資金繰りのためには、「支払いは遅く、回収は早く」するのが最善とこの書籍には書かれています。小規模医院経営者の方々にはあまりなじみがないかもしれませんが、支払いを遅くする方法としては、取引先に手形を使い、支払期限を延ばす方法が挙げられています。
回収を早くするためには、患者さんの支払いの際にスマホ決済やクレジットカード決済は受け付けず、現金払いのみにするという方法が有効だと言われています。

<できることには最善を尽くし、機会損失しない>

総務省の 「令和元年版 情報通信機器の保有状況」によると、世帯におけるスマートフォンの保有割合は約8割、個人のスマートフォンの保有者の割合は64.7%だそうです。
また、「Marketing Research Camp」の『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査 2019年度総集編』によると、2017年1月度は64.1%だった「LINE」の利用率が、2019年12月度では71.5%に伸びてきています。
スマホでもきれいに表示されるレスポンシブデザインやスマホ専用サイトを作ることで、特にスマホ利用者が多い若年層の患者さんを多く集患できるようになるはずです。
最近は、「LINE」を使った予約順番受付サイトや呼び出しサービスなども一般的になっていますので、集患に利用してみるのも良いでしょう。また、Googleマイビジネスに登録して、Googleマップに表示されれば、一見の患者さんにも来てもらいやすくなるはずです。
更に、現在のようなコロナ禍で、オンライン診療を導入すれば、近隣の方だけでなく、遠方の方や外出を避けたい方の診察も可能となり、集患数をアップが期待できるでしょう。

<リピーターを作ることで、経営を安定させる>

「回転率」というテーマには、単価を低くして、回転率を上げることが集客を高める方法と書かれていますが、それだけだと価格が安い場所に人は流れて行ってしまいます。そのため、回転率を高めるには、リピーターを増やすことが重要だそうです。
リピーターを増やすには、医療技術や院内環境の向上、スタッフの教育の他、
・(歯科医院の場合)定期検診のお知らせはがきを3ヶ月か6ヶ月ごとに送る
・健康に役立つ情報をメールマガジンなどで送る
・友達を紹介してくれた患者さんに、施術やプレゼントなどの割引
・クリスマスコンサート、ハロウィンなどのイベントを開催
・年末にカレンダーを配る
・クリニック内に託児スペースを作る
などの方法も効果が期待できるでしょう。

<まとめ>

医師・歯科医師の方々の中には『お金のことはすべて顧問の税理士や会計士に任せている』『会計や税金に対して苦手意識がある』という方も多いとお聞きしていますが、ご自身が会計の知識を持つと有利なことは数多く存在します。例えば、何かトラブルが発生した場合にも、お金のことはわからないという状態では、専門家に言われるがままに動くこよになってしまいますが、最低限の知識があれば、自らその他の改善策を模索することや、専門家と話し合ってより良い解決策を見つけていくことも可能になるでしょう。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は会計にまったく知識がない人が読むのには、うってつけな本です。このような書籍を読んで、会計に対する苦手意識を払拭できると、新たな可能性が見えてくるのではないでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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