MANAGEMENT

自信を失くした女性の手

シェリル・サンドバーグ

2017.02.01

シェリル・サンドバーグ氏に学ぶ『女性の活用』Vol.1

女社長、女性弁護士、女医、女性官僚…。あなたは、こうした呼称に違和感を持ったことはないでしょうか? もちろん、好意的な意味合いで使われることもあります。たとえば、裁判に巻き込まれてしまった女性にとっては、『女性弁護士』は心強い存在でしょうし、産婦人科で『女医』の先生に診てもらえることで、安心でき、いろいろ相談もしやすいと感じる女性も多いでしょう。

しかし一方で、これらの呼称には、女性を軽視する言葉が含まれているように感じることもあります。女性ながら社長、女性ながら弁護士、女性ながら官僚というように…。

こうした言葉が一般的に使われている背景には、日本という国が未だに『男尊女卑』という慣習から抜け出せていない、という現実があるように思えてなりません。そしてそれが、多くの女性から自信を奪っているのではないでしょうか?

平成26年に内閣府が発表したアンケート調査によれば、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成したのは男女含めて全体の44.6%にものぼったそうです。さらに、賛成と答えた理由の内訳を調べたところ、「妻が家庭を守った方が子どもの成長にとっては良い」(59.4%)に次いで多かったのは、「家事・育児・介護と両立しながら、妻が働き続けることは大変だと思うから」(37.3%)という、諦めともいえる意見です。

育児との両立が難しい長時間労働の慣習や、保育所の不足といったインフラの未整備…それらが女性の活躍する場を制限し、キャリア形成を困難にし、自信を喪失させてしまうことにも繋がっています。そして情けないことに、そのような女性の意見を拾い上げようとする企業は、数えるほどしかありません。

1つ、有名なエピソードをご紹介しましょう。世界中から脚光を浴びている女性の1 人で、女性が社会でもっと活躍すべきだと訴え続けているfacebookのCOO、シェリル・サンドバーグ氏。彼女がfacebookの社員の前で、ジェンダーの問題について講演を行ったときのことです。

質疑応答の時間が少なくなり、「残り2問だけ質問を受け付けます」と彼女が告げると、女性社員は一斉に挙げていた手を下ろしました。女性社員の誰もが、「残り2問しかないんだから、自分がしゃしゃり出るべきではない」と判断したのです。しかし男性社員の何人かは手を挙げ続けたまま、自分を指名しろと手を振ってアピールをしました。結局、サンドバーグ氏は残りの質問すべてに答えました。要するに、手を挙げ続けた男性社員からの質問には、すべて答えたのです。

講演が終わってからそのことを女性社員に指摘されると、「ジェンダーについて講演をしておきながら、自分のやっていることに気づいてもいなかった…」と彼女は反省の弁を述べています。その上で、本当に平等な世界を目指すには、女性に手を挙げ続けない傾向があること、つまり自信がないことを認識しなければならない、と自戒の意味を込めて語っています。

1985年に男女雇用機会均等法が施行されました。これは男女が平等ではない、という現実を前提にした法律ですが、施行から30年以上経った今、果たしてどれほど平等になったといえるでしょうか? 多くの女性が社会で活躍すること、仕事を続けることを諦めているという実態、そして、自信を失った多くの女性が、声に出せない思いを抱えているという真実から目を背けてはいないでしょうか?

サンドバーグ氏が言うように、手を下ろしてしまったら、どんな注意深い上司でも、気づくことはできません。だからこそ、自信を失った女性が手を下げないで済む環境を作る必要があるのです。なぜなら、女性の活躍なくして伸び悩む経済を建て直すことはできないからです。女性を活用せずに、深刻な人材不足を解消することはできないからです。
私たちにできることは、何でしょうか?

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部