INTERVIEW

大切なのはコミュニケーション。そこから信頼関係が生まれる

一番大切なのはコミュニケーション。そこから信頼関係が生まれる。

2014.09.25

税理士 水池克明氏インタビュー 

税務的なことばかりと思われがちの税理士という仕事。
しかし、実際にはお金のことを扱うのと同じくらい、コミュニケーションを通した信頼関係を築くことが大事だと、スペシャリストは語ります。

税金のことはもちろん、ライフパートナーになりたい

——個人経営と新医療法人では、どちらにメリットがあるのでしょう?

水池克明氏(以下、水池):後継者がいるなら、新医療法人に移行した方がいいですね。でも後継者がいない場合、新医療法人にしておいて最後は解散しなければならないというとき、その財産は?となってしまいますよね。

——後継者といっても、お子さんである必要はありませんよね?

水池:そうですね。当然、法人化することで得るメリットはあります。税制部分であったり、退職金積み立てであったり。ただし、それも最後の出口戦略をきちんとしていれば、ということになるんですよ。

——ただ、現役の間と考えると?

水池:所得が上がるのであれば、法人化した方が税金は安くなります。同じ5000万円を稼いでも、残るお金は個人と法人で変わってきますし、例えば設備投資をするにしても、法人の方がやりやすい。

——そのボーダーラインは、売上でいうとどれくらいでしょう?

水池:ボーダーラインというか…医師という職業は、基本的に所得が高いですよね。それで税金を抑えたいのであれば、やはり法人化したほうがメリットはあります。つまり、デメリットについては先生個人がどう考えるか、ということ。税務上のメリットだけを考えれば、基本的には法人化した方が、それはいいですよ。

——所得税と法人税の差額で考えると、10%とか20%くらいでしょうか?

水池:その差額を検討し、どうするか判断するということですよね。そこで自分たちの出番となる。具体的に数字で示し意思決定のサポートをしていくんです。

コミュニケーションを大切にし、お客様の悩みを解決したい。

——そこで税理士である水池先生にストレートに伺いたいことがあります。良い税理士の条件とはなんですか?

水池:難しいですね。…いま、税制改正ってすごく多いじゃないですか。毎年、何かが変わるといってもいいくらいに。そういった情報をいかに掴み、それを伝えていくか。その2点のうち、お客様にとっては、やはりたくさんコミュニケーションを取れる税理士が、良い税理士と言えるんじゃないでしょか。

——水池先生ご自身が心がけていらっしゃることは?

水池:やはりコミュニケーションですね。コストを掛けないやり方はありますが、それだとお客様の情報が入ってこない。やはり対話の中で、お客様が望むことをリサーチしなければ、フィードバックできません。だから僕のスタンスとしては、会って税金の話をするだけじゃなく、いろいろな話聞かせてもらって、お客さんの悩みを解決していく。そういうスタンスでいたいと、常に思っています。

——水池先生は、税務的なことだけでなく、相続とかファイナンシャルプランまで対応されています。きっかけは?

水池:税理士というと、扱うのは税金だけというイメージがあるかもしれません。でも実際にお客様と話していると、いろいろ聞かれるわけです。先ほどお話したように、僕としてはコミュニケーションを取ることを第一に考えているから、会話の幅を広げる意味でも、税金以外のことも知っておきたい。そして自分で解決できないことがあれば、知り合いの士業の方に入ってもらって一緒に仕事をしたいと思います。その中心になるためには、知識がないといけませんからね。

——その中でも中心としているのは?

水池:介護医療関係でしょうか。以前所属していた職場で、介護関係に特化した医療法人を担当していました。知識がある程度入ってきますので、今後は医療と介護に特化していこうと思っています。

——ここで角度を変えた質問です。一般法人と医療法人の違いって?

水池:医療法人って労務問題が発生しやすいんですよね。どうしても売上に対する人権費率が高くなってくるので。大体売上に対して4割…高いと5割ぐらいの人件費がかかる業種なんです。そして関わる従業員も多いので、そうなってくると労務問題が発生してくるんです。その部分になると税理士の自分ではケアできないことがあるので、社労士と組んでサポートすることになります。

大切なのはコミュニケーション。 そこから信頼関係が生まれる。

法人化を考える上で気をつけるポイント

——法人化を考えている医師のみなさんに、“ここは気をつけなさい”というポイントを教えていただけますか?

水池:開業となるとさまざまな届け出が大切になってきます。税金の世界というのはいろんな選択肢があるんです。中には“こっちにすれば税金が安くなりますよ”という制度がある。でも、そういうのは基本的に届け出主義になっていて、自ら意思表示しなければなりません。例えば消費税の届け出は事前に出さなければならない。そういうことを知らないと、受けられる優遇を逃してしまいますから、気をつけた方がいいですね。

——地道に情報を集め、対応していくことが大事なんですね。

水池:例えば青色申告。これは開業後2ヶ月以内に提出しなければならないんです。でも実際は物件探しとか、機材探しが優先されて、届け出が後回しになってしまう。青色申告の場合、提出期限を逃すと、適用されるのが2年目からになるんです。だから税務署への届け出期限は気をつけた方がいいですね。

——そういうことをアナウンスしてくれる税理士さんが必要ということですね。

水池:とはいえ、出会ったときが開業後3〜4ヶ月後では間に合いません。だからやはり開業事務と一緒に税務的なことも相談していただければと思います。

——あと、最近は消費税のことを気にされる医師の方がいらっしゃいます。対策としては、どんなことが考えられますか?

水池:一番有利なのは簡易課税制度です。何かというと、まず売上に対して消費税を預かりますよね。そして原則的には、預かった消費税と自分が支払った消費税の差額を収めるわけです。でも医療法人は、そのまま差額を収めるわけではないんです。支払った消費税のうち、課税売上といって保険医療診療と自費の診療の割合に応じて払った消費税が区分されてしまうので、原則課税は不利になってくるんですよ。だから何が一番いいかというと、簡易課税になるんです。

——消費税を小分けにして割当を減らす。

水池:そうですね、納税額が少なくなります。ただこれは自費診療が5000万円を超えてしまうと、その制度は使えません。

——ご存じない方も多いですよね?

水池:月々の売上をきっちり抑え、5000万円を超えないように調整したほうがいいケースもあります。4999万円と5001万円の2万円の違いで、消費税の納税額が数十万円増えることがありますから。

——ほかに気をつけたい節税プランは?

水池:医療法人であれば、やはり保険が使えることがメリットです。退職金としてとれますしね。あとメディカル・サービス(MS)法人を使い、そちらに利益を分散して親族でとることでしょうか。節税って所得分散に尽きると思うんですよね。

——なるほど。では最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

水池:僕はいつも、一生懸命経営されている医師のみなさんのサポートをしたいと思っています。そのためにはしっかりとコミュニケーションをとっていこうと。そして熱い想いを持った方々のサポートを全力でしていきたいと思います。