仕事よりスムーズに行うために知っておきたいモチベーションの法則とは!?
2020.04.05
感情と行動のメカニズムを図解でわかりやすく理解できるおすすめの書籍
部下やスタッフに対する説明や指導を行う際に、「何度言っても聞いてくれない」「きちんと説明したはずなのに…」といった経験をされたことのある方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、そのような方に対して、池田貴将氏・編著の「図解モチベーション大百科」という書籍をご紹介します。
モチベーションの法則を知る
この書籍の編著者は、世界的コーチとして知られるアンソニー・ロビンズ氏から学んだことを軸に、「モチベーションの法則」を導き出しました。それらにはすべて、ハーバード大学・コロンビア大学・スタンフォード大学などの研究機関の学者がおこなった心理・行動実験による裏付けがあります。
そもそも、私たちは意思を持って行動していますが、モチベーションも私たちを動かす大切な要素の1つです。そのようなモチベーションのメカニズムを知ることで、人との関わりがスムーズに行えるようになるのです。
モチベーションの法則を知ることにより起こる変化
患者様に対して、いくらに親身になって説明したとしても、なかなかそのとおりに動いてもらえなかった経験のある医師は少なくないのではないでしょうか。そんな時は、言い方を変えてみたり、説明方法を工夫したりされているかと思いますが、そんな時に意識したいのは、相手が行動してくれると信じること、そして、相手の価値観を理解しようとすることだといいます。相手の価値観のもと、それをするメリットやデメリットを伝えてあげると人は積極的に動くようになるのです。
また、モチベーションの法則を知ることにより、他人の行動に影響を与えられるのみではなく、自分自身の意欲にも影響が見られます。
具体的に2つの事例をご紹介しましょう。
◆行動力を上げる~行動思考~
学生たちにある簡単な報酬付きのアンケートをお願いする際に、「旅行をする」「日記を書く」といった行動に対して、Aチームの人は、なぜ人がその行動をするのかの「理由」を、Bチームには行動を行うための「具体的な手順」を書いてもらい、アンケート回答の提出時期に変化があるのかという実験が行われました。その実験によって出たのは、平均10日もBチームの人の方が早くアンケートの回答を提出したという結果でした。
例えば、皆様も学生時代に、面倒な課題の提出を求められた際に、それをやるべき理由を考えることに没入するあまり手が動かなくなってしまったり、逆に、やるべき理由はおいて置いて、とりあえず、やり遂げるためには何をすべきかを考えていたら、思いのほか早く済ませることができたりしたという経験はないでしょうか。
この実験からわかるのは、理由を考えるより具体的な行動を挙げたほうが、より行動に移しやすくなるということです。
スタッフや部下がちょっと面倒だなと感じるようなお願いや指導をする際には、なぜそれをしてもらう必要があるのか、どの程度医院経営に影響を及ぼすのかといった「理由」ではなく、具体的にどう動けばそれが完了できるのかという「行動」に意識が向くようアドバイスをしてみてみましょう。
◆他人への影響を意識~妥当性の論理~
医療従事者にこまめな手洗いを推奨するための理由として「あなたを病気から守ります」と書いた場合と「患者を病気から守ります」と書いた場合を比較すると、後者のほうが手洗い頻度や石けん使用率が増えたという実験が取り上げられています。
つまり、「あなたがこうしないと、あなたにこういうデメリットがある」と伝えるよりも、「あなたがこうしないと、他者にデメリットがある」と伝えた方が効果的だというわけです。
皆様も、周りにお願いをする際には、そのお願いを守らないことによって他者が被るデメリットに焦点を当てて伝えるようにしてみましょう。
今回ご紹介した2つの事例のように、この書籍には、すぐ使える法則が数多く紹介されています。
「やりたがることを尊重する」「今できることを今やる」など、どこかで聞いたことのあるようなものも多く取り上げられていますが、「そんなことはわかっている」と思うようなことでも、その基にある心理・行動実験の部分を読むことで、その理由が明確に書かれているため、すとんと腹落ちすることでしょう。そうなれば、あとは日々の生活や業務に楽に落とし込んでいくことができるはずです。
まとめ
この本は図解によってわかりやすく解説されているため、忙しいなかでも少しずつ読み進めることが可能です。さまざまなケースにおける心の動きを知ることができるため、患者様や他のスタッフにどのように伝えるのが効果的なのか見えてくるはずです。これまで「なぜこんなことをするのか?」と疑問に思っていたことも解決するかもしれません。その疑問が理解に変わったとき、きっとあなたの心も落ち着くことでしょう。