信頼されるリーダーになるには?
2017.12.06
アドラー心理学に学ぶ、信頼されるリーダー像vol.1
では、従業員から信頼を得るためにはどうすればよいでしょうか。今回はアドラーの心理学を基に、従業員と信頼関係を築くために効果的な手法や考え方を3回に渡ってご紹介します。
まず、一言で信頼といっても2種類あります。1つめは、院長先生方を人として尊敬できるという意味での信頼です。そして2つめは、この人についていきたいといった、いわばリーダーとしての信頼です。
1つめの、人としての信頼を得るには、院長先生方ご自身も従業員を一人の人として尊重することが重要です。まず、こちらから従業員を一人の人として尊重することで、従業員からも、人として信頼されるようになります。
例えば、従業員が消耗品を業者に発注する時に間違ったものを発注してしまったとします。そのことに対して、頭ごなしに叱るのではなく、従業員の言い分もしっかり聞いた上で叱ると、従業員からすると、「院長先生は、私の言い分を聞いてくれた。一人の人として尊重されている。」と感じます。そのような小さな積み重ねが、院長先生方ご自身に対しての信頼につながるのです。
2つめの、リーダーとしての信頼を得るには、まずは、目的(クリニックの最終的な目標)を提示するだけではなく、その達成のために従業員が具体的な行動を起こせる小目標を定める必要があります。
例えば、クリニックの最終的な目標を、地域ナンバー1の医院と定めたとします。このままでは、何においてナンバー1なのか漠然としており、従業員として、この目的を達成するために具体的に何をしたらいいのか戸惑ってしまうことも考えられます。
そこで、従業員が具体的に行動しやすいように、目的達成のための小目標を定めるのです。
例えば、1年以内に1日平均50人以上の患者様が来る状態にするという短期的な目標を立て、更に、そのためにリピート率(定期検診の予約率等)を50%以上にするといった小目標があれば、受付を行う従業員が声かけを行うという具体的な行動を起こしやすくなります。こういった、具体的な行動をイメージしやすい小目標を定めましょう。
さらに、小目標を定めて、従業員に任せきりにするのではなく、小目標に対する進捗状況を管理し、従業員が小目標を達成できるような働きかけを行う必要があります。小目標を達成させるために、従業員をやる気にさせ、適切に管理することで、人間としてだけでなく、リーダーとしての信頼も得られるのです。
次回は従業員に目標を達成させるために効果的といわれる『勇気づけ』と呼ばれている手法についてお伝えします。
『人を育てるアドラー心理学』 (青春出版社、2016年9月) 岩井俊憲著