従業員を惹き付ける方法とは?
2017.08.30
稲盛和夫に学ぶ従業員をやる気にさせるカギvol.1
今回は、京セラの創業者であり、日本航空を再建した事で知られる稲盛和夫氏が説いた『従業員をやる気にさせる7つの要諦』を元に、従業員がやりがいを感じられる職場を作る方法を、例を交えながら紹介します。
従業員にやりがいを感じてもらうには、まずは①従業員をパートナーとして迎え入れることが必要です。
パートナーとして迎え入れるとはどういうことなのでしょうか。
従業員を雇用するとき、労働条件や待遇を提示し、従業員はその条件の下で自らの労働力を提供することに同意します。しかし、これは雇用契約に基づいたドライな労使関係でしかありません。
そういった労使関係にとどまらない信頼関係を構築する一歩として、まずは、従業員に院長先生の考えを知ってもらう必要があります。具体的には、院長先生がクリニック・診療所をどのように発展させていきたいと考えているかということです。
例えば、患者さんの定期歯科健診受診率が高いクリニックにしていきたいとか、市内で矯正においてはNo.1と認められる歯科医院を目指したいとか…そういった考えを、是非従業員に伝えてみてください。
さらに、従業員を頼りにしているという姿勢を見せると、従業員は信頼されていると思い、やりがいを感じられるようになります。人間、頼られて悪い気はしませんし、より頑張ろうという気持ちになりますよね。
是非、院長先生の考えを伝えると同時に、それを実現するために力を貸してほしい、頼りにしているということを面と向かって伝えてみてください。繰り返し伝えることで院長先生の考えが伝わり、また、やりがいを感じるようになります。
しかし、そうやってパートナーとして迎え入れ、信頼していた従業員に辞められてしまうと大変痛手ですよね。そうならないためには、②従業員に心底惚れてもらう必要があります。
つまり、従業員からドライな労使関係を超えた信頼を寄せてもらうということです。そのための一歩として、従業員を思いやっているという姿勢を見せることが必要です。
例えば、たまに慰労会としてご馳走したり、ちょっとしたお菓子などを職場に差し入れたりすると、従業員は先生に気遣われていると感じます。また、感謝を毎回きちんと言葉にするようにすることも効果的です。どれも些細なことですが、このようなちょっとした気遣いが信頼を寄せる一歩となるのです。
また、そういった従業員の心情に訴えるだけでなく、③仕事の意義を説くことで、従業員のやる気を高めることができます。
稲盛氏は著書『従業員をやる気にさせる7つのカギ』(以下、著書)の中で後に京セラの創業メンバーが松風工業に入社した際の様子を以下のように語っています。
日本がまだ貧しく、就職もなかなか難しいため、高校を卒業してなんとか会社に入ったものの、ただ毎月のサラリーさえもらえればいいという人がほとんどでした。しかし、彼らも、自分のやっている仕事に意義を見出だせば、気持ちが高ぶり、持てる力を最大限に発揮してくれるはずです。そう考えた私は、仕事が終わった後に毎晩、彼らを集めては、仕事の意義を説いていったのです。
従業員が行った仕事を、従業員自身が単なる作業と捉えるか、それとも意味を持った仕事と捉えるかは従業員の意識次第と言えます。院長先生が仕事の意義を説くことで、意味を持った仕事として捉えられるので、一層やりがいを感じられるようになります。
例えば、定期的な歯科健診を患者さんに勧める仕事を従業員に任せるとします。その際に、ただ仕事内容のみを伝えるのではなく、定期的に歯科健診を受けることは患者さんの口腔衛生を維持するのに不可欠なので、歯を失ってしまう人を減らすためにしっかりと勧めてほしいというその仕事を任せる理由と、定期健診のお陰で○○さんは早期に虫歯を発見できたから、治療期間も短く済んだなどという成果を伝えることで従業員がその仕事の意義を認識できるため、やりがいを感じられるようになります。
このように、従業員をパートナーとして迎え入れ、また従業員に心底惚れてもらうことで単な労使関係を超えた信頼関係を構築し、さらに、仕事の意義を説くことで従業員がやりがいを感じられる職場を作ることができます。
是非実践してみてください。
『従業員をやる気にさせる7つのカギ』(日本経済出版社、2014年2月) 稲盛和夫著