増加する歯科医院でのクレームや訴訟の現状
2017.01.18
医院へのクレームに、どう対応する?
●医療のクレームが増えた2つの理由
クレームが増加している背景には、主に患者さん側に2つの要因があると言われています。
・メディアの影響で、医療ミスの情報やインターネットの医療情報に患者さんが触れる機会が増え、医療に対しての意識が変わったこと。
・昔と異なり、「医師も絶対ではない」と考え、権利を主張する患者さんが増えたこと。
また、これと並行して「インフォームド・コンセント」や「セカンドオピニオン」という概念も広がってきています。そのため、以前と比較して、一方的な医療行為を黙って受け入れる患者さんが少なくなっており、不満や疑問を感じた場合はすぐにクレームとなって表出する傾向があります。
●歯科医院の医療訴訟の現状
口腔環境は心理にも影響します。例えば、顎関節症が悪化してしまい、精神的に滅入った患者さんが執拗に訴えてきたり、医院への嫌がらせに発展したりすることもあるようです。
クレームの内容は、「治療前よりも大きな苦痛が生じた」「症状が悪化した」という治療内容そのものについて、「説明や治療費に納得がいかない」「予約時間の説明が不十分」など診療周辺に関わる話など、多岐に渡ります。
クレームの伝えられ方としては、診療後に電話や手紙で連絡が入ることが一般的ですが、内容証明郵便で届くケースもあります。ある日突然、裁判所から訴状が送られてくるようなケースも。
●謝罪、クレーム対応の原則
クレームは、どこから起きるかわかりません。しかし、十分な説明と納得があれば回避できるクレームがあることも事実です。例えば、事前に「ちくっとするかもしれません。痛みがあったら我慢せずに言ってくださいね」と、患者さんにきちんと伝えておくなど少しの気遣いだけでも、患者さん側の心の持ち方に影響を与え、回避できるクレームもあります。
それと同時に重要なのが、「相手の話をよく聞く」、「反論はしない」、「嘘や言い逃れはしない」こと。
医院に限らず、お店などのサービス業界でも、クレームの対応がよかったことがきっかけで、熱烈なファンになるお客さんが出来たり、信頼が深まって受注を増やしたりしたという話はよく聞きます。クレームは、チャンスでもあるのです。
また、患者さんとの対応だけではなく、スタッフさんとのやり取りにおいても、同様に少しの心配りで問題を事前に防げることがあります。例えば相談された時に「自分で考えて」「やってみて」と突き放してしまったり、提案を出された時に「いいね」「考えてみるよ」と言ったきりにしてしまったり、少し様子が違うけど忙しくて放置してしまったりしていませんか? スタッフからのSOSを見逃さないように気を付けることで、突然辞めてしまうなど最悪の事態を防げる場合もあるのです。
院長先生や上長、現場のスタッフ同士に対してはもちろん、患者さんに対しても、インフォームド・コンセントという形で、しっかり情報を伝えて、ちょっとした言葉や変化にも敏感になることで、不要なトラブルを防ぐことができるでしょう。