相手の本心を引き出す『魔法の質問』
2016.11.09
間違いだらけの採用活動Vol.2
この質問を企業の採用担当者18名に投げかけたところ、見事に全員が「高いと思う」と答えました。
何を質問しても、どこかで聞いたような答えしか返ってこない。本音と建前の境界線が見えない…。応募者の立場で考えれば、それは仕方のないことかもしれません。当たり障りのない回答も、マニュアル通りの飾った言葉も、『採用』という結果を得るための手段なのですから。
どこかで聞いたような答えしか引きだせないのは、『質問が足りない』ということに気付いていない面接官の責任でもあるのです。つまり、掘り下げる量が足らないがゆえに相手の本心まで声が届かないのです。
「それはなぜですか?」「他にはありませんか?」
こういった、掘り下げるための質問が圧倒的に足りないのです。たとえば、「なぜ歯科衛生士になりたいと思ったのですか?」という質問をしたとします。これを受けた応募者から、「私の母が歯科衛生士をやっていて、私も母のような仕事がしたいと思ったからです」という答えが返ってきた場合、面接官は何と返すでしょうか。
多くの面接官はこの時点で納得して次の質問に移ってしまっています。明確な動機をつかむことができた、と判断するからです。もちろん、本人が口にする以上、母親の影響は少なからずあるのでしょう。
ですが、母親に憧れて同じ仕事を選んだのか、特にやりたい仕事もなかったから母親と同じ仕事でいいやと考えたのか、この回答からそのどちらに近いのか判断することは出来ません。仕事に対する考え方という点でいえば、前者と後者は対照的と言えます。そしてどちらか1人を採用するとなれば、誰もが前者を選ぶのではないでしょうか。
しかし、最初の答えで納得してしまえば、本心をつかめないまま後者を選んでしまう可能性もあります。相手はウソをついているわけではありません。ですから、たとえ納得のいかない採用になったとしても、それは採用を決めた面接官の責任です。そうしたリスクを回避するためにも、深く掘り下げた質問が大切なのです。
「どんなところに憧れたのですか?」「それはなぜですか?」「他にはありませんか?」
形は色々ありますが、掘り下げていくことで、相手の本心を引きだすことができます。それが本音なのか、飾りの言葉なのか、あるいは誰かの受け売りなのか、見抜くことができます。ただ、何度も突っ込んで聞かれることにストレスを覚える方もいます。
なので始めに、「あなたのお人柄を知りたいので、少し突っ込んだ質問をするかもしれませんが、よろしいですか?」とお断りを入れておくとスムーズに進められます。
さて、あなたはどんな人材を採用したいと思いますか? それはなぜですか? どのような経験から、そう思うのですか? 他に重視することはありますか? それはなぜですか? まだ他にもありませんか?
こうして掘り下げていくことで、少しずつ相手の本心を引きだすことができるのです。