人事考課制度とは、見せ、診させ、魅せることです
2015.12.30
スタッフの心をつかむ医院はここが違うVol.2
ですから若いスタッフは、人事考課制度を 『評価という作業を簡単にする、役職者のためのツール』 程度にしか思っていないのです。
人事考課表を渡されたら、設定された各項目に対して10段階方式で自己評価をして上司に提出。受け取った上司も、同じように評価を10段階方式で数値に置きかえ、2~3行のコメントを加えて完了。時間にしてわずか3分。「おお!あっという間に終わったぞ」といった具合に。
たとえば10段階のうち、『6』 と 『7』ではどの程度の差があるのか。『10』 とはどういうレベルなのか。すでに自己評価の時点で基準そのものが破たんしていても、数値化されるのでデータにまとめるのは簡単。あとはエクセルに判定をおまかせ。世の中便利になったものです。
冗談のような話ですが、実際にその程度の運用しかされていない企業も少なくありません。しかしそうした企業も、人事考課制度を導入した時点では違ったはずです。経営者として、スタッフを正しく公平に評価しよう、とスタートしたはずなのです。
『人事考課制度』とは本来、スタッフを認め、守るためのツールです。しかし役職者の仕事を楽にするためのツールに成り下がってしまうのは、途中で必要なものが抜け落ちてしまうからなのです。
人事考課制度に必要なもの。それは、『透明性』、『公平性』、そして『一貫性』です。
まずは『透明性』、見せることです。人事考課表に並んでいるような項目を、スタッフが普段から目にすることはできるでしょうか。何が評価され、NGとされるのか。誰もが、いつでも見ることができないようでは、興味をもつことすらできません。
次に『公平性』、診させることです。スタッフのキャリアやステージに合わせて、評価基準をレベルアップさせていくのはもちろんですが、なるべく多くのステップをつくることが大切です。今、自分がどの位置にいるのか。何をどうすれば1ステップあがることができるのか。自分のステップを自ら診断することができれば、必然的に公平な評価ができるのです。
そして最後に『一貫性』、魅せることです。もちろん、ときには変化も必要です。時代が変われば文化も変わりますからね。だからといって、方針や評価がコロコロ変わるようでは、制度そのものに対する不信感が生まれます。人付き合いと同じで、一貫性があるというのは、それだけで魅力です。
くり返しになりますが、人事考課制度とは、スタッフを認め、守るためのツールです。それはそのまま、あなたの医院の存在意義を認め、守ることになります。そうなれば、もうスタッフは医院から離れようとはしないでしょう。