マネジメント

『目は口ほどにモノをいう』の真実

2015.08.19

言葉づかいと話し方Vol.2

患者さんに治療の説明を行うとき、あなたはその間にどれほど患者さんの目を見ていますか?おそらく、あまり意識したことがないからわからない、という方が大半ではないでしょうか。

ところが患者さんは、皆さんが思う以上に院長やスタッフの目を見て真剣に話を聞いています。理由は単純で、先生やスタッフのほとんどはマスクをしているからです。人が誰かと会話するとき、特に自分が精神的に不安な状況においては、相手の言葉の真意を、本能的にその表情や動作から読み取ろうとします。まさに自身の歯に何かしら不安を抱えて医院を訪れた患者さんの状況ですね。

しかし、相手がマスクをしていては表情を観察することはできず、治療の説明中とあっては動作も少ないことから、そこから何かを読み取るのも難しいのです。つまり相手の目を見て、一言一句を聞き逃すまいと真剣に聞くしかありません。ですから患者さんには、目を見て、相手のペースで、専門用語はできるだけ分かりやすい言葉に置き換えて話すことを意識するべきです。

言葉づかいに関する話となると、特にサービス業界では『正しいていねい語』を使いましょう、と横道に逸れてしまいがちです。例えばお会計の際によくある間違いとして、「5000円からお預かりします」ではなく、正しくは「5000円お預かりします」である、というものや、「お待たせ致しました、こちら生ビールになります」ではなく、「お待たせ致しました、生ビールでございます」が正しい、というものです。

確かにそうですが、実はこんなことは二の次なんです。「5000円からお預かりします」と聞いて気分を害する方が、はたして世の中に何人いるのでしょうか。「生ビールになります」と言われて不安に襲われる方がいるでしょうか。

言葉とは、気持ちや心を伝える手段の一つに過ぎません。気持ちが正しく伝わるように言葉の使い方を選ぶのが言葉づかいであり、気持ちを確実に伝えるために伝え方を工夫するのが話し方です。

学ぶべきは、上っ面の言葉づかいやテクニカルな話し方のではなく、まず相手への気遣いです。その上で、それを伝える技術を磨いていけばいいのではないでしょうか。

相手の目を見て、言葉を選び、届くように伝える。そうすれば、尊敬語や謙譲語の使い方がまちがっていても、上手な言いまわしができなくても、言葉に詰まって声にならなくても伝わるものです。これが、『目は口ほどにモノを言う』の真実です。

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【言葉づかいと話し方Vol.2】『目は口ほどにモノをいう』の真実
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執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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