INTERVIEW

周りの”過剰評価”に応え現在のスタンスを築く

2018.10.12

自動車ジャーナリスト 川端 由美氏インタビュー

モータージャーナリストとして日本はもちろん、世界でも活躍する川端由美さん。
「運が良かっただけ(笑)」と本人は謙遜する現在までの生い立ちをじっくり伺った。

 

【プロフィール】
●川端 由美 (かわばた ゆみ)
1971年1月29日生まれ、栃木県出身。群馬大学の工学部に進学し、大学院で工学を修めた後、住友電工にデザイン・エンジニアとして就職。その後、「カーグラフィック」「NAVI」などの老舗自動車雑誌を出版していた二玄社に入社。フリーランス転身後、自動車ジャーナリストとして国内外で活躍する。また、環境ジャーナリストとしての一面も持ち、エコの推進にも力を注ぐ。

 

友人に誘われ送った作文で人生が変化

 

-幼少期から、車にご興味があったのでしょうか?

川端 由美(以下、川端):母親の影響なんです。地元の栃木でパタンナーの仕事をしていたんですが、とても車好きで。
普通、親が幼い子供に”車”のことを教える時って、例えば『ブーブーだよ』とか言うと思うんですけど、うちの場合は『これは”ニーヨンマルのゼット”』『あっちは”ダルマのセリカ”』という感じでした。
弟が二人いるんですけど、並ばされて”走っている車当てクイズ”をやらされたり…弟はそんな幼少期を過ごしたせいで、すっかり車嫌いになりました(笑)
 

-車好きな方の中でも”自分で車を作ろう”と考えられる方は珍しいと思うのですが、そう思われて群馬大学の工学部にまで進まれたきっかけは?

川端:「ちょうど私たちの世代は”スーパーカーブーム”で、ある程度成長しても、車への興味は増すばかりでした。
近所のおじさんたちからも『そんなに車が好きなら自分で作りなよ』って言われ続けていたので、車に携わるなら作るしかないんだ、と勝手に思っていました。
今思うと、生まれ育ったエリアはスバルの御膝元で、アドバイスをくれていたおじさんたちも車の部品工場の社長さんたちだったんですよ。
そんな環境から『スバルに入って車を作るなら、実家から通えるじゃん』って。とても安易です(笑)」
 

-では、ご卒業後はスバルに入社されたのでしょうか?

川端:それが、私が卒業する頃、ちょうどスバルの経営が悪化している時期で…後に、スバルの方とお話する機会があったんですけど、やはり一番、景気が悪い時だったそうです。
結局、卒業後は大阪の住友電工に入社することになり、自動車部品の設計をやっていました。丸3年、お世話になりましたね。
 

-そこから雑誌編集者へなられるわけですが、思い切った転職ですよね。何がきっかけだったのでしょうか?

川端:ジャーナリスト志望の友人に誘われ、私も作文を雑誌社に送ったら一次審査に受かったんです。
もともと文章を書くのは苦手で、小学校の読書感想文も、あとがきをそのまま写して提出して、先生に怒られていたくらい(笑)。
その頃『カーグラフィック』『NAVI』などを発行していた二玄社という出版社だったんですが、ちょうど愛読していた雑誌だし、ミーハー気分で『本社を見てみたい!』と面接に行ったんですが、あれよあれよという間に採用されてしまいまして…。
 

-畑違いの職種で、相当ご苦労されたのでは?

川端:大変でしたねぇ。『NAVI』の記者からスタートしたんですが、イベントの取材に行ってそのレポートを書いても、やり直しやり直しで締め切りに間に合わず、競合他誌の1カ月遅れでの掲載になったり…。
ただ、人間関係にはすごく恵まれていたんです。入社してすぐの新人でしたが、モータージャーナリストの大御所である徳大寺有恒さんの担当をさせてもらったり、二玄社の創設者で名物編集長だった小林彰太郎さんとたくさんお話させてもらったり、当時の編集長だった鈴木正文さん(現『GQ Japan』編集長)に鍛えていただいたり。その経験は今でも宝物ですね。
 

-車の部品を作る側から、車の魅力を発信する側になられたわけですが、意識は大きく変わられましたか?

川端:ただ単に”車好き”だったそれまでの車の接し方というのは『私はこの車が好き!』という感じですよね。
例えば、私はアルファロメオが好きなんですが、アルファが好きな人って私を含めて、なぜかBMWを毛嫌いする人が多いんです。
ただ、車雑誌の編集者ともなるとそうも言っていられず、BMWを試乗して、ちょっとしたコラムを書くんですが、もう『毛嫌いしていてごめんなさい。皆から支持されているだけあります』という気持ちになりましたね(笑)。
小さなことで言うと、そういったちょっとした価値観から変わりましたね。
 

-その後、出版社に七年間勤められて、現在はフリーランスのモータージャーナリストとして世界を飛び回ってらっしゃいます。現在の仕事の内容やスタンスというのは、離職された当時から想定されていましたか?

川端:いえいえ。辞めた後の明確なビジョンなんてなかったです。
現在の、海外のメディアにも寄稿できるような立場にあるのは、先述の先輩方の教えのおかげですし、未だに名刺には”モータージャーナリスト”とは書けないんです。
やはり、徳大寺さんらを間近で見てきたので、自分で名乗るのはおこがましすぎて。
ただ、今思い返すと周囲が、”この人ならできる”と、私の能力を過剰評価してくれたんです。
私も目の前にハードルを置かれると、どうにかしてそれを飛び越えようと、努力をしたにはしましたが…きっと、私ってすごく運がいいんだと思います。
今があるのは、軽い気持ちで出版社に友人と送った作文がきっかけですから。人生って面白いですよね(笑)
 

 

川端由美がオススメ! 今、CHECKするならこの車!

Ferrari Portofino(フェラーリ ポルトフィーノ)

「フェラーリが”グラン・ツーリスモ”と位置付けるのがこの車。
まさに、毎日乗れるフェラーリと言えますね」と川端さん。
スポーツ性とエレガントさ、さらには乗り心地も兼ね備えたニューモデル。
もちろん、フェラーリならではのV8エンジンも新型で、迫力のエグゾースト・サウンドが堪能できる。
 

2シーター

 

Mercedes-Benz The S-Class Sedan(メルセデス Sクラス)

新開発の直列6気筒エンジンとISGによる電動ブーストが力強くかつなめらかな回転フィールを実現。
まさに”自動車の未来を見据えて生まれた”一台に。
「近年、セダンとひと言で言っても、各ブランドが競合し選択肢が広がってきている。その中でも、やはり“王道”と言えばSクラスですよね」(川端)。
 

セダン

 

VOLVO XC90(ボルボ XC90)

優れたデザインと上質を極めたインテリア、タッチディスプレイなどの操作性の良さはボルボならでは。
もちろん、PHEVの圧倒的なパワーと低燃費も見逃せない。
川端さんも「最近、流行の兆しを見せているSUVですが、中でも成長を遂げたのがボルボ。とにかく車内が広い。おすすめです!」と絶賛する。
 

SUV