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利用者急増!エンディングノートの効用とは?

連載:エンディングノート Vol.1

2015.01.05

連載:エンディングノート Vol.1

人生の終わりを自分で準備する「終活」がブームになる中で、「エンディングノート」を書く人が増えています。遺言書のように法的な拘束力はありませんが、「気軽に書ける」「遺言よりも幅広い内容をカバーできる」ことなどがウケているようです。

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エンディングノートには多くの効用があります。まず、自分の財産を把握することに役立ちます。長い間には、取引する金融機関も増え、中には忘れてしまっている口座もあるかもしれませんね。

特に2002年4月にペイオフが解禁され、銀行が破たんした際に保護される金額が「1000万円とその利息まで」となったことから、銀行の分散をした人も多いはずです。

エンディングノートは、項目を記入していくだけで、自分の財産が把握できるようになっています。財産が一覧できるのは、残された家族にとっても助かることですよね。

一般的には相続が発生してから相続財産の把握を始めるのですが、意外に手間がかかるものなんです。相続税の申告が必要な場合には、10か月以内に手続きをしなければなりませんが、場合によっては間に合わないこともありますし、申告後に預金などが見つかれば、手続きをし直さなければなりません。

子供たちに余計な負担をかけないためにも財産リストは大切なものだといえます。

特にネット銀行などを利用している場合には、通帳などがない上に、郵便物も届くことはほとんどありません。相続が発生した時に口座の存在に家族が気づかない可能性すらあるわけです。

改めて財産を整理してみると、相続税がかかることがわかり、対策が必要になるかもしれません。相続が発生してからでは打てる対策も限られてきますが、事前にわかっていれば相続税をゼロにしたり、税額を抑える対策も講じやすくなります。

2つ目の効用は、終末医療や葬儀の希望について、家族に伝えることができることです。健康を害してからでは意思表示が難しくなってしまうこともあります。

エンディングノートは、延命治療をどうしたいのかなどを記入できるようになっています。葬儀についても同様です。豪華にしてほしいのか、質素でいいのか、流してほしい音楽は何かなどを記入しておけます。これらは自分自身の最後の希望を叶える方法でもありますし、残された家族の負担を減らすことにもつながります。

本人の意思がわからなければ、延命治療をどうするか、葬儀はどの程度のものがよいかなど、ひとつひとつ家族が迷ってしまいますからね。

葬儀の際に連絡してほしい相手のリストも残された家族には助かります。逆に「連絡をしてほしくない人」なども記入しておくことができますし…。

3つ目の効用は、財産以外の処分の方法も残しておくことができることです。携帯電話やパソコンに残されたデータをどう処分してほしいか、参加している団体の退会手続きはどうすればよいのかなど、手続きを誰に頼みたいかなどをまとめて記しておけば、残された家族も対処がしやすいわけです。

遺言書を書かないのであれば、財産の分け方についても、記しておくといいでしょう。その際には、単に分割の割合を記すのではなく、なぜ、そのような割合になったのか、親の気持ちを残しておくことが重要です。

法的な拘束力はありませんが、親の気持ちがわかることで、もめごとの多くは回避できるのではないでしょうか。

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執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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