法人契約の保険で節税するなら、 出口戦略を明確にしよう
2014.09.17
法人契約での生命保険加入で節税をする方法
しかし多忙な開業医のみなさまは、セールスマンから勧められるままに加入してしまい、ほとんど節税効果はなかった、というケースも少なくありません。
今回は、法人化した医院の開業医のみなさまが生命保険をご検討する際に考慮すべき、メリットやデメリットをご紹介します。
法人契約で生命保険に加入した場合、支払った保険料を経費にできる
法人契約で生命保険に加入した場合、支払った保険料を経費にすることができます。
最近は経費算入が厳しくなっており、保険料の全額を経費にするのは難しいですが、保険の種類や契約方法によっては、保険料の2分の1程度を経費に算入できます。
たとえば、年間200万円の保険料を支払えば、100万円を経費にできるので、その分の利益は圧縮され、法人税を軽減することができるのです。
支払った保険料は、なくなってしまうわけではなく、保険という形でプールされていきます。タイミングを見て中途解約をすれば、支払った保険料以上の資金を受け取ることができます。節税をしながら積み立てをしているようなものなのです。
中途解約に適したタイミングは?
問題は、いつ中途解約するかです。受け取った解約返戻金は、利益と見なされます。保険料を支払うときに節税できても、解約したときに課税されたのではあまり意味がありません。
では、どんなときに受け取ればいいのか。それは、①事業が赤字のとき、②設備投資が必要なとき、③経営者が退職するとき(退職金)などです。
事業が赤字であれば、受け取った解約返戻金と赤字を相殺できますし、設備投資資金や経営者の退職金を支払う年であれば、それらの経費を解約返戻金と相殺できます。
解約返戻金のピークタイミングで受け取るのが理想
つまり、大きな資金需要があるときに解約返戻金を受け取ればよいわけだが、もうひとつ問題があります。
解約返戻金は、いつでも有利に受け取れるわけではないということです。
保険の種類にもよりますが、解約返戻金は契約後、徐々に増加し、ある時点でピークを迎え、その後は減少していきます。ピークの時点はほぼピンポイントでやってくるので、そのタイミングで受け取るのが理想です。
しかし、ちょうどそのときに事業が赤字になっているとは限らないので、設備投資の時期や経営者の退職時期をあらかじめ想定して、解約返戻金のピークに合うようにして、保険に加入することが大事になります。
「解約返戻金をどう受け取るのか」という出口をきちんと見極めた上で保険に加入しなければ、節税効果は十分に享受できないということを覚えておきましょう。