親族以外の人に医院を継承する場合に気をつけたい4つのポイント
2016.02.22
医院継承と相続Vol.5 -親族以外に医院を継承する場合-
どちらも、どのような条件で引き継いでもらうのかを決めて契約をしますが、その際に気をつけたいのが、以下の4つの点です。
1. 引き継ぎの形態
2. 営業権
3. 患者の引継ぎ
4. 契約などの書類の内容
以下、ひとつずつご紹介していきます。
引き継ぎの形態
引き継ぎの形態は、例えば、クリニックの土地・建物を含めた資産をすべて譲渡・売却するのか、それとも土地・建物は賃貸で、そのほかの資産は譲渡・売却するのかなど、内容によって引継ぎの金額や方法が変わってきます。
営業権
そして、親族への引継ぎでは特に意識しない営業権が、親族以外となると話は変わります。譲渡(売却)金額には、営業権の価値を考慮して決めていく必要性が高まるのです。
患者の引き継ぎ
また、信頼して通院していただている患者さんへの対応をどこまで引き継いでもらえるのかについても、事前の話し合いが必要です。
親族の場合とは異なり、継承後に医業・経営に干渉することも基本的にはできなくなりますので、引き継ぐ時が最後に現院長の想いを託せる最後の機会になります。
継承時点で患者さんにとってのなじみの顔となっている副院長等への継承であればまだしも、全くの第三者への継承であれば、患者さんが不安になったり戸惑ったりすることが十分に想定されます。
それを少しでも解消できるように配慮することは現院長の務めです。資産面の引継ぎも大切ですが、治療は患者さんの生活の質に大きく関わることですので、患者さんへの対応についても忘れずに決めておきましょう。
契約などの書類の内容
さらに、契約などの書類についても、個人の開業医が独立のため引き継ぐ場合と医療法人が引き継ぐ場合とでは、契約などの書類の種類や内容に違いが出てきますので注意が必要です。
交渉中から引き継ぎ後のトラブルを防ぐためにも、会計や税金、契約書類などについて詳しい専門家の協力が必須となります。
実際、譲渡(売却)金額を決めるにあたり、不動産や設備等の資産の評価に時間がかかったり、譲渡(売却)の金額をめぐって交渉が難航したりしているケースも多く見受けられます。
全てが当初の希望通り、予定通りに行くわけではありませんので、想定外のトラブルがあっても対応できるよう、時間的・精神的にある程度余裕を持って準備を進めましょう。
■連載記事
【医院継承と相続Vol.1】継承の基本 暦年課税(生前贈与)と相続時精算課税
【医院継承と相続Vol.2】何を誰に引き継ぐのか
【医院継承と相続Vol.3】いつ、医院継承をしたらいいのか
【医院継承と相続Vol.4】親族に医院を継承する場合に考えておくべきこと
【医院継承と相続Vol.5】親族以外の人に医院継承する場合に気をつけたい4つのポイント
【医院継承と相続Vol.6】法人を継承する場合の期間限定の特例措置