【引き継ぐものリスト】の作成は医院継承の第一歩です
2016.01.25
医院継承と相続Vol.2 何を誰に引き継ぐのか
突然そう言われても、何から始めればいいのかよく分かりませんよね。そこで今回は、医院継承の準備における第一段階についてお伝えします。
医院継承とはつまり、
・何を引き継ぐのか
・誰に引き継ぐのか
・いつ引き継ぐのか
・どう引き継ぐのか
この4点を明確にすることから始まります。先ずは、『何を引き継ぐのか』 を挙げていきます。
何を引き継ぐのか
事業そのもの以外に引き継がなければならない財産として、
・土地や建物(不動産)
・医療機器や設備(動産)
・スタッフや患者さん(付加価値)
といったものが挙げられます。
誰に引き継ぐのか
ご子息(ご親族)への継承なのか、第三者への継承なのかによって対策が違ってきますので、どの財産を『誰に引き継ぐのか』を決めていきます。
特に親族に継承する場合、これが決まっていないがために、兄弟間での相続争いが生じるケースや事業の継続が困難になるケースもあります。そうならないためにも、後継者を決めた上での生前継承や、万が一の時のための遺言状作成などの対策をとっておきましょう。
特に旧医療法人や個人経営の場合は、医院の資産が相続財産に組み込まれ、資産を分割することにより事業の継続そのものが難しくなる可能性がありますので、永続的な医療の継続のためにも早い段階からの備えが必要です。
また、生前の継承であれば、『売却』・『贈与』・『賃貸(リース)』といった選択肢があるのですが、相続による継承の場合、これらの選択肢はありません。
どの財産を誰が相続するのかという問題だけが相続権を持つご親族に残りますので、家族に余計な負担を残さないためにも、生前贈与や遺言状の準備は経営者として見過ごすわけにはいきません。
さらに、第三者への継承では 『売却』 もしくは『賃貸(リース)』 のどちらかに限られます。
売るにせよ貸すにせよ、それぞれの財産に対し、専門家による適正な価格設定を行う必要があり、特にスタッフや患者さんなどの付加価値の評価は一朝一夕には行きませんので、専門家を交えて決めていくことになります。
医院継承はあくまで法律に則って行うものなので、対策が何十通りとあるわけではありません。ですが、何を、誰に、いつ引き継ぐかによって適用できる法律や対策は違います。
だからこそ、『何を、誰に引き継ぐのか』 を明確にしておく必要があるのです。ぜひ一度、時間を取って医院を外から中まで見渡し、【引き継ぐものリスト】を作成しておくことをお勧めします。
■連載記事
【医院継承と相続Vol.1】継承の基本 暦年課税(生前贈与)と相続時精算課税
【医院継承と相続Vol.2】何を誰に引き継ぐのか
【医院継承と相続Vol.3】いつ、医院継承をしたらいいのか
【医院継承と相続Vol.4】親族に医院を継承する場合に考えておくべきこと
【医院継承と相続Vol.5】親族以外の人に医院継承する場合に気をつけたい4つのポイント
【医院継承と相続Vol.6】法人を継承する場合の期間限定の特例措置