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アメリカのTPP離脱でも諦めなかった日本政府が得た成果とは!?

2019.10.24

ついに締結された日米貿易協定!TPP否定のアメリカとの難航した交渉の結果は?

トランプ大統領の政治スタンスでもある自国の産業保護の観点からアメリカはTPPから離脱しましたが、日本政府はその後も粘り強くアメリカ政府と交渉を重ね、ついに日米貿易協定の最終合意にたどり着きました。
特に大きな変更がなければ2020年の1月に正式に日米貿易協定が締結、発効されることになります。
TPPによる自由貿易経済を否定するスタンスのアメリカ政府からどのような成果を得たのでしょうか?
日本の貿易相手国としても大きな存在でもあるアメリカとの貿易協定となりますので、日常生活にも大きな影響を及ぼすことが必須といえます。
今回は、そんな日米貿易協定の内容について確認していきましょう。

アメリカのTPP離脱でも諦めなかった日本政府

まず、日本政府が大きく評価されている点としては、トランプ大統領がTPP離脱を表明し、自由貿易経済を目指す動きは終わったという雰囲気だった当時から、対アメリカとの貿易協定に関する交渉を続けていたことです。
アメリカは自国の産業として自動車産業などの製造業を保護する観点から、輸入品目の関税撤廃などに消極的で、中国などの製造業で力をつけている国からの輸入品目には法外ともいえるような関税をかけるなど、他国の製品の締め出しともいえるような政策をとっています。こうしたスタンスを取り続けるアメリカと、同盟国とはいえ貿易協定を締結できたことはとても大きな成果と言えるでしょう。

農産物に関する関税の引き下げ

日米貿易協定の最も大きな決定の一つに、農産物の関税引き下げがあります。
特にアメリカ産牛肉の関税が大きく引き下げられることが決まり、国内でのアメリカ産牛肉の購入価格が下がります。アメリカ産牛肉が国内に流通しすぎないように、輸入量が大きくなりすぎた場合の日本側の防衛措置としてのセーフガード(臨時関税引き上げ、輸入量制限)を行う権利もあります。
農産物に関しては、コメを除く多くの品目で、アメリカとTPP並みの関税での流通が実現しました。
TPPへの参加に否定的な立場をとってきたJAなどの農業関係業界とっても、アメリカへ日本の高品質な農産物を輸出するきっかけとなり、農産物流通の海外比重が大きくなる可能性もあります。
また、酒類についてもアメリカ産のワインやウイスキーなどの蒸留酒への関税が大きく引き下げられます。

日米貿易協定のもっとも大きな成果である自動車への関税据え置き

国内で好調な輸入品目に対して、追加関税をかけているような政策となっているアメリカ政府ですが、日本車に対する追加関税は今回の協定では行わないということになりました。
中国などの例もあることから、アメリカの国内販売で大きな比重のある自動車メーカーにとってはこの決定はベストとは言えないまでも、追加関税を免れたということは日本車の自動車販売に良い影響を及ぼすと考えられています。
しかし、日本政府の本音としては、できれば日本車の関税引き下げをアメリカ側から引き出したかったというものではないかと思われます。
相手を怒らせてしまえば、貿易協定の締結どころか日本車に対する追加関税もあったことは十分に考えられますので、やはり、アメリカと一対一の交渉を行うに当たっては、それなりに譲歩をしなければならなかったのでしょう。

デジタル貿易協定も同時に発効

日米貿易協定に関する内容の中に、デジタル分野に関する関税措置を行わないというデジタル貿易協定があります。
これは、アメリカで製作されたデジタルプロダクトに対し、日本でダウンロードをした場合に、関税をかけないというものです。
これは日本側からアメリカへダウンロードした場合のデジタルプロダクトに関しても同様となります。
これは、仮想通貨などで活用されているフィンテック技術など、国を超えたコンピュータ同士の協業が必要な場合に極めて有効となるものになります。
TPPを締結した国同士であっても、データに関する関税をかける国が多いことから、デジタル分野においては国境に関係なく貿易を行う姿勢を両国が示しているということになります。
しかし、これらのデジタル分野ではグーグルやアマゾンといったグローバル企業がアメリカに本社があるため、こうした企業に優位となるような協定であるとも言われています。

日本が劣勢の貿易協定と見る専門家も

農産物分野での市場開放やデジタル貿易協定を締結し、自動車の関税は現状維持という結果について、専門家の間でも意見が分かれています。
TPP離脱を表明した強敵のアメリカに、これだけの交渉結果を引き出せたのは大きな成果だという人もいれば、日本が不利な条件を飲まされたという人もいます。
特に自動車の関税については、今回の協定では据え置きと決まっていますが、継続協議とされているため、何かがあれば追加関税を課せられる可能性もあります。
こうした部分ではアメリカに有利な貿易協定だということもできます。
しかし、中国のように輸入品目の多くに高い関税をかけられることになれば、アメリカに輸出をしている企業が大打撃を受けることは避けられません。特に自動車分野では米国は非常に重要な市場です。その販売にかかる関税が現状維持とされただけでも大きな成果だったのではないでしょうか。

日米貿易協定の影響はこれから

世界的に見ても多大な影響力を持っているアメリカとの貿易協定の締結により、締結後、しばらくしてから、日本企業などへの影響が出始めるものと考えられます。
国内企業への投資を検討する際にも、日米貿易協定のような国同士の協定の動向も注意して見ておくことで、日本企業の業績や、日本経済の動向を予測するのに役立つことでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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