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リタイア後にイギリスで生活!イギリスを満喫するための豆知識

2019.09.30

イギリス長期滞在をご検討中の方へ~渡英前に知っておきたい現地の生活事情~

イギリスと言えば、英国皇室、ケンブリッジやオックスフォード大学をイメージする日本人が多いのではないでしょうか。イギリスは、大英帝国として栄えた産業革命の地。シェイクスピアやビートルズなどの様々な文化人を輩出した歴史の深いユニークな国でもあります。歴史的建造物、有名博物館や美術館も多く、ショッピングやエンターテインメントも豊富です。国際色豊かな文化もイギリスの魅力の一つ。クィーンズ・イングリッシュに耳を傾けながら、格調高い英国文化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回は、リタイア後や留学等でイギリスに長期滞在することを検討されている方に向けて、渡英前に知っておいていただきたい現地の生活事情を紹介します。

1 イギリスの天候

イギリスと言えば、天候が悪いことで有名ですが、実は、地域ごとに状況が異なります。通常、イギリス北部や北アイルランドでは、雨の日が多く、夏でさえ、27度以上になることは滅多にありません。一方、イングランド南部は、冬は温暖で夏の気温は27度前後にまで上昇します。近年、地球温暖化現象により、38度を記録することもありますが、湿度が低いため、日本の夏のような蒸し暑さは感じません。イギリス北部と比較すると、南西部や南東部は気候が良いことから、移民に人気があり、国際色豊かです。スコットランド地方やイングランド北部は、雨が多い一方、美しい国立指定公園が多く、自然を満喫することできます。ハイキングやサイクリング、登山やゴルフ等の野外スポーツを日常的に楽しみたい方には、特におすすめです。

2 生活費

イギリスでの生活費は、ヨーロッパ諸国の中でも、やや高めです。特に、2008年の財政危機以降、急激に生活費が高くなり、親と同居する若者が増えています。最近は、住宅賃貸料、ガソリン代、交通費、保険、ガス・電気代、食費が跳ね上がり、低価格が売りのスーパーマーケットが人気を呼んでいます。
生活費の多くを占める賃貸料の英国全体の平均価格は、2019年9月時点で、ワンベッドルームが約£718(96,000円)、スリーベッドルームが約£1196(160,000円)。ただし、ロンドンなどの大都市は平均を上回ります。とはいうものの、スコットランド郊外の生活費は、ほとんどロンドンと変わりがありません。住宅が古く、スコットランドは、年間を通して気温が低いため、ガス・電気代金が嵩みます。
レストランで食事をすることも外国滞在の楽しみの一つです。中級レベルのレストランで、二人で食事をした場合、約£45(6,000円)、さらに、レストランで500mlの英国産ビールを注文すると約£3,50(460円)。イギリスの中でも、ロンドンとエジンバラは、他の地域に比べて高いという調査結果が出ています。

食品については、スーパーマーケットの価格を見ると、米1キロが£0,90 (120円)、卵は、ケース売りの場合に12個で£1,86(250円)、鶏肉1キロは£5,61(750円)、トマト1キロで£1,70(225円)です。一番生活費が高いのは、ロンドン、そして、ブリストルが続きます。

3 イギリス流ワーク・ライフバランス

欧米のビジネスマンは、日本のサラリーマンよりも、労働時間が少ないというイメージがあります。しかし、実は、午後5時以降でも働き続けるイギリス人が多いのです。自宅に仕事を持ち帰ったり、週末も仕事をすることがあります。それでも、ワーク・ライフバランスは大切と考えられており、バンクホリデーと呼ばれる英国の休日や夏冬春の長期休暇には、趣味を楽しんだり、旅行に出かける等、家族との時間を楽しんでいます。特に、7月、8月、12月、1月、春のイースターホリデーには、多くのイギリス人が約2週間の長期休暇を取るため、主要道路は渋滞し、有名観光地はどこも満員です。

4 イギリス人の趣味

趣味を通して、イギリス人と友達になったり、生きた文化を現地で学んだりすることも長期滞在の楽しみの一つです。
イギリス人の代表的な趣味と言えば、ガーデニング、ウォーキング タイチ、料理、焼き菓子やパン作り、魚釣り、編み物、ジャム作り、ビールやワイン作り、バードワッチング、コレクション、鉄道モデル作り、トレイン・スポッティング、ダンス、ビンゴ、読書、クロスワード等があります。
特に、鉄道モデル作りやトレイン・スポッティングを趣味として楽しむイギリス人が多く、専門のテレビ番組や年間のイベントが開催されるほどです。また、最近、注目されている料理、焼き菓子やパン作りは、男性にも人気があり、本格的に料理学校のコースを受講する人々も増えています。読書好きが集まり、本についてディスカッションするブッククラブも伝統的な趣味の一つです。このような趣味のグループは、カウンシルの運営するレジャーセンター、地域の新聞や掲示板等で探すことができます。

5 病気になった場合

イギリスでは、6カ月以上合法的に滞在する場合,原則的には、外国人でもNHS(National Health Service)に加入することができ、登録後、無料で治療を受けることができます。ただし、旅行者や短期滞在者は、救急の場合を除いてNHSを利用することは出来ません。その場合には、プライベートの医療機関を利用することになります。また、イングランドでは、24時間の無料の電話サービス(NHS111)が提供されているため、いつでも応急処置の方法を聞くことができます。緊急の治療が必要な場合には、999に電話をして、救急車を呼ぶか、タクシー等で病院の救急科に行く必要があります。日系の病院を探すには、在英日本大使館のウェブサイトが参考になります。

最後に

イギリスでは、滞在時期、目的、居住地域などによっても生活事情は変わってきますが、外国生活を通して、生きた文化を学び、様々な人々と交流し合うことは、何にも変えがたい大きな財産となるはずです。

【参照】 
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/europe/uk.html
https://www.numbeo.com/cost-of-living/country_result.jsp?country=United+Kingdom

執筆者:ラッド順子
2007年より英国南東部のケント地方に在住。英国の大学院終了後、教育実践・研究に従事。現在、ライターとして、英国の生活情報やオモシロ文化、トレンド等を発信しつつ、英語で日本文化を紹介中。
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