万が一に備え準備しておくべき保険とは?
2016.09.26
知っておきたい個人賠償責任保険
個人賠償責任保険とは?
他人の物を壊したり、ケガをさせてしまったりしたときなど、法律上の損害賠償責任を負担する場合に保険金が支払われるものです。病院や医師の賠償責任保険では、医院内で起きた事柄についての賠償になります。しかし個人賠償責任保険では、場所を問わず他人の身体や物に対する賠償になります。
個人賠償責任保険は、火災保険や傷害保険、自動車保険などの特約として契約するものが一般的で、保険期間は1年。保険料は、保険金額を1億円に設定しても1ヵ月に200円前後となっています。
補償の対象となる事故は、例えばベランダから誤って物を落としてしまい通行人にケガをさせた、買い物中に商品棚にぶつかって商品を破損させた、親子でキャッチボールをしていて他人の家の窓ガラスを割ったなどがあります。
一方、補償の対象にならないケースもあります。職務遂行に直接起因する損害賠償責任や地震・噴火、津波に起因する損害賠償責任、契約者や被保険者の故意による損害賠償責任などがそれに該当します。
〇子どもが起こした自転車事故での高額賠償事例
賠償責任を負うのは大人だけではありません。子どもも対象になります。例えば近年増えている自転車事故。未成年者が起こした事故にかかわらず、9000万円以上の賠償金を支払うように裁判所から命じられたことが、2008年と2013年にありました。このように多額の賠償金を一般家庭が支払うのはかなりの負担になります。それをカバーしてくれるのが、個人賠償責任保険なのです。
〇補償対象の範囲
この保険の対象になる人は、基本的に被保険者やその配偶者、生計を共にする同居の親族です。例えば、世帯主である夫が契約をして被保険者となれば、妻が起こした物損事故や子どもの事故も補償されることになります。そして子どもの範囲は、生計を共にする別居の未婚の子(これまでに婚姻歴がない子)まで含まれますので、親から仕送りを受けている未婚の学生も対象になります。
〇認知症の人が起こした事故がきっかけで補償範囲が拡大の動き
認知症の人が列車にはねられた事故で、鉄道会社がその人の家族に運行遅延の損賠賠償を求めた訴訟がありました。最高裁まで争われた結果、家族に賠償責任はないということで鉄道会社の請求は棄却されました。ただしこれは、この事件の家族状況では賠償責任はないと判断されたということにすぎません。別の状況によっては賠償責任を負うことがあるとの可能性を残しました。
この事故により損害保険会社の一部では、被保険者が認知症などにより責任能力が認められない状態で賠償事故を起こしたとき、補償の対象になる人の範囲を広げる内容に改定をしています。
具体的には、被保険者が責任無能力者である場合、その者の親権者、その他の法定の監督義務者および監督義務者に代わって責任無能力者を監督する親族が、被保険者に追加されています。
〇保険選びの注意点
個人賠償責任保険はクレジットカードについているものもあり、知らず知らずのうちに加入している場合もあります。複数の個人賠償責任保険に入っていたという場合は、保障内容が重複し、余計な保険料を支払っている可能性もあるため、内容を見直すことも必要です。そして、1つに絞る際には、いくらまで補償されるのか、解約しても他の保険で補償は大丈夫なのか、また補償の対象となる人の範囲が狭まらないか、示談交渉サービスがついているかどうか、補償地域が日本国内の事故のみかどうかなどを事前に確認しておくことが大切です。
いかがでしたでしょうか。個人賠償責任保険は家族を含め、補償される人の範囲が広い保険です。誰でもうっかり事故を起こしてしまうことはありえますので、この機会に自分が現在個人賠償責任保険に入っているのかどうか、そしてその内容はどのようなものなのか確認されることをオススメします。