開業医のミカタ

30年後の開業医のミライとは?

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2017.08.31

AI普及で進化する人間のサービス

兆 候 間近に迫ったミライ

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医療技術はいまロボットに取って代わろうとしています。

手術支援ロボットダヴィンチ(2億5千万円)は、ほぼ100%に近い成功率で、外科医のオペ技術を格段に向上させています。

『神の手』の域を超える技術革新は様々な諸問題を抱えてはいますが、これからの活躍が期待されています。様々な診断アプリも登場し、病気の特定は経験や熟練を凌駕する日もそう遠くないのかもしれません。

また介護ロボットは歩行や移動の補助、セラピー効果やコミュニケーションを図るものまで開発実験されており、介護者の負担を大幅に軽減させています。普及はまだこれからですが、介護ロボットを活用している事業者には報酬加算が前向きに検討されていますので、導入はこれから広まると考えられます。

またレセプトや健診データの共有により、健康維持のためのアラート機能や運動指導を行うためのビックデータを収集統合する動きがあります。

これは「新産業構造ビジョン〜第4次産業革命をリードする日本の戦略〜」(平成28年:経済産業省)に明記されています。

経済産業省:「新産業構造ビジョン〜第4次産業革命をリードする日本の戦略〜」

これからはIOT、ビッグデータ、人工知能、ロボットにより産業構造や就業構造が劇的に変わるという可能性を示唆しています。

具体的に何が変わるかというと、大量生産からカスタマイズサービス(個別化医療、オーダーメイド服、教育他)、眠れる資産とのニーズマッチング(Uber、Airbnb他)、人間の役割、認識、学習機能の代替(自動走行、配送他)などが挙げられています。

金融業界でも既にロボアドバイザーが投資診断のもと、資産形成を分析提案してくれます。投資予算さえ決めてしまえば、あとは勝手に分散投資してくれるようです。私自身も診断を様々なツールで試してみましたが、診断結果の根拠が理解できないため相性が合わないかもしれません。

おそらく金融工学や行動心理学を勉強された頭のいい方たちが開発されているので、素直に従っていればいいのかもしれませんが、私の性格上、やはりお金のことをロボットに任せることは出来ません。

また今はネットバンキングが主流で支払い、振込み、買い物などほとんどがweb上で完結します。「銀行の窓口業務はそのうちなくなるでしょう・・・」と最近お会いした支店長クラスの銀行関係者は口を揃えていいます。

「働き方の未来2035」(平成28年:厚生労働省)ではAIに仕事が代替される一方で、人間が当たり前にやってきたことに付加価値がつくといいます。

厚生労働省:「働き方の未来2035」

「ヒューマンタッチ」という概念でロボットの活用で低価格競争が高まる一方、人間が人間へサービスすることへの満足度が価格の差を生むのではといいます。現代でも「手作り」、「こだわりの」、「限定モデル」などのキャッチコピーがつくと、その付加価値に飛びつくことはよくあることです。

人がやることに価値がある・・・ロボットでは永遠に勝ち得ることができない人の関わりによる満足度という付加価値が生まれるのかもしれません。

転 進 サービスの官民一体進化論

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医療サービスにおいて、社会保障費がこれから膨れ上がる問題はご周知の通りです。

この問題を解決するには増税か個人の自己負担割合を極端に上げるよりも、現実的にAIとロボットによる医療サービスの代替しかないと思います。初診は全国のカルテの共有であらかじめ病因が予測できたのであれば、診断の手間が大幅に省ける可能性はあります。

医院の業務で受付窓口、診断、治療、薬剤の調合などはAI、ロボットが担い、医師・歯科医師の本業は総合マネジメントと予防リテラシーの普及にシフトしていけば医療費は削減されるのではないでしょうか。

また金融業界においてもビッグデータを活用し新たなサービスを官民で取り組んでみたらどうかと思います。平成27年度税制改正で財産債務調書をマイナンバーと共に提出することが義務付けられました。

2000万円以上の所得かつ3億円以上の財産所有か1億円以上が国外にある方が対象です。

この制度の大きな目的は税徴収を確実に行うためだと公言されていますが、今のところ対象者にとってメリットはありませんので提出率も悪いようです。この調書には不動産、有価証券、預貯金の全てが網羅されています。この書類をたびたび拝見しますが、その内容は私たちが以前から当たり前にやっているお客様の情報収集です。

もし調書提出のギブに対してテイクが、金融のプロからのアドバイスであればメリットが享受できます。日本銀行の「資金循環の日米欧比較:2016」によると家計の金融資産の現金・預貯金の割合は52・3%です。財産情報のビッグデータを活用し、AIに資産分析させ、国民にアドバイスできれば投資や資産形成はもっと活性化するのではないでしょうか。

また同時に血縁関係も把握していますから、相続準備などのアラートも同時に鳴らすこともできますので、さらにデータ共有の意味を持たせることもできます。

衝 突 革命と保守の軋轢

日本はまだ各方面で鎖国状態にあるといえます。

それは既得権益、岩盤規制、この二つが日本の進化を大きく妨げています。シェアリングエコノミーは先進国に比べ4年遅れているそうです。大阪市の客室稼働率は約90%で日本一宿泊予約が困難な都市になっています。

市内5万5千室の客室に対して、民泊非公認ですが既に1万2千室がAirbnbに登録され利用されています。

Uberの企業価値は10年足らずで7兆円に成長しました。トヨタの企業価値は20兆円ですからそのスピードは瞬く間という言葉がぴったりです。

またUberEATS(ウーバーイーツ)は飲食業界をデリバリー化し、自転車しか乗れない専業主婦に宅配という仕事を与えました。

これらに対し、タクシー業界や旅館ホテル業界から導入反対が起こっていますが、当たり前が刻々と変わりつつある時代に取り残される人たちは停滞し退化していきます。

AI、ロボットの開発、ビッグデータの共有が声高になる一方で、それをよしとしない人たちもいます。『鉄腕アトム』は一般の認識と違い科学と人間のディスコミュニケーション(相互不理解)を描いているそうです。

アトムが科学の急速な進歩と人間との間で調和している役割を果たします。日本の文化と制度に新しい産業革命が上手く調和できればwinwinな社会ができるのではないでしょうか。

AIもロボットも人間が創り出すものです。どの業界でもAI機能は取り入れられると考えられます。この開発に関する職業は増えていく気がします。そのためにこれからは人間がより人間らしい感性を磨いていかなければいけないという風潮がどこかでもっと強くなる気がします。

ディープラーニング(深層学習)の機能は人類を幸福に導くか不幸に誘うかのボトルネックです。

『人らしく』がより見つめなおされた進化の中、誰もが幸せに暮らせる社会が期待されます。

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『サピエンス全史』を読んだ。

地球誕生から現在まで、リアリティ溢れる描写は世界中で売れている理由も頷ける。

ホモ・サピエンスとネアンデルタール人、カトリックとプロテスタント、アメリカとソ連・・・これまで様々な戦いがあった。

もともと人間にはDNAに防衛本能が組み込まれており、守るべきもののために争いは避けて通れないらしい。

しかし著者は、人類は確実に統一に向かっているのだという。

この来るべき新産業革命が国境の鎖を解き、世界の文化と宗教の融合に向かうのであろうか。

ぼくたちは、かけがえのない地球に「同乗」している、仲間です。

- 手塚治虫(漫画家/1928-1989)

■プロフィール
恒吉雅顕(つねよしまさあき)
2006年
株式会社インベストメントパートナーズ設立メンバーとして参画。
2014年
公益法人日本医業経営コンサルタント協会 コンサルタント認定登録

全国500人以上の個人開業院長、医療法人理事長を中心に、人生設計をサポートし、医院形態、規模、年代、地域性など、集積したデータをもとに主にリタイアメントに向けた資産形成の設計管理を行う。
また士業連携チーム(税理士、会計士、FP、弁護士など)と共に医療法人化、医院譲渡、相続、労務問題、スタッフ教育などの諸問題を幅広く解決している。

2015年
出版:「開業医のための資産形成術幻冬舎メディアコンサルティング」

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イラスト:かたおかともこ