Q&A

医師に選ばれる金融事業者とは?

恒吉さんQA6月

2017.06.09

金融事業者の求められる変化と「顧客本位」とは?

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経営面で事業計画や将来の承継、個人的には子供の学資などについて、身近にこれといった相談相手がいません。この他にも、これからトータル的にお金の相談をするパートナーとして最適な職種や専門家はどのように選んだら良いでしょうか?

先生9

■相談者プロフィール
耳鼻科開業医 理事長 A様(50歳)
■開業15年目
■家族
妻(45歳 専業主婦)
長男(20歳 医学部2年生)
長女(17歳 高校3年生)
Answer

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今年に入ってから出版された金融関係の書籍は「捨てられる…」「消える…」「…の運命」「生き残る…」などネガティブなタイトルが並んでいます。

マイナス金利の影響で金融機関の本気度が試される今、世間は金融機関の動向や変化に敏感になっています。消費者側が今まで関心が薄かったものにフォーカスされた結果、金融機関に不信感が日に日に高まっているようです

以前のコラムで、事業資金の借換えの事例を読まれたあるクライアントが、銀行担当者を呼びつけたと聞いております。何が気に入らなかったのでしょうか?

開業時の事業借入れの金利が、同じ銀行に融資を受けている最近開業した先生よりも、かなり高かったことがたまたま耳に入ってきたそうです。

新規開業の先生に、時期や条件の違いはあれど自分より低い金利で融資するのはともかく、金利引き下げの提案などが全くなかったことが癪に障ったとおっしゃっていました。

普通に考えれば「長い付き合いのある私のほうが優遇されてもいいんじゃないか」と思うのは、どのサービスでも同じ感情になって当然です。

「顧客本位の業務運営に関する原則」(金融庁:平成29年3月30日)からの抜粋ですが

〜本来金融事業者が自ら主体的に創意工夫を発揮し、ベストプラクティスを目指して顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合い、よりよい取組みを行う金融業者が顧客から選択されていくメカニズムの実現が望ましい〜

とあります。

裏を返せば、

〜企業本位(都合)の体質で、どこもかしこも右に倣えの商品がはびこり、悪しき慣習のままの売り込み手法で、知識のない消費者に選択の猶予を与えることなく、これまでどおりの営業活動を続けている金融機関は、いつの日か選ばれなくなり淘汰されてしまう〜

…という最終警告と読み取れ、そうであれば強く共感します。

ところで金融庁が発表している「顧客本位」をどう捉えたらいいのでしょうか? 近江商人の精神、「三方よし」の精神を引用すると、今の金融機関には「売り手よし」が前面にあり、「買い手よし」はほぼ存在しない、結果「世間よし」が実現せず、景気がよくならない。これからは「買い手」を基本にサービス、商品開発を考えるべきであると解釈しています。

金融庁は元々金融機関の不正を監視する機関として1998年に設置されました。金融機関との関係はこの約20年間、監視する側とされる側ですので、この「顧客本位」による大きな方向転換は現場に混乱を招いているようです。

今まで「何をしたら怒られないか?」ばかりを気にしすぎるあまり、「何をしたら褒められるのか?」については考えてこなかったのでしょう。「顧客本位」の定着に向けた基本的考え方として、ベストプラクティスの収集と事例の公表を検討しています。

ここでのベストプラクティスは、推奨される良き行いといったところでしょうか。しかしこれだけでは「顧客本位」は実現しないと考えます。

私の経験から、もしかしたら金融機関も消費者も良いことと悪いことの区別がついていないのではと感じるからです。企業都合がまかり通っている金融業界にはバッドプラクティス(悪しき行い)も公表し共有すべきです。

参考データ:金融庁データ(顧客本位の業務運営に関する原則 )

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森信親金融庁長官は4月の日本証券アナリスト協会第8回国債セミナーにて「『母親が亡くなり遺品整理をしていると、最近購入したと思われる、お年寄りには到底不向きのハイリスクで複雑な投信が何本も出てきた』という苦情を聞くことがよくあります。〜中略〜親のところにあまり顔を見せない子供たちに代わって、お母様の話し相手になっていたのかもしれませんが、これにより子供たちの当該金融グループに対する評価はどうなったでしょうか?」と述べています。

寂しい高齢者の話し相手をする代償に、本人にとって不必要なファンドを購入してもらう。そんな許されざる事例はほかにもたくさんあります

【契約後は、満期までの我慢比べ】
K先生は35歳。専業主婦の奥様と3歳と1歳の子供の4人家族。「なかなかお金が貯まらない…」と相談され、ライフプラン表を作成しましたが、特に生命保険料が原因で毎年100万円ほどの大赤字になっていました

K先生はT生命からの勧めで、一人目が誕生したときからこれまで年金、学資、リフォーム費用の目的として全て同じ商品に加入していました。

「低解約返戻金型保険」をご存知でしょうか? 使わない余剰金がある家計であれば良いとは思いますが、契約後は満期が来るまでに解約してしまうと必ず損をする保険です。

K先生の生活を圧迫させていたのは、一家の生活費を度外視した保険会社の勧めによって加入させられたこの『やめられない保険』だったのです。

【目的なき融資】
T先生は開業15年目の医療法人の院長。経営はこれまで順調で分院展開の予定も、設備の入れ替えもなく、一人院長でこれからもやっていくつもりです。

事業借入は既に返済していますが、「何かあったときのために…」とメインバンクの担当に融資の提案を断りきれませんでした。

使い道のない金利1.5%の2000万円は通帳に眠ったままですが、毎月利息を払い続けています。0.001%の利息で預金者から預かり(借り)、目的がない事業融資をT先生に1.5%で貸す。

銀行は1500倍の暴利を働かずして搾取している構図になります。

このようなバットプラクティスこそ金融機関と消費者で共有し、お互いで「顧客本位」を高め、理解を深めていくべきではないでしょうか

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新規で選ばれる金融機関の基準は、知名度(CMなど)と担当のマンパワー、ほとんどは商品の良し悪しのみのような気がします。

銀行も保険会社も証券会社も似たり寄ったりで、まさしくどんぐりの背比べです。

銀行であれば、サービスの違いは多少あれ、預金の金利が高く、借入れ金利が低いところに消費者の目は自然と向きます。自社の商品に自信を持って勧めることを否定はしません。

しかし本当に顧客のことを思うのであれば、商品が希望に合わない場合、他社を紹介する勇気があるかないかは「顧客本位」の本質になります。自社でできないことを他社にお任せすることは、長い目で見ると高い信用が得られるはずです

その顧客のためお金に関すること以外でも日々情報収集を怠らなければ、おのずと何かしらお声がかかるはずです。

これからは顧客が求めているものをいち早く察知し、必要な情報と適切な提案をするべきです。

よく中立的立場を謳う企業、専門家がいます。理想ではありますが、金融業者には存在しないといえます。なんらかの商品を購入してもらわないと企業として、個人として存続しませんから、どこかに偏るのは当たり前です。

かといって商品を持たない専門家が、親身になって時間をかけてしかも無償で相談に乗ってくれるとも思いません(中にはいると思いますが…私は出会ったことはありません)。

私の持論ですが、本来お金の問題は総合的に解決されるべきであると考えます。金融に関する異業他社同士が相互解決を図るべく、協力体制を整えるべきです。

顧客の経営ビジョンや人生設計を共有し、常にベストな満足状態を維持することが、企業間で使命となればかなり理想的です。

理想のパートナーとはこのような感覚を持つ個人または企業ではないでしょうか。

いずれにせよ、金融業者側の意識の変化、悪しき習慣の見直しなどがなされるのは、まだまだ時間がかかりそうです

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金融業界に身を置くサラリーマンの「本意」とは?

創業者の熱い思いはどこかに消え去ってしまった。

意気揚々と入社したリクルートスーツの若者は次第に企業理念と使命を疑いはじめるが強烈なトップダウンの圧力に従い、ねじれた顧客アプローチに変わる。

「顧客第一主義」のモチベーションは「利益追求主義」に飲み込まれ、いつの日からか企業の従順な歯車として馴染んでしまっていた。

企業存続のためのノルマに駆けずり回り、心体ともに疲労困憊する日々が続くが、一人の力ではどうにもならないと諦めてしまう。

しかし、この金融の常識を覆す大改革が、パラダイム変換を日本中で起こし、資産形成の理想郷が創られることを切望する。

また「お客様のために」の本質が叶う未来は、金融の本物のプロを育てる上でこれからの重要課題である。

「私たちは皆、互いに助け合いたいと思っている。人間とはそういうものだ。相手の不幸ではなく、お互いの幸福によって生きたいのだ。」

- チャールズ・スペンサー・チャップリン(俳優、映画監督/1889-1977)

開業医のミカタでは、いまさら聞けないけど知っておきたいなどのご質問も受付けております。次回もおたのしみに!

■プロフィール
恒吉雅顕(つねよしまさあき)
1972年福岡県生まれ
様々な業種を経験後、2006年/株式会社インベストメントパートナーズ設立メンバーとして参画
2014年/公益法人日本医業経営コンサルタント協会コンサルタント認定登録

開業医に関わる様々な問題解決を経営面、ライフプランから独自の視点でコンサルティングし、現在までに約500人の実践的資産形成の設計を行う。

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イラスト:かたおかともこ