Q&A

教育とお金 ー金融リテラシーの必要性についてー

恒吉さんQA

2017.05.17

教育制度が及ぼす社会への影響とお子様の進路について

教育とお金

高1と中1の息子がいます。私自身、開業医として本音はどちらかに後を継いでもらいたいですが、息子たちの考えも尊重したい気持ちもあります。教育についてこれから子供たちに何を身につけさせたらいいのか? また教育というものに関し、恒吉様ご自身はどのようなお考えをお持ちでしょうか?

先生3

■相談者プロフィール
個人開業医 W様(45歳)
■開業10年目
■家族
妻(44歳)
長男(高1)
次男(中1)
Answer

日本の教育の実態

教育…教え育てるということは、そもそも教える側に「こうなって欲しい」という目的が存在します。新卒が社会人になればまず、新人研修があります。

企業の一員として社内や取引先、お客様と良好なコミュニケーションができるように、挨拶など最低限のマナーを身につけていきます。企業体で形成されたルールと社会人常識を徹底的に叩き込まれます。

どの企業においても業種を問わず似通った研修が行われているようですが、なぜこのような体質が未だに受け入れられているのでしょうか。

私自身、団塊ジュニアと呼ばれる世代ですが、公立で全員一貫して同じ教育を受けていました。中学生の3年間は全員指定された学生服と靴、同じバックで通学していました。

通っていた学校では月1回の頭髪検査がありました。今でも鮮明に覚えていますが、中学2年の9月、「2ミリ長い!」と、当時剣道部顧問の体育教師に火花が散るほどげんこつで殴られた後、保健室でピッカピカに剃り上げられました。

さらに次の日から昼休みの30分間、1週間連続で職員室の冷たいコンクリートの床で正座させられていました。なぜここまで頑なに規律と従順を叩き込まれたのでしょうか。そこには国策として企業の生産人口を増やすという高度成長期からの歴史の流れがあります。

「たくさん勉強して、いい大学に入って、いい会社に就職したら幸せになれる」という常識に一点の曇りも迷いもなく、親も子供も教師も受験戦争に突き進んで行きました。国の発展のため規律を守り、定年まで尽すことが美徳とされる教育体制は企業にとって都合が良かったのかもしれません。

「高学歴、体育会系であればなお良し!」の本音は学歴が採用基準を単純明快にしていたと思われます。しかしバブル崩壊を期に、右向け右の人材は簡単に切り捨てられました。それから従順なだけの人材の雇用ニーズは激減します。

新社会不適合者は自信を喪失し、再就職もままならず、自立できないまま30代、40代と実家の部屋に引きこもり…親、社会を恨み続け、他責を大義名分とし、親のすねをかじり続けている同世代もたくさんいます。

「たくさん勉強して……幸せになれる」が実現しなかった子の親は、その十字架を背負い続け、僅かな貯蓄をわが子のために切り崩しながら、終わりの見えない罪滅ぼしを続けています。日本の教育は規律とチームワークを生み出しましたが、創造性と個性を奪いました。

これから何が職業になるかわからない時代、子供自らできるだけ進路を決めていけるよう、早いうちからあらゆるものを体験させ、様々な価値観、考え方に触れさせ、選択肢の幅をできるだけ広げる必要性に迫られています。

日本の教育の実態

20年度の未知なる職業

キャシー・デビッドソン教授(ニューヨーク州立大学)「米国で2011年度に入学した小学生の65%は、大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう」と言っています。

20年前にはなかった職業としてスマートフォン関連が上げられます。数十年で黒電話から見る見るうちにスマホへと進化しました。それに伴うアプリ開発はめざましい成長を遂げ、今や全世界に浸透しきっています。

私たち資産形成コンサルタントの仕事が成り立っているのも、日本の教育と景気の低迷によるものであると考えます。がむしゃらに働いて、退職金は郵便貯金に預けさえすれば悠々自適が待っていた時代に、資産形成コンサルタント自体存在しませんでした。

しかし、お金の教育を受けていない現役世代は超低金利の今、資産形成の問題解決を自分でできる時間と労力は持ち合わせていないのが実情です。金利の高い時代には考えられなかったことですが、資産形成の判断基準を求められる問い合わせは、ここ数年で急激に増えてきました。

また同様に最近、金融庁・森長官は「顧客本位」を強く訴え、業界のスタンスを根本から変えようとしています。「金融リテラシー・マップ」(2016年1月・金融経済教育推進会議)では小学生から高齢者まで7つの年齢層別に、最低限身につけるべき金融リテラシーを4分野のカテゴリーで体系的に記してあります。

小学1年生がおこづかいを貯め、計画的に使うところから始まり、お金の貸し借りによるトラブル回避、高齢者の資産の承継に至るまで詳しく書かれています。

義務教育でこの取り組みがなされていれば、最近ニュースになった派手な熊本のおばさん(62歳)に騙された7億円の被害も食い止められたのかもしれません。金融庁は金融リテラシーを身につける必要性を「生活スキル」と位置づけています。これからは「お金のスキル」も必要にならざるを得ません。

参考データ:文部科学省提出資料
参考データ:金融リテラシー・マップ

20年後の未知なる職業とお金のスキル

国際力と多様な価値観

これからは親が進路の選択肢をできる限り増やす責任があると考えます。日本にとどまらず海外にも目を向け早いうちからの留学という選択肢もあります。

日本人学生の留学者数は約8.4万人(2015年・文科省)で、5年間で倍になっています。反対に海外から日本へ約24万人留学しています。留学理由の一番は語学力の向上(東京外語大学調査)だそうですから、いまだ日本の英語教育は身にはつかないものになっているようです。

事実、英会話スクールに通う人は60万人と言われ、skypeなどによるwebスクールも入れるとまだまだ右肩上がりで増加しています。日本の英語教育は、英会話産業発展のために貢献しているとしたら…(怖い妄想ですが)。

実際自宅に5冊の英会話に関する書籍、4枚のCDがあり、今まさに28枚組のリスニングDVDを購入しようとしています…本当の英語力が乏しく教育された私自身、業界へ微力ながら貢献しているのかもしれないですね。

Episode11(医師がリタイア後マレーシアに海外移住するメリットは?)でもご紹介したマレーシアのスインバン大学への短期語学留学ですが、異国同士、二人一組のバディが約一ヶ月間、寝食を共にします。母国語はもちろん通じません。コミュニケーションツールが英語しかありませんので、おのずと会話力がアップするそうです。

同じテーブルで、チキンライスをスプーンとフォークで食べるA君と素手で頬張るB君。懸命に互いの考えを伝え、深く理解しようとしていくうちに、語学力はもちろん、多様な価値観と文化を受容する力が身についていくとか。

「大学を卒業して即就職する必要性はどこにあるのか?」と言われる有識者の最近の発言に共感します。

好きなことを見つけるためか、好きなことに邁進するためか? 進学、就職の目的により生き方や人生は大きく変わります。これからの時代、履歴書上の学歴や資格より、どんな価値観でどんな人生を歩んできたか、自分はこれからどうなりたいのかを重要視する企業が増えていくのかもしれません。

国際力と多様な価値観

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好きこそものの上手なれ

子供の頃、大人がダメだと言っていた遊びに学んだものが多い。
はまりにはまったドラクエⅠ・Ⅱ・Ⅲは、自立と目標達成能力。

一晩中聴いていたロックは、常識を疑うことと自己主張すること。
朝から晩まで没頭した魚釣りは、想像力と戦略戦術。

気づけば「好き」を突き詰めたことが、自分のアイデンティティ形成になっていた。
ゲームのプログラマ、バンドマン、プロの釣り師にもならなかったが、すべての「好き」が、これからも学校で習わないであろう、今生きるための糧となっている。

昨日の常識が今日の非常識、マイノリティとマジョリティが簡単に逆転するこの世の中。大切な信念を持ちつつ、変化が激しい社会に順応できる柔軟さがあれば幸福といえる人生を過ごせるはず。

「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことを言う」

- アルベルト・アインシュタイン(理論物理学者/1879-1955)

開業医のミカタでは、いまさら聞けないけど知っておきたいなどのご質問も受付けております。次回もおたのしみに!

■プロフィール
恒吉雅顕(つねよしまさあき)
1972年福岡県生まれ
様々な業種を経験後、2006年/株式会社インベストメントパートナーズ設立メンバーとして参画
2014年/公益法人日本医業経営コンサルタント協会コンサルタント認定登録

開業医に関わる様々な問題解決を経営面、ライフプランから独自の視点でコンサルティングし、現在までに約500人の実践的資産形成の設計を行う。

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イラスト:かたおかともこ