開業医のミカタ

開業医が知りたい海外投資の基本とリスク

開業医 海外投資

2016.09.30

開業医が海外投資について知るべきリスクとメリット

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海外投資や租税回避の話題を雑誌やメディアで見かけることが多く、非常に関心があります。しかし曖昧な情報が多く、具体的に踏み込む勇気がありません。基本的なことが理解できていないので、わかりやすく教えていただけませんでしょうか?

先生7

■相談者プロフィール
開業医(脳外科) T様(51歳)
家族構成
奥様(48歳:専業主婦)、長男(20歳:私大医学部)、長女(18歳:私大医学部)、次女(13歳:公立中学校)
総資産:26,000万円(円/18,000万円、ドル/2,000万円、投資不動産/6,000万円)
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医師 海外投資

■積立金が25年後には3倍に!?

今回は海外投資の実態について、私自身が4年ほど前にはじめたイギリスのS社の生命保険積立を中心にお話します。私が加入している保険は25年で積立額の約3倍になる予定です。額面どおり聞くと、現実味のない数字で、なんとも胡散臭い話ですよね。

しかしこれはこの商品の過去の実績からの予測なのです。「114の法則」をご存知でしょうか? 114を利回りで割ると原資が3倍になる年数が導き出される数式です。

114÷x(%)=25年間、x=4.56ということで4.56%の複利運用になります。世界の平均利回りは4〜8%と言われておりますので、あながちありえない数字ではありません。
 
現在日本の保険商品でこれほどのパフォーマンスをもたらすものは存在しません。それどころかマイナス金利の影響で、養老保険系の商品は相次ぎ販売停止になっています。

■悪質保険商品の横行

また、最近特に多いのは、加入目的が曖昧で、満期まで積立てても確実に損をする保険商品です。こんな悪質商品の契約を取ってくるセールスマンの腕前は大したものですが、そのような商品を売らざるをえない提供する側の限界を感じます。

また、海外のアセットマネージャーが顧客の資産と利益を守ることに強くコミットし、成功報酬で資産運用しているのに対して、日本の大手証券会社の多くはいまだに手数料商売を続けています。

商品の良し悪しにかかわらず、売買を繰り返し手数料で利益を上げる体質なのです。日本の“サラリー証券マン”は、運用益があろうと損しようと報酬にさほど影響を受けない体制であるため、そのモチベーションの違いにも要因があるのかもしれません。

投資の本来の意味は、未来に社会的可能性がある案件(企業やプロジェクト)に、生活に余裕のある人が期待をこめて出資し、長期的に見守りながら最終的に見返りをもらうことだと考えます。商品の良し悪しにかかわらず、売買を繰り返し手数料で利益を上げる体質は今後淘汰されていくでしょう。
 
また、先日、妻と一緒にグランキューブ大阪で開催された楽天証券のセミナーに行ってきました。様々なブースがひしめきあっており、その中でも目に留まったのが、目標、期間、リスク許容、好み、性格などを総合的に分析し、WEB上でアドバイスをしてくれるファンドラップでした。

これから投資判断においてはAIが支流になっていくようです。実際、アメリカの401k*アドバイザーはロボットが中心になっているようで、まだまだ日本の金融業界は遅れているようです。

*・・・確定拠出年金。現役時代に積立ながら自己責任で運用し、60歳で受領することが出来る公的年金。

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海外保険といえば「海外にお金を預けて大丈夫?」という不安があると思います。しかしその前に「そもそも日本人が海外の保険を買っていいものか? 違反していないか?」という疑問を抱くかもしれません。
 
海外の生命保険を契約するには、保険業法186条2項にて『保険の申し込み前に内閣総理大臣の許可が必要』とあるのです。しかしWEB上で調べても、私の周囲にも、過料を支払った人や当局に呼び出しされた人は今のところ存在しません。

そのため、本当に個人の契約で許可がいるのかどうか、内閣府に電話してみました。すると、さすがはお役所です。内閣府→金融庁→保険担当特別相談室と、たらい回しにされてから、ようやく話を聞くことができたので、会話の一部を抜粋させていただきます。

私 「実際個人の保険契約でみんなちゃんと申請しているんですか?」
担当 「ノーコメントです」
私 「50万円以下の過料を支払った人っているんですか?」
担当 「ノーコメントです」
私 「ダメだったケースってあるんですか?」
担当 「内容によります」
私 「どこが審査してるんですか?」
担当 「保険監査課が管轄しています」
私 「そこに繋いで頂けますか?」
担当 「ダメです」
私 「・・・・・・」

役人気質の年配男性と、このようなやりとりが続き、残念ながら知りたいことの真相に迫ることはできませんでした。

結局、日本の保険会社が諸外国の保険会社に顧客を持っていかれるのは困るが、海外の保険商品を所有してもらえばその収益の20%を税収にできる…。この板ばさみによって、処罰にならないのです…まさしくグレーゾーン。どっちつかずな状態がこんな曖昧な電話回答マニュアルになっているのかも知れません。いま50万円の過料を徴収するより、満期に納税してもらうほうが、確実にメリットがあるので、政府も片目をつぶっているという可能性が高いです。

しかし日本に支店のない海外の保険業者が国内で商品を勧誘・契約することは、禁じられています。いい商品を買うには国内の保険業法の範疇外でないと今のところダメみたいです。

この金融鎖国状態はいつまで続くのでしょうか? 海外から日本に進出する企業に神経を尖らせ、法で縛り、追い返す… 。保険だけではなく、Airbnb(民泊)など世界で広く認められているシェアリングエコノミーサービスなどもいまだ解禁されていません。

約200年前にS社が創業した頃、日本は、外国船を見つけ次第砲撃し、上陸した外国人は逮捕するという「異国船打払令(いこくせんうちはらいれい)」を発令しました。現代と似通っていませんでしょうか? 金融業界もまた、既得権益を死守することで日本経済を健全に発展させることができるかどうかは大いに疑問です。

※保険業法186条1
日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約(政令で定める保険契約を除く。次項において同じ)を締結してはならない。ただし、同項の許可に係る保険契約については、この限りでない。

※保険業法186条2
日本に支店等を設けない外国保険業者に対して日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約の申込みをしようとする者は、当該申込みを行う時までに、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。

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海外投資の更なるメリットも紹介しましょう。ズバリ、リスク分散です。冒頭で海外投資は選択肢を増やすとお伝えしましたが、国内のみで資産を同じところにとどめておくこと、国内で投資を続けることにはリスクがあるのです。

みなさま「ペイオフ」という言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか? もし銀行が破綻した際、預金の1,000万円までは保護されます。しかし、10億円の資産を一つの銀行に預け、破綻したとしたら、9億9,000万円は消滅するのです。国内で資産を分けてもメガバンクが破綻すると、共倒れの危険があります。しかし海外口座に分散しておくことで、被害を最小限に食い止めることができるのです。

また、商品購入の際にも同じことが言えます。私の積み立て商品は「ファンド・オブ・ファンズ」という種類の保険商品で、300銘柄ほどのファンドの中から自由に選択し、経済状況に応じ組み合わせて購入できます。一社だけでは株価の上下により資産価値が変わりますが、会社も業界も国も別々の商品を購入することで、リスク分散が広がります。分散すればするほどパフォーマンスは落ちますが、資産全体の安定性が増してきます。

購入商品を選んでくれるのは金融工学を学んだIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)。IFAによってパフォーマンスも変わりますが、日本より格安の手数料を支払い、「今は積極的に運用を!」などの方向性のみ指示し、後は一任しています。IFAはいつでも他所に乗り換え可能ですので、結果を出すため彼らも必死です。私がやることといえば月一回の報告レポート(日本語)をビールを飲みながら眺めているだけです。

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【Plus One Advice】知ってて得する!恒吉のプラスワンアドバイス

まとめ

■“非日常”を体感し、パラダイムを変える!

『海外投資』には、為替相場が変わってしまったり、投資している国自体の政治・経済情勢が悪化したりするリスクが確かにあります。しかし、企業や国などの成長を応援することに投資の本質があるとすると、選択肢を増やし、世界を広げていく方がおもしろい投資先と出会えるのではないでしょうか。

香港の海外投資セミナーに参加されたクライアントのK先生から、「非日常をありがとう」と感謝の言葉をいただきました。私自身知らなかった投資の世界を体感し、人生において、このカルチャーショック体験がこれまでの偏見を拭い去ったことは、紛れもない真実です。

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人の世に、道は一つということはない。道は百も千も万もある。

- 坂本龍馬(土佐藩郷士、海援隊隊長/1836~1867)

開業医のミカタでは、いまさら聞けないけど知っておきたいなどのご質問も受付けております。次回もおたのしみに!

■プロフィール
恒吉雅顕(つねよしまさあき)
1972年福岡県生まれ
様々な業種を経験後、2006年/株式会社インベストメントパートナーズ設立メンバーとして参画
2014年/公益法人日本医業経営コンサルタント協会コンサルタント認定登録

開業医に関わる様々な問題解決を経営面、ライフプランから独自の視点でコンサルティングし、現在までに約500人の実践的資産形成の設計を行う。

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イラスト:かたおかともこ