Q&A

開業医の方の確定申告には税理士と相談の上、対策を

医師 確定申告

2016.03.31

開業医の確定申告対策の時期は?税理士は必要?

確定申告について、毎年税制が変わるのでどう対策すればよいかわかりません

確定申告について、毎年税制が変わるのでどう対策すればよいかわかりません。何かいい方法はないでしょうか?

先生2

■相談者プロフィール
内科開業医 K先生(50歳)
開業10年目
売上約20,000万円/総資産約25,000万円
Answer

右腕の役割を果たす税理士を顧問に

確定申告に関わる税制大綱は毎年発表されます。しかしメディアで取り上げられる情報は、一般の人たちが興味関心ある内容に限られ、すべての情報を網羅できません。

例えば平成28年4月1日以降に取得した建物付属設備の減価償却が定額法のみになり、定率法が廃止されること今年3月までで生産性向上設備向上促進税制が廃止されることは、メディアにとっては取り上げにくいテーマですよね。

これらは、先生方にとっては耳に入りにくい情報ですが、非常に関係性の高い話になります。前者はこれから医院を新築・改築する際、設備関係は定額償却になるため、基本増税になります。後者は最新設備を購入した場合、即時償却や税額控除が適用され、勢いのある医院では大幅な節税になります。

K様も日々忙しくされている中で、医業に専念できる環境を整えるため、最新の情報を正確に伝えるアンテナを持った税理士さんを右腕として新たに迎え入れることが先決ではないでしょうか。
 
さて今回は医院経営に関係がありそうな今年の税制改正のポイントを、私なりにまとめてみました。

まず政府は女性活躍推進を中心に一億総活躍社会の実現を目標に掲げています。しかし結婚・出産を機に離職した女性が社会復帰する際、待機児童の問題などが実際には山積しています。現在、ライセンスは持っているが就業していない潜在看護師約71万人、潜在歯科衛生士は約15万人といわれています。ここからの雇用確保は医院経営にとって永遠のテーマですが、この政策は医院にとって追い風になるのでしょうか?

次に今回の目玉は三世代同居に係る税制上の軽減措置の創設です。三世代同居を目的として住宅の改修を行ったとき、工事費用の年末ローン残高の5%を所得税額から5年間控除するという優遇措置です。

出産・子育てに不安を抱く若い世帯が、両親と同居することで子育ての協力が得られ、また両親の介護が必要となった場合も、介護を自助で行えることで子育て・介護のダブルケアが可能となります。しかし世論のアンケートでは約半数が親との同居を望んでいない実情がありますが…(図A)。

2016年の政府方針 新三本の矢

これと合わせて18年ぶりに通勤手当が改正され、非課税枠が最大10万円から15万円へ引き上げられました(図B)。優秀な人材が子育て・介護を理由に地方へ移住するなどの理由で離職を回避するため、改正されたのではないかと考えられます。通勤圏の拡大により、スタッフ募集の幅は広がりますが、これらを活用できる医院はどのぐらいあるのでしょうか? ※平成28年度税制改正大綱pdf

【Plus One Advice】知ってて得する!恒吉のプラスワンアドバイス

確定申告は12/31が〆切です!

毎年確定申告の受付期間は大体2月15日~3月15日です。個人事業の医院でお話させていただくのですが、年末最後の診察日を終えた時点で利益(年収)が確定する、イコール納税額が確定することを意味します。

12月31日を過ぎてしまっては、確定した納税額を減らすことはできません。確定申告の受付は3月15日までですが、節税対策は前年の12月31日までにしないと意味がありません。

後悔しない確定申告を行うためには、図Cのように確定申告カレンダーを作って計画的に申告の準備を行った方が、段取りよく確定申告が行えます。スケジュール帳か卓上カレンダーの9/30に「税理士さんに試算表をもらう!」と記入しておきましょう。もらった試算表から今年の利益を予測します。

失敗しない確定申告カレンダー

計算式は(9カ月分の利益÷9カ月)×12カ月でおおまかな残るお金が予測されます。このままの推移で営業を続けた場合、どのくらい医業収入を達成でき、そこから固定費とある程度決まった変動費の支出を除くといくら利益が残るかがわかります。そして同時に、10月1日から12月31日までの残り3カ月の間に「使えるお金」を予測します。ここからが勝負です!

この「使えるお金」を、どのように、どれだけ有効的に投資・活用するかで、確定申告が後悔しない結果となるか否かが決まります。

ちなみに医療法人の場合、納税額が確定するのは決算月です。新しい期がスタートしてから9カ月後に試算表をもらいましょう。10カ月後から決算月まで、「使えるお金」を何に投資するかで次期の成績が決まるといっても過言ではありません。

投資は、患者さん⇒スタッフさん⇒ご自分の順番で!

コンサルティングを進めていく中で、確定申告書や決算書を拝見すると「もう少し早くお会いできればよかったですね…」とお伝えすることがしばしあります。個人医院では奥様(専従者)のお給料が極端に少なく、所得分散がなされてないケースや、小規模企業共済退職金未加入など基本中の基本の対策ができてない事例をまだまだお見受けします。

医療法人のあるクライアント様でも、法人利益が毎年2,000万円ほど残っており、今まで手付かずの状態だった決算書をふせんだらけにし、頭を抱えながらひとつずつ改善したこともありました。来年の確定申告、決算にお役に立てるよう、医院の投資計画についてお話させていただきます。

「使えるお金」が計算できたら、次に重要になるのが投資の順番です。患者さんのため⇒スタッフさんのため⇒ご自分へ。医院経営を継続発展させるためには、この順番が大原則です!順番が逆になると、経営が悪化していくことはなんとなく想像がつきますよね。

投資の順序

患者さんに選ばれる投資を行うためには、日ごろからアンケートを取るなどの工夫をし、患者さんの声にアンテナを張っておくことが必要です。設備にお金をかけるのか?人にお金をかけるのか?患者さんの声を基に定期的にスタッフさんと話し合い、経営判断をすることが重要になります。

周辺医院に比べて設備が古ければ最新設備を購入すべきですし、接遇対応にクレームがある場合は、マナー教育などにお金をかけていくことを検討しましょう。次はスタッフさんのためです。例えばスタッフルームの充実、コミュニケーションを深めるための食事会や旅行の企画、女性らしさに磨きをかけるセミナーへの参加など、モチベーションを上げるための投資が必要です。

最後にご自分の退職金や償却期間がすぎていればマイカー購入などのご褒美をあげてください。この投資の順番の感覚があれば医院経営はきっとうまくいきます。

開業医のミカタでは、いまさら聞けないけど知っておきたいなどのご質問も受付けております。次回もおたのしみに!

■プロフィール
恒吉雅顕(つねよしまさあき)
1972年福岡県生まれ
様々な業種を経験後、2006年/株式会社インベストメントパートナーズ設立メンバーとして参画
2014年/公益法人日本医業経営コンサルタント協会コンサルタント認定登録

開業医に関わる様々な問題解決を経営面、ライフプランから独自の視点でコンサルティングし、現在までに約500人の実践的資産形成の設計を行う。

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イラスト:かたおかともこ