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歯科衛生士の妻の給料はいくらにするのが適切か

歯科衛生士の妻の給料はいくらにすればいい?

2015.06.23

歯科衛生士の妻の給料はいくらにすればいい?

歯科衛生士の妻の給料はいくらにすればいい?

今、歯科衛生士として医院で働いてもらっている妻の給料を月40万円で設定しておりますが、妥当かどうかわかりません。

他の先生に聞くと、「もっと上げてもいいよ」とおっしゃる方もいれば、「そのくらいが妥当なんじゃない」と言われる方もいらっしゃいます。

私自身の年収が2,300万円で、所得税額が40%台。もう少し妻の給料を上げて、税負担を減らしたいと考えているのですが、歯科衛生士である妻の給与設定について教えて下さい。

Q&A先生2

■相談者プロフィール
歯科開業医S先生(52歳)
開業20年目/売上9500万円
奥様:歯科衛生士
長男:歯科大4年生(22歳)
長女:高校3年生(18歳)
Answer

歯科衛生士の妻の給料はいくらにすればいい?

■『社会通念上』という言葉が意味するものは?

このケースの話題の中で、『社会通念上』という言葉をよく耳にします。「社会通念上40万円ぐらいではないですか」とか、「社会通念上月60万円は高すぎますね」と税理士さんに言われたことがありませんか?

『社会通念上』という言葉は法律の世界でよく使われるそうです。過去の判例が一般的というか、常識や良識になっているようですが、実際は年代や育った環境で皆さんの社会通念は違ってきます。

私のクライアントで知る限り、経理業務のみの奥様の最高年収は1,800万円です。その一方で最低は、受付助手で毎日働いて0万円という奥様がいらっしゃいます。
また「長く頑張ってもらっている歯科衛生士さんより、毎日家にいる奥様に多く給料は出せない」といった既成事実に基づいた考え方をするのも、日本人特有のものだと思います。

朝から夜遅くまで働き、休日も仕事されている院長先生を、家事や育児をこなし、精神的な部分で支える奥様のけなげでしたたかなサポートは、なかなか給与に反映しづらいものでしょうか?

では、どう考えればよいのでしょうか? 所得分散の究極の考え方としては、個人事業の利益=世帯の所得です。だから世帯で所得を按分(等分)するのが、一番の節税になります。

わかりやすく世帯収入が3,000万円だとしましょう。

①院長2,500万円、奥様500万円の場合(ここではわかりやすく収入=課税対象額とすると)所得税住民税の合計は以下となります。

院長 所得税2,500万円×40%-279.6万円(控除額)=約720万円
   住民税2,500万円×10%=250万円

奥様 所得税500万円 ×20%-42.7万円=約57万円
   住民税500万円 ×10%=50万円

世帯納税額合計 1,077万円

②では次に、年収の配分を、院長1,500万円、奥様1,500万円とした場合

院長 所得税1,500万円×33%-153.6万円=約341万円
   住民税1,500万円×10%=150万円

奥様 所得税1,500万円×33%-153.6万円=約341万円
   住民税1,500万円×10%=150万円

世帯納税額合計 982万円

医師と妻の所得分散

まとめると、①と②のケースの納税額の差額は95万円になります。お二人ともドクターの場合、②のケースはたくさんあります。

しかし社会通念上という概念と帳尻を合わせるためには、難しいかもしれませんが他の医院の給与設定事例を聞いてみたり、顧問税理士さん以外の方の意見を教えてもらったりして、給与の設定をしていくことが賢明でしょう。 

【Plus One Advice】知ってて得する!恒吉のプラスワンアドバイス

奥様の名刺に肩書きをつけてみてはいかがでしょうか?

ひとつのアイデアとして、奥様の名刺に肩書きをつけてみてはいかがでしょうか。

例えば先生の名刺であれば、「院長」とするより「医学博士」としたほうが身分が上と見られます。同様に奥様の肩書きも、例えば「事務担当」とするのではなく、「事務局長」としてみるのです。

「歯科衛生士」ならば「デンタルクリエイトマネージャー(DCM)」であるとか…。人は肩書きに箔がつくと、不思議と見られ方も変わるものです。「きっとそれなりのポジションで仕事をしているに違いない」と、受け取った方が勝手に思うものだと、あるビジネス書に書いてありました。

ご相談のSさんは売上げが9,500万円で、世帯年収が2,780万円ですから、法人化もご検討されてみてはいかがでしょうか?

医療法人の理事(役員)の方が専従者(専ら従事する者)よりも社会通念上(世間一般的に)格上みたいですから、給与もアップしやすいのではないでしょうか。

ちなみに、平成27年分から適用される所得税率は下記図になります。

平成27年分から適用される所得税率
先ほどの1,500万円の院長の所得税は1,500万円×33%-153.6万円=341.4万円というふうに1回で計算できますが、ここで累進課税の仕組みについて『いまさら聞けない!』という方におさらいです。

所得税は、

・0万円から195万円まで5%
・195万円から330万円までは10%
・330万円から695万円までは20%
  ・
  ・
  ・
・1,800万円~4,000万円までは40%
・4,000万円以上は45%

と課税される税率が決まっています。

現在(平成27年度分から)所得税率は7階建てになっており、階が上がるごとに税率が上がります。賃貸マンションのイメージで、一般的に階があがるほど家賃が上がり、最上階の家賃が最高額になります。

その階ごとの家賃を足していけば所得税が算出できます。ちなみに住民税は、どの階も同じ家賃で10%です。1,500万円の課税所得であれば、5階部分まで計算をして、全てを足していきます。

①195万円×5%=9.75万円
②(330万円-195万円)×10%=13.5万円
③(695万円-330万円)×20%=73万円
④(900万円-695万円)×23%=47.15万円
⑤(1500万円-900万円)×33%=198万円

①~⑤を合計すると、341.4万円です。上の計算式と一緒ですよね。

奥様と所得分散を行い、うまく節税を行いましょう。

開業医のミカタでは、いまさら聞けないけど知っておきたいなどのご質問も受付けております。次回もおたのしみに!

■プロフィール
恒吉雅顕(つねよしまさあき)
1972年福岡県生まれ
様々な業種を経験後、2006年/株式会社インベストメントパートナーズ設立メンバーとして参画
2014年/公益法人日本医業経営コンサルタント協会コンサルタント認定登録

開業医に関わる様々な問題解決を経営面、ライフプランから独自の視点でコンサルティングし、現在迄約500人の実践的資産形成の設計を行う。

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イラスト:かたおかともこ