MANAGEMENT

『怒り』の感情を抑えることで壊れる信頼関係

アンガーマネジメント

2017.11.22

アンガーマネジメントVOL.1

ここ数年、『アンガーマネジメント』を社内研修に取り入れる企業が増えています。

その理由として考えられるのは、『パワハラ』という言葉が生まれるほどに上司と部下の関係性を見直すべきという意識の変化が挙げられます。(ちなみに、『パワーハラスメント』というのは造語であり、英語圏では『abuse(乱用)』と表現します)

また、『アンガーマネジメント』は怒りの感情を抑制する方法を説くものではなく、むしろ『怒り』を相手に伝えるべきだという考えが根本にあるため、『アンガーマネジメント』という言葉に対するイメージと、実際の解釈との間に大きなギャップがあり、それが口コミで広がったとも言われています。

今回は、そのような『アンガーマネジメント』という考え方について2回に渡ってご紹介していきます。

まず、人間には、様々な感情があります。もっとも知られているのは喜・怒・哀・楽の4つですが、他にも期待や不安、好奇心、愛しさ、困惑、優越感など、実に多くの感情が存在しています。

人は、これらの感情によって自らの行動を決定し、他者との関係性を築きます。上司と部下の間柄も例外ではありません。職場内での人間関係は、ビジネスの成果に大きな影響を与えるため、たとえばあなたが院長として、上司としてスタッフに自分の感情を相手にどう伝えるかは、とても重要なことなのです。

「うれしい」・「楽しい」・「好奇心」・「愛おしい」といったポジティブな感情を伝えることは、それほど難しいことではありません。もちろん感じ方の違いは人それぞれですが、よほど過剰にならない限り、ポジティブな感情が人間関係に悪い影響を与えることはあまりないと言えるでしょう。

問題となりやすいのは、ネガティブな感情、中でも「怒り」の感情を発する時です。怒りの感情は、良好な関係を一瞬で破壊するパワーを持っています。それが分かっているため、多くの方は「怒り」という感情を自分の中に抑え込もうとします。

「こんなことを注意したら嫌われるかもしれない…」

「怒るよりも、褒める方がスタッフは成長する・・・」

「怒りを表にだすのは経営者としてスマートじゃない…」

多くの人は、そう考えます。

しかし実は、こうした考えこそがスタッフとの間に溝をつくり、スタッフの成長を妨げているのです。大切なのは怒りを抑え込むことではなく、むしろ相手にきちんと伝えることです。

それは、「怒り」という感情が他の感情に比べて伝わりにくいものであるためです。

うれしい、悲しい、愛しい、寂しいといった感情の多くは、それを引き起こす直接の原因があります。病気が治ったからうれしい、友達が遠くに引っ越してしまうので寂しいといったように、原因となる事象がそのまま感情に結びついています。他人から見てもわかりやすいのです。

ところが「怒り」というのは、その裏に別の感情が隠れています。

例えば、あなたの子どもが連絡もなく夜遅くに帰って来たとします。そんな時あなたはきっと怒るでしょう。

その時の感情をイメージしてみてください。

「こんな夜遅くに帰ってくるなんて許せない」というように、単に遅く帰ってきたこと自体に怒りを感じているのではなく、事故にあったのかもしれないなどと「心配」したり「不安」になったりというような、複数の感情が「怒り」という感情の裏に潜んでいることがわかるでしょう。

ではこのとき、嫌われたくないからと子どもを叱らなかったらどうなるでしょうか?怒りを表に出すのはスマートじゃないからと、にこやかに接したら子どもは何を思うでしょうか?

おそらく、「自分には興味がないんだ」、「愛されていないんだ」と感じるでしょう。そしてその気持ちが、親子の間に深い溝を作ってしまうのは容易に想像できますよね。

一方で「ばかやろう!」と怒鳴るだけでも、子どもからすれば、帰りが遅くなったことに対して怒られているのか、連絡をしなかったことについて怒鳴られているのか分かりません。問題となっているポイントが分からなければ、何も解決しないのです。

これは親子間だけでの話ではありません。上司と部下、あなたとスタッフの間でも同じことが言えます。

1人で抱え込んでも、何も解決しません。だからと言って、ただ怒りをぶつけるだけでは相手に真意が伝わりません。「怒り」というのは、言うなれば相手に対するリクエストです。したがって、自分は何に対して怒っていて、相手にどうして欲しいのかを正しく伝える必要があるのです。

あなたが何に対して怒りを感じていて、相手にどうして欲しいのか。怒りを抑えるのではなく、その原因と解決するための提案を正しく伝えるようにすることで、より堅い信頼関係を築くことができるのです。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部