MANAGEMENT

『働き方の提案』による人材確保

スタッフの『働き方』を考える

2017.06.14

スタッフの『働き方』を考えるVol.1

190億円。

これは、未払い残業代で問題になったヤマト運輸が、対象者4万7千人に対して支払うとされている、未払い残業代の合計額、つまり労働環境の改善を軽視し、労務管理を怠った結果です。しかし擁護するわけではありませんが、この背景には『圧倒的な人材不足』という問題があります。

ネット通販の市場拡大に伴い荷物量が急増、既存スタッフへの負担が重くなる一方で、人材の確保が追いつかない。実際に現場からは、朝の7時前に出勤して、帰りが22時を過ぎることも珍しくないという声も聞こえてきます。そして、そんな環境に耐えきれず退職者が続出し、さらに人材が不足するという、負のスパイラルに陥ってしまったのです。これは、決して他人ごとではありません。今や、どの業界も人手不足の問題を抱えています。歯科医院も同様です。

年を追うごとに深刻化する『人材不足』という問題を目の前に、ただ不足している分の人材を確保するというやり方は、もう通用しません。なぜなら、人材不足とは、完全な『売り手市場』を意味するからです。企業が応募者の中から選ぶのではなく、応募者が企業を選ぶのです。

売り手市場に受け入れられる、つまり多くの競合から選ばれる為には、『提案』が必要です。これまでの常識を変えない限り、解決策は見えてきません。採用条件を提示して応募者を待つのではなく、こちらから働き方を提案するのです。

歯科医院が人材不足に陥る理由の1つに、『出産・子育て』からの復帰が難しいという問題が挙げられます。大手企業と違い、個人で経営する歯科医院には、余剰人員を抱える余裕が少なく、半年や1年後を見据えて復帰スケジュールを組むことは、不可能に近いという話をよく耳にします。

結果的に、出産=退職という図式になってしまい、「復帰しようと思ったときには、もう自分の居場所がない…」これが現実です。

また、お子さんの体調次第で休暇が必要になる、勤務時間が限られるなどの理由により、医院側が採用に踏み切れない、ということもあるでしょう。

この問題を解決するための1つの手段が、『登録制』の導入です。

母親という立場で職場に復帰したいという方は、どうしても夕方以降や土日の勤務が難しくなります。しかし一方で、夕方から勤務できる学生や、土日のみの勤務を希望する方も多く存在します。こうした方々に『登録』をしてもらい、働く時間や曜日を選べる仕組みを作るのです。

これは、飲食店が活用している人材確保の仕組みです。

早朝の時間帯には高齢者などを採用して清掃作業や仕込みを行い、ランチは主婦の方を多く採用して営業を回す。夕方以降は学生を中心としたスタッフに切り替わり、20時以降や土日には、ダブルワークを希望するスタッフを採用する。

それぞれの生活スタイルに合わせた働き方を提案し、まずはお店にスタッフとして登録してもらうのです。急な休みなどには、シフト管理アプリなどを活用し、スタッフ同士で空いたシフトを埋めてもらう。もちろん、登録人数が増えれば管理作業も増えます。ですが、人手不足で治療もままならず、毎月のように求人コストをかけ続けることを考えれば、メリットは大きいのではないでしょうか。

働き手が求めているのは、『自分にピッタリな働き方』です。医院のスケジュールに当てはまる人材を待つのではなく、働き方を提案して売り手市場の支持を得る。他院と差別化し、これまでに経験したことのない人材不足を解消するには、こうした発想の転換が必要なのではないでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部