マネジメント

育児・介護休暇制度の最大の問題は 『知らないこと』 です

2015.12.16

休暇がもたらす利益とは?Vol.2

短時間勤務制度

法定時間外労働の制限

不利益取り扱いの禁止

これらは、いずれも育児・介護休業法に基づく制度です。さて、具体的にはどういった内容の制度でしょうか。『育児休暇』 や 『介護休暇』 という言葉は知っていても、これらの制度について正しい知識を持っている方は、それほど多くはないのが現状です。

一方で、それぞれが抱える問題は日を追うごとに深刻化しています。厚生労働省の調査によれば、いわゆる 『マタハラ』 の被害者は、正社員で21.8%、派遣社員では48.7%と実に半数近いという実態が明らかとなっています。育児休暇を取得する前に退職を求められたり、職場に復帰しても居場所がなく、結局は退職してしまうというケースが後を絶ちません。

介護においても、家族の介護のために仕事を辞める 『介護離職者』 は年間に10万人を超えており、今後も増加していくのは間違いないでしょう。仕事を続けながら介護をしている人は約300万人といわれています(総務省調べ)。安倍首相が9月に打ち出した 『新3本の矢』 の1つに、『介護離職ゼロ』 が掲げられましたが、具体的な対策案は認知されていません。

どんな制度があるかを知らないから、どんな選択肢があるのかも分からない。

これが諸問題の根源です。もちろん私個人が、国が抱える問題を解決することはできません。ですが、少なくとも経営を支えてくれるスタッフとその家族を、同様の問題から守ることはできます。

・それぞれの制度を知ってもらう

・相談できる場所を設ける

・具体的な支援策を用意する

これが、経営者としての役割ではないでしょうか。

育児・介護休暇制度そのものが正しく認知されなければ、少子化問題も、介護離職問題も解決しません。ともすれば対岸の火事とでも言わんばかりに無関心な方もいらっしゃいますが、その程度の経営感覚ではやがて事業そのものが尽きるでしょう。

育児・介護休暇制度を整備することですぐに利益に結びつくわけではありません。しかし、無関心のまま何もしなければ、確実に不利益を被る結果につながります。きれいごとを言うわけではありませんが、ここまで読んでいただいたあなたには、ぜひ10年後も、20年後も続く医院の経営者となってほしい。あなたの事業を支える方々が安心して仕事ができ、暮らせるようなコミュニティをつくってほしいと、心から思うのです。

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【休暇がもたらす利益とは?Vol.1】有給取得は無理のないように、計画的に

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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