マネジメント

なぜ、雇用契約書が必要なのか

自らの目的を共有することで、新たな意識が芽生えてきます

2015.11.04

トラブルを防ぐ雇用契約とはVol.1

1,050,042件

これは、労働基準監督署に寄せられた年間の労働相談件数です。このうち、1/4にあたる25万件が民事訴訟、つまり裁判にまで発展しています。

・定額残業代込みの給与と伝えていたのに、残業代を請求された
・試用期間中は時間給であることを後から知った
・業績不振を理由に賞与を支給しなかったら裁判になった

こうしたトラブルの他にも、『解雇』 や 『労働条件の引き下げ』 など、いわゆる 『労務トラブル』 は年々増加傾向にあります。

現在、日本における雇用者数は5639万人(総務省統計局発表/2015年8月)。これに当てはめると、実に54人に1人が何かしらの労務トラブルを抱えていることになります。データには表れない部分を含めると、5人に1人が労務トラブルや悩みを抱えているともいわれているのです。だとすれば、もはや対岸の火事ではありません。

しかし解決策はあります。

『雇用契約書の作成』は、解決策の1つです。特に労働条件に関するトラブルは、言った・言わないが原因で大きな問題に発展しているケースがほとんどです。求人欄には書いてなかった、口頭で伝えたはず、後から知った…。

労働基準法では、雇用契約書の作成は義務付けられていません。しかし、今やインターネットで専門的な知識を、誰でも得ることができます。加えて、こうした専門知識の解釈を間違えたばかりに裁判にまで発展するケースもあります。東京オリンピックの開催を契機として、今後は外国人の雇用者も今まで以上に増加するでしょう。不法就労をはじめとして、想像もできないような新しい問題も出てくるに違いありません。

もはや、言った・言わないで解決する問題はなく、知らなかったで済まされる時代でもないのです。さらに、雇用契約書があるからといって安心はできません。法律も少しずつ時代に合わせて変化しているからです。

雇用契約書をつくり、医院とスタッフがお互いに確認して押印した上でそれぞれが管理しておけば、『言った・言わない問題』の多くは解決します。年に1度程度のリーガルチェックを行うことで、法改正だけでなく他の企業のトラブル事例にも対応できるようになります。

雇用契約書を使っていなくても、新たに導入することでトラブル回避につながるのです。スタッフの、医院に対する信頼度も上がるでしょう。導入するメリットはあっても、デメリットは見当たりません。社労士に依頼すれば、数万円の費用で1週間もあれば導入できます。

労務トラブル発生ともなれば、数万円の費用では済みません。とても1週間で片付くとは思えませんし、問題が公になれば、医院にとっては致命傷ともなりかねないのです。

考えてみてください。雇用契約書の導入によって守ることができるものは、あなたにとって些細なことでしょうか。それとも、大切なことでしょうか。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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