MANAGEMENT

5月病を吹き飛ばす動機形成

スタッフのモチベーションアップが、業績アップにつながる

2017.05.17

モチベーションを上げるには?

ゴールデンウイークが明け、5月病という言葉を耳にする時期になりました。スタッフさんのモチベーションが下がったように感じられている院長先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ワークモチベーションを上げるには

仕事への意欲が沸き上がるようにするワークモチベーションを考えるうえで、2つの重要なキーワードがあります。

1つ目は、まとまった仕事をやり遂げようとすると、その仕事が一段落するまで、持続的に行動し続けることが欠かせません。そのためには「持続させる動機づけ」が必要です。

2つ目として、仕事の終了間際には気合いを入れて一気に仕上げるために、ときには残業や徹夜が必要になることがあります。つまりある特定の場面ではハイテンションな状態を自らつくり出し、仕事をすることが求められます。そのためには「高揚のための動機づけ」が必要です。

つまりワークモチベーションを上げるには、「持続させる動機づけ」と「高揚のための動機づけ」という2つの動機付けを最適活用することによって、行動を起こさせ、目標達成に向かわせることができるのです。

動機づけについて

多様化するリーダーシップの中で、合ったスタイルを模索

では、モチベーションを組織の中で活かすにはどうすればよいのでしょうか。

医院のリーダーである院長は、組織をうまく動かすためにメンバーや集団への動機づけをどうするのか考える必要があります。

リーダーはまず、組織活動を①現状のまま維持させたいのか、②それとも環境の変化にともなって変革させたいのか、を決めなければなりません。

現状を維持したいのであれば、静かな動機づけが必要です。静かな動機づけの目的は、計画からの逸脱を最小限にして、組織に一貫性と秩序をつくり出すことです。この場合、スタッフには基準や計画をきちんと守ってもらうようにします。そのときに使う動機づけは、アメとムチの外発的動機づけを使うことが多くなります。

外発的動機づけというのは、例えばスタッフが無遅刻・無欠勤の場合に報酬を渡す、欠勤の場合にペナルティとして一定額を給与から天引きするというようなものです。条件付きで報酬を与えることで組織を統制するわけですが、この方法で効果が上がるのはどちらかというと成熟度の低いメンバーになります。

優秀なメンバーが多い場合はこのような動機づけを「操作的」だと感じてしまうため、そのような場合は、「目標管理制度」を使うと有効です。

「目標管理制度」の活用

アメリカ発祥の理論「目標管理制度」を活用してみる

「目標管理制度」とは、アメリカの組織心理学者のエドウィン・A・ロックが提唱した理論で、「目標設定の仕方によって人間のモチベーションは左右される」という考え方が基本になっています。

ハードルは高くても実現の可能性がある目標を本人が受けいれた場合、個人の意欲やパフォーマンスは向上します。そして、その目標が明確で且つ具体的であればあるほど、個人のモチベーション向上に寄与すると提唱者のロックは主張しています。

では、なぜ困難な目標を設定すると、個人のパフォーマンスは向上するのでしょうか。

例えば、レセプト業務などの定型的な業務について、業務をこなすのに標準的な時間を○時間と設定したとします。次に実際にレセプト業務を実施するにあたって、標準的な時間以上に余分な時間が与えられたとします。するとたいていの人は、自分に与えられた時間をすべて使い果たそうとして、仕事のペースを調整してしまうのです。

これは意識する、しないに関わらずで、目標のハードルが低いと、人はその目標に応じた能力しか発揮しないということです。逆に目標のハードルが高ければ、その目標を達成するための工夫や努力が必要になりますので、パフォーマンスの向上につながりやすいということです。

次に如何に明確な目標が効果を発揮するのかを説明します。

例えば「一生懸命、報告書を作成してください」と言われるのと「3日後までにA4用紙5ページの報告書を作成してください」とでは、その業務の目的や全体像の把握に大きな違い出てきます。極端な例ではありますが、あまりにも抽象的な目標に対しては、人はそれを達成するためにどうするのかというのを考えなくなってしまいます。

目標が明確であればはっきりとした期待や確実な行動を方向づけすることができますので、実現に向けたパフォーマンスが引き出されます。

最後に繰り返しになりますが、目標管理制度はその目標を本人が納得して受け入れていることが最重要です。上司が単純に設定した目標がすぐにモチベーションとパフォーマンスを向上させるわけではないので、いかに本人が納得感のある目標を設定するかがポイントです。

「公平理論」の重要性

スタッフが働きやすい職場とするために必要な配慮とは?

一方、環境の変化にともなって変革させたい場合は、リーダーが示すビジョンに対してスタッフがコミットし、そのビジョンの実現に向けて具体的な行動を起こすように動機づける必要があります。

例えば、患者さんは医療サービスに対する顧客であるというビジョンを繰り返し、継続的に説明します。そしてそのビジョンを達成するための具体的なアイデアをスタッフから出してもらいます。リーダーは、ビジョン達成のスタッフの努力に対して、コーチングやフィードバックを駆使して熱意をもって支援していきます。

スタッフの業績に対しては、スタッフ全員の前で評価をしてきちんと褒めます。このようにスタッフ全体を、自ら考えて動ける集団にするというのも重要なリーダーシップです。

人は他人と交流することで自分自身を知り、立場や役割を決めようとします。これを「社会的比較」と言います。人によって個人差はありますが、普通、人は自分がどんな人物なのかを自分自身である程度は把握しています。

しかし、鏡を見ないと自分の姿がわからないのと同じように、生きていく上での役割や立場というものは自分一人では決まりません。人と接することで、他人を理解し、自分をより深く知ることができるのです。

他者と比較して、自分は公平に評価されているのか…それを考えることで、モチベーションに影響が出てくる理論を「公平理論」と呼びます。

仕事に対する労力と、そこから得られる報酬を天秤にかけ、そのバランスが他人との比較や経験上で、公平と評価されていることが動機づけになるということです。人は、他者と比べて公平でないと感じてしまったとたん、モチベーションが下がってしまうのです。

負の感情というのはときに連鎖を招きます。負の感情の連鎖が進行すると、一時期にメディアでも話題になった「不機嫌な職場」になりかねません。

例えばスタッフが患者に対して適確な対応をしたにも関わらず、Aさんは褒められて、Bさんは何も言われないような場合、Bさんが負の感情を持ち、モチベーションを下げてしまう可能性があります。そのようなことが日常的に続けば、公平理論の観点からも好ましくないのは明らかでしょう。
負の連鎖を断ち切るためには、個々のスタッフの状態に常にアンテナを張り、影響が小さいうちにきちんと対応しておくことが重要です。

とくに慣れない現場に復帰したばかりで自信を失っている人や、少しの失敗にとらわれて積極性がなくなっている人に対して、意図的に職場のコミュニケーションが活性化されるような施策を考える必要があります。

そのためにはスキルなどの能力面についてのコミュニケーションと、自尊心が回復するような心のレベルのコミュニケーションの2つの面から考えるとよいでしょう。

このように、一言でモチベーションと言っても、それを左右する要素は多くあります。ご自身の医院のご状況に合わせ、今回挙げたポイントを押さえられていたのか、一度振り返ってみられてはいかがでしょうか。

【モチベーション理論】 <参考>

①プロセス理論とコンテント理論
人がどのようなメカニズムでやる気になり、行動を起こすのかを解明したのがプロセス理論です。またどんな欲求によって動機づけられるのかという内面に焦点を当てたのが、コンテント理論です。

②内発的動機づけと外発的動機づけ
動機づけが起こるのは、人の内側からか、外側からかという分類です。やる気は人の内側からわき起こってくるのが内発的動機づけ、外側からのアメやムチによって人は行動を起こすのが、外発的動機づけです。

③自己動機づけ、他者動機づけ、集団同期づけ
誰が誰に対してモチベーションを上げようとするのかによる分類です。自分で自分を動機づけるのが自己動機づけ、他者が相手を動機づけするのが他者動機づけ、集団の士気を高めるのが集団動機づけです。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部